近年、雑居ビル等で多くの死傷者を伴う火災が相次いで発生していることや東日本大震災での激しい揺れにより、高層ビル等において人的・物的被害が発生したことを受け、防火・防災体制を強化するために消防法令の改正が行われました。
統括防火・防災管理者の選任・届出の義務
管理権原者は、協議により選任した統括防火・防災管理者に建物全体の防火・防災管理上必要な業務を行わせるとともに、その旨を消防機関に届け出ることが法律上規定されました。
統括防火・防災管理者が選任されない場合は、既に共同防火管理協議事項を届出していても消防法第8条の2違反となります。なお、全体についての消防計画の作成及び届出についても必要となります。
統括防火・防災管理者の義務・役割の明確化
統括防火・防災管理者は、建物全体の防火・防災管理業務を推進するため、各テナント等の防火・防災管理者と連携・協力しながら、以下のような業務を行わなければならないこととされました。
- 全体についての消防計画の作成
- 全体についての消防計画に基づく建物全体の消火・通報・避難の訓練
- 廊下、階段等の共用部分の必要な施設の管理
統括防火・防災管理者への必要な指示権の付与
統括防火・防災管理者は、各テナント等の対応に問題があって、建物全体についての防火・防災管理業務を遂行することが出来ない場合等に、各テナント等の防火・防災管理者に対して、その権限の範囲において必要な措置を指示することができると定められました。
(例)
- 廊下等の共用部分の転倒・落下の危険性や避難に支障のある物件の撤去について
- 建物全体の消火・通報・避難訓練の不参加者に対して参加を促すことについて など
統括防火管理者
次のいずれかに該当する防火対象物で、管理について権原が分かれているものです。
1. 高層建築物(高さ31mを超える建築物)
2. 避難困難施設が入っている防火対象物のうち地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が10人以上のもの
3. 特定防火対象物のうち、地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が30人以上のもの(避難困難施設を除く)
4. 非特定用途の複合用途の防火対象物のうち、地階を除く階数が5以上で、かつ、収容人員が50人以上のもの
5. 地下街のうち消防長又は消防署長が指定するもの
6. 準地下街
統括防災管理者
防災管理義務対象物で管理について権原が分かれているものです。
次の2項目を選択し、表に基づく必要な書類等を届け出てください。
- 届出理由(新規の選任又は統括防火・防災管理者の変更又は管理権原者の変更)
- 協議会の有無
@統括防火・防災管理者選任(解任)届出書
「届出者」の欄は、連名で届け出る場合は、「別紙のとおり」と記入し、主要な者(建物所有者又は代表者等)を記入する場合も「管理権原者一覧」を添付してください。(別紙=管理権原者一覧)
A協議の実施を証する書類
統括防火・防災管理者は全ての管理権原者が協議して選任することから、協議の実施を証する書類を添付してください。
【書類の例】契約書、建物管理規約、協議の結果(議事要旨)などの任意の様式
※任意の様式でも差し支えありませんが、当庁が例示する「統括防火・防災管理に係る協議に関する事項」を添付していただくことで足ります。
B管理権原者一覧
令和2年12月に、消防関連法令に規定する各様式中の押印を不要とする改正規定が施行されたことに伴い、本書類についても押印を不要とし、記載事項を追加しています。
C統括防火・防災管理者の資格を有する者であるための要件を証する書類
統括防火・防災管理者の資格としては、以下の二つが必要になります。
(1) | 防火管理講習修了者等 | 甲種防火対象物→甲種防火管理者 乙種防火対象物→甲種又は乙種防火管理者 |
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(2) | 必要な権限及び知識を有するための要件 |
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(1)を証明するために、防火管理講習修了証等を選任届出書に添えて届け出てください。
(2)を証明するために、統括防火・防災管理者の資格を有する者であるための要件を証する書類(※)を添付してください。
※ 任意の様式でも差し支えありませんが、当庁が例示する「統括防火・防災管理者の資格を有する者であるための要件」を添付していただくことで足ります。
※1 管理権原者の変更
統括防火・防災管理者の届出は全ての管理権原者(建物所有者及び全テナント)に義務付けられているため、統括防火・防災管理者に変更がなくても、管理権原者が変更(新規テナントが入居等)した場合は、統括防火・防災管理者選任届出および全体についての消防計画の届出が必要となります。(テナントの退去時及び法人の代表者が変更になった場合、届出は不要です。)
※2 協議会あり
法令改正前の共同防火管理協議事項を届け出ており、当該協議会が現在も運用されている場合です。
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