平成19年から平成23年※1までに、東京消防庁管内※2で発生した、アルコール飲料に起因するやけど・誤飲事故の発生状況については次のとおりです。
平成19年から平成23年までに14件発生しています(図1)。
図1:過去5年間のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員
年齢階級別にみると20歳代が7人で全体の5割を占めています(図2)。
図2:年齢下級別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員
アルコール飲料によるやけどの原因別では、「お燗など温めたアルコールを直接皮膚に浴びてのやけど」で4人、「意図的にアルコール飲料に火を点け炎を観賞したり香りを楽しむ行為の際でのやけど」で5人、「意図せず体に付着したアルコール飲料がライターなどの火に引火してのやけど」で5人が救急搬送されています(図3)。
図3:原因別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員
受傷程度別では、救急搬送された14人のうち8人(約6割)が入院が必要とされる中等症と診断されています(図4)。
図4:受傷程度別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員
平成22年に当庁消防技術安全所で高濃度のアルコール飲料をこぼして手に付着した状態のままライターの火を接近させた場合にどのようになるかを実験しました。実験結果は以下のとおりとなり、危険性が実証されました。
@高濃度のアルコール付着 | Aライターの炎を接近 | B着火の瞬間 |
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高濃度のアルコールを飲んでいる際に手にこぼしたという想定で実験を開始 | 通常アルコールの可燃性蒸気は空気より重いため下方に集まるが付着した手の上あたりに炎を接近させた | 手の上あたりに炎を接近させた場合でも1秒程度で着火した |
C着火から1秒後 | D着火から1.5秒後 | E着火から2秒後 |
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手が青白い炎で包まれた | 十分視認できるほど炎に包まれている。また、テーブル上も青い炎が出現し始めている。 | 2秒でこの状態にまで至る。 |
F着火から2.5秒後 | G着火から3秒後 | ![]() |
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手が赤い炎で包まれている。 | 洋服にも燃え移り始めている。この後、消火のため霧状の水を吹きかけたがなかなか消えなかった。 |
12歳以下のアルコール飲料の誤飲では、過去5年間で16人が救急搬送されており、年齢別では、1歳から3歳までで9人(56.3%)と半数以上を占めています(図5、図6)。
また、搬送された16人は軽症と診断されています。
図5:過去5年間のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員
図6:年齢別のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員
アルコール飲料の誤飲は、アルコール飲料と清涼飲料の液体の色や容器が類似しているため清涼飲料と誤認して飲んだり、居酒屋等でアルコール飲料を誤って提供され飲んだ場合などに発生しています。
原因別では、「清涼飲料と誤認して飲んだ」が10人と最も多く、次いで「アルコール飲料を誤って提供され飲んだ」が5人となっています(図7)。
図7:原因別のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員