≪積雪や凍結路面に係る救急事故の発生状況≫
1 積雪や凍結路面に係る救急搬送人員
毎年12月から3月までの期間に、積雪や凍結路面により滑って転倒した際に受傷する事故(以下「ころぶ事故」という。)などによる救急事故が発生しています。
過去5年間1)において、この期間に東京消防庁管内で2)715人が救急搬送されています(図1)。
積雪の多かった令和4年1月では救急搬送人員が急増しており、降雪の有無によって救急搬送人員が大きく変化しています。
1)令和5年の数値は速報値
2)東京都のうち稲城市、島しょ地区を除く地域
≪事故事例及び予防策≫
事故事例
外で滑って・・・
歩いて坂道を下っていたところ、地面が凍結しており、足を滑らせて転倒し、腰部を受傷した(30代 中等症)。
通勤中に・・・
通勤途上、歩道橋の上で凍結した路面に足を滑らせて転倒し、腰部を受傷した(70代 中等症)。
雪かき中に・・・
自宅の玄関前で夜間に雪かきをしていたところ、尻餅をつくように転倒し、歩けなくなった(50代 中等症)。
予防策
- 靴は滑りにくいものを選びましょう。
- 足元に十分気を配りゆっくりと歩きましょう。
- 降雪後の数日間は、事故が多いことから、特に注意を払いましょう。
- 天候を事前に情報収集し、残雪や凍結路面を避け、余裕を持って行動しましょう。
2 月別の救急搬送人員
月別に見ると1月が598人、次いで2月が98人と多くなっており、搬送人員が過去5年間で多かったのは、令和4年1月の570人です。1月が多いですが、積雪の有無によりさらに差が出ています(表1)。
表1 月別の救急搬送人員(人)12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
平成30年12月から 平成31年3月 |
0人 | 6人 | 26人 | 0人 | 32人 |
平成元年12月から 令和2年3月 |
0人 | 9人 | 1人 | 13人 | 23人 |
令和2年12月から 令和3年3月 |
1人 | 5人 | 0人 | 0人 | 6人 |
令和3年12月から 令和4年3月 |
3人 | 570人 | 31人 | 0人 | 604人 |
令和4年12月から 令和5年3月 |
2人 | 8人 | 40人 | 0人 | 50人 |
合計 | 6人 | 598人 | 98人 | 13人 | 715人 |
3 気象状況と救急搬送人員の関係
救急搬送人員の多かった令和4年1月について、気象状況3)と救急搬送人員の関係をみると、6日に降雪があり、降雪後の数日間は路面凍結などの理由により「ころぶ事故」が発生するなど、1月だけで570人が救急搬送されています(図2)。
3)気象庁の気象統計情報の東京で観測・測定した数値を使用
図2 気象状況と救急搬送人員(令和4年1月)4 年齢層別救急搬送人員
年齢層(5歳単位)別にみると、50歳から84歳までで多く救急搬送されています(図3)。
通常の転倒による救急搬送は65歳以上の高齢者が多くなりますが、積雪時では50代から増加することが一つの特徴です。
図3 年齢層別救急搬送人員(過去5年)5 初診時程度別救急搬送人員
初診時程度別にみると、約3割が中等症以上と診断されています(図4)。
【初診時程度】
軽 症: | 入院を要しないもの |
---|---|
中等症: | 生命の危険はないが入院を要するもの |
重 症: | 生命の危険が強いと認められたもの |
死 亡: | 初診時に死亡が確認されたもの |
6 時間帯別救急搬送人員
時間帯別の搬送人員を見ると、午前7時、午前8時の時間帯で多くなっています。
急いで歩きがちな通勤・通学の時間帯は、あらかじめ時間に余裕を持って行動をすることが必要です(図5)。
図5 時間帯別救急搬送人員(過去5年)