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東京都の地震時における地域別出荷危険度測定(第10回)

出火危険度測定手法の概要

地震時における出火要因として、①火気器具、②電気関係、③化学薬品、④工業炉、⑤危険物施設、⑥LPガスボンベ及び高圧ガス施設を取り上げ、これらの出火要因ごとに出火機構の分析を行い、出火要因別の出火危険度を測定しました。

(1) 火気器具・電気関係

  1. 各家庭や事業所で使用している石油ストーブやガスコンロなどの火気器具や、電気ストーブや電気コンロなどの電熱器具について、過去の地震事例及び火気・電熱器具の使用状況をもとに、イベント・ツリー・アナリシス(ETA)を用いて出火機構を分析しました。
  2. 兵庫県南部地震をはじめとする過去の事例や振動実験などをもとに、出火機構中の各事象間の生起確率を設定し、これらから各火気器具や電熱器具の地震による震度ごとの出火率を算定しました。
  3. 住宅や事業所に対する火気電気使用実態調査を行い、建物の用途・器具・時間帯別に、火気・電気の使用状況を把握し、震度別の出火率を設定しました。
  4. 国勢調査や事業所・企業統計調査などの結果から、町丁目及びメッシュ別に、建築物の階層別、立地階別用途数を算定しました。
  5. 以上のほか、建築物が圧壊するような状況での出火、テレビや冷蔵庫などの電気器具からの出火、屋内配線、配電盤などの配線からの出火、漏えいしたガスへの引火による出火の危険性については、兵庫県南部地震などの地震火災事例をもとに、震度別の出火率を算定しました。
  6. 地域危険度測定の設定方法による地表速度から算出した計測震度をもとに、各用途の所在する建築物の階層、立地階を考慮し、さらに火気始末率や初期消火率などを考慮して用途別の出火危険度を算定しました。なお、今回の出火危険度測定の前提となる震度分布を図1に示します。
図1 今回の出火危険度測定の前提となる震度分布図

図1 今回の出火危険度測定の前提となる震度分布図
(「地震に関する地域危険度測定調査(第8回)」(東京都都市整備局、平成30年)の地盤分類・増幅率に基づき設定)

(2) 化学薬品

  1. 過去の地震事例や実験などをもとにETAを用いて出火機構を分析し、出火率を算定しました。
  2. 地域に分布する少量危険物を保有する高校、大学、自然科学研究機関の数を考慮して出火危険度を算定しました。

(3) 工業炉

  1. 東京都内における工業炉の分布、過去の地震事例、ヒアリング、アンケートなどの調査を実施してETAにより出火機構を分析し、出火率を求めました。
  2. 地域に分布する工業炉の数を考慮して出火危険度を算定しました。

(4) 危険物施設

  1. 過去の地震事例、ヒアリング、アンケートなどを実施し、地震動による危険物流出から出火に至るまでの出火機構を危険物施設別にETAにより分析し、出火率を求めました。
  2. 地域に分布する危険物施設の数を考慮して出火危険度を算定しました。

(5) LPガスボンベ、高圧ガス施設

  1. LPガスボンベ
    LPガスボンベからの出火機構を、「地震動によるLPガスボンベの転倒、LPガス漏洩、何らかの火源による出火」と考え、過去の地震事例を踏まえて震度別の出火率を求め、LPガス消費者数を考慮して地域別に出火危険度を算定しました。
  2. 高圧ガス施設
    高圧ガス施設からの出火は、貯蔵施設、配管及び容器別の出火機構をETAにより分析することで震度別の出火率を求め、高圧ガス施設の分布資料を用いて地域別に出火危険度を算定しました。

問合せ先 東京消防庁震災対策課 電話03−3212−2111(代表)


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