東京消防庁 > 防災トピックス > 東京都の地震時における地域別延焼危険度測定(第10回) > 1.地域別延焼危険度測定について

1 地域別延焼危険度測定について

測定の目的等

震災時における火災の被害を軽減するためには、地域ごとの火災の危険性を把握し、これに応じた対策を講じる必要があります。

地域別延焼危険度測定とは、東京都震災対策条例第12条に基づき、震災時に発生した火災が燃え広がる危険性を地域ごとに評価するものです。これまで、昭和48年に特別区、昭和50年に多摩地区について第1回目の測定を実施して以来、市街化の進展や都市の不燃化などの変化に合わせて、おおむね5年ごとに実施し公表してきました(表1)。

測定結果については、消防水利の整備計画、震災消防計画等に活用されるほか、東京都の地域危険度測定調査の基礎データとして利用される等、各種の震災対策用資料に反映されています。

なお、地域別延焼危険度測定には、二通りの測定単位(町丁目と250mメッシュ)があります。測定単位によって結果の使用目的と意味に違いがあるため(表2)、それぞれの結果の算出方法は多少異なります。

また、震災時において、建物が倒壊して道路を閉塞することで、消防水利が使用不能となることや消防隊等の到達に影響することを消火活動の困難性として表した「震災時の消火活動困難度」について、第5回目の測定を実施しました。

表1 地域別延焼危険度測定実施年一覧
測定回数 特別区 多摩地区
測定年度 公表年月 測定年度 公表年月
第1回 昭和48年度 昭和49年3月 昭和50年度 昭和52年3月
第2回 昭和55年度 昭和57年3月 昭和57年度 昭和59年3月
第3回 昭和61年度 昭和62年3月 - -
第4回 平成2年度 平成3年3月 平成2年度 平成3年3月
第5回 平成8年度 平成9年3月 平成8年度 平成9年3月
第6回 平成13年度 平成14年3月 平成13年度 平成14年3月
第7回 平成18年度 平成19年3月 平成18年度 平成19年3月
第8回 平成23年度 平成24年3月 平成23年度 平成24年3月
第9回 平成27年度 平成28年3月 平成27年度 平成28年3月
第10回 令和元年度 令和2年3月 令和元年度 令和2年3月
表2 測定単位別の使用目的と意味
測定単位 使用目的 意味
町丁目 出火防止・初期消火対策
震災消防計画
出火点が1件ある場合の地域の燃え広がりの危険性
250mメッシュ 消防水利の整備計画 地域の燃え広がりに加えて出火可能性を同時に考慮した危険性

用語の解説

本冊子における主な用語は次のとおりです。

用語の解説
  • 1 延焼面積

    右図において、焼失建物を囲む最も外側の範囲(延焼範囲)の市街地面積を延焼面積としています。

  • 2 焼失面積

    右図において、延焼範囲内にある焼失建物の延べ床面積(耐火造建物は1フロア分の床面積)の合計を焼失面積としています。

  • 3 延焼シミュレーション

    建物、道路、空地の状況を元にして出火点を設定することで時間経過に伴う火災の燃え広がりを計算し、表現するプログラムのことです。

  • 4 地域の延焼危険度

    延焼シミュレーションにより出火から6時間後の平均的な延焼面積を求め、危険度のランクとして表したものです。

  • 5 建築物の焼失危険度

    延焼シミュレーションにより出火から6時間後の平均的な焼失面積を求め、危険度のランクとして表したものです。

  • 6 震災時の消火活動困難度

    震災時における消防車両の通行不能等による消火活動の困難性を表したもの。延焼危険度、消防水利の有効性、消防隊等の到達性の3つの要素から評価しました。

  • 7 消防水利の有効性

    震災時における道路閉塞等の影響を考慮して、地域ごとに消防水利の効力を評価しました。

  • 8 消防隊等の到達性

    震災時における道路閉塞等の影響を考慮して、地域ごとに消防隊や消防団の到達時間を評価しました。

  • 9 250mメッシュ

    地表面を一定のルールに従い多数の正方形に分割したものをメッシュといいます。本測定では国土調査法施行令(昭和27年政令第59号)第2条による第IX座標(日本測地系、北緯36度00分、東経139度50分・千葉県野田市中里付近)の地点を基準とした250mメッシュを用いています。

    なお、基準から東へ9q、南に16qの地点(千葉県流山市野々下付近)を0として南西方向に昇順に付番しています。

  • 10 建物構造

    建築物の構造を防火性能によって木造、防火造、準耐火造及び耐火造の4種類に分類しています。

基礎調査

測定にあたって、島しょ地域及び多摩地域の一部を除く東京都全域について、市街地状況調査を実施しました。

市街地状況調査では、東京都都市計画情報システムデータを用い、東京都内の建物の位置、形状、構造、階層及び道路、空地等の位置、形状について、データを整備しました。

なお、東京都都市計画情報システムデータの作成時期は特別区が平成28年度、多摩地区が平成29年度です。