このページの本文へ移動
東京消防庁日常生活における事故情報>アルコール飲料で発生する意外な事故に注意!!
アルコール飲料で発生する意外な事故に注意!

平成19年から平成23年※1までに、東京消防庁管内※2で発生した、アルコール飲料に起因するやけど・誤飲事故の発生状況については次のとおりです。

  • ※1 平成23年については暫定値です。
  • ※2 東京都のうち東久留米市、稲城市、島しょ地区を除く地域(東久留米市は平成22年4月1日より東京消防庁管内となりました。)

事故防止のポイント

  • (1) アルコール飲料が手等に付着した場合には、すぐに拭き取るか洗い流すなどして、付着した状態のまま裸火に近づけない。
  • (2) ウオッカやウィスキーなどのアルコール度数の高いアルコール飲料は、火気には十分注意するとともに、火を点けての飲酒などの危険な行為はしない。
  • (3) 店舗によっては、アルコール飲料と清涼飲料の売り場が接近しているところもあることから、購入時には十分確認する。また、家庭内で保存する際には、アルコール飲料は子供の手の届かないところに保存する。
  • (4) アルコール飲料を提供する店等で、子供の清涼飲料などを一緒に注文した場合などには、事前に確認してから子供に与える。

1 アルコール飲料によるやけどの発生状況

(1) アルコール飲料に起因するやけどでの救急搬送人員

平成19年から平成23年までに14件発生しています(図1)。

過去5年間のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

図1:過去5年間のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

(2) 年齢階級別の救急搬送人員

年齢階級別にみると20歳代が7人で全体の5割を占めています(図2)。

過去5年間のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

図2:年齢下級別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

(3) 原因別の救急搬送人員

アルコール飲料によるやけどの原因別では、「お燗など温めたアルコールを直接皮膚に浴びてのやけど」で4人、「意図的にアルコール飲料に火を点け炎を観賞したり香りを楽しむ行為の際でのやけど」で5人、「意図せず体に付着したアルコール飲料がライターなどの火に引火してのやけど」で5人が救急搬送されています(図3)。

原因別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

図3:原因別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

(4) 受傷程度別の発生状況

受傷程度別では、救急搬送された14人のうち8人(約6割)が入院が必要とされる中等症と診断されています(図4)。

受傷程度別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

図4:受傷程度別のアルコール飲料によるやけどでの救急搬送人員

(5) 事故事例

ウォッカに火を付け飲もうとしたところ、こぼしてしまい炎が広がり顔をやけどしたもの(24歳男性・顔面熱傷・中等症)。
飲食店で飲酒中にたばこの火が飲んでいた酒に引火し、顔などをやけどしたもの(23歳女性・熱傷・中等症)。
自宅で熱した酒が体にかかりやけどしたもの(1歳女児・熱傷・軽症)。

(6) 高濃度のアルコール飲料に火を接近させる実験

平成22年に当庁消防技術安全所で高濃度のアルコール飲料をこぼして手に付着した状態のままライターの火を接近させた場合にどのようになるかを実験しました。実験結果は以下のとおりとなり、危険性が実証されました。

@高濃度のアルコール付着 Aライターの炎を接近 B着火の瞬間
高濃度のアルコールを飲んでいる際に手にこぼしたという想定で実験を開始 通常アルコールの可燃性蒸気は空気より重いため下方に集まるが付着した手の上あたりに炎を接近させた 手の上あたりに炎を接近させた場合でも1秒程度で着火した
C着火から1秒後 D着火から1.5秒後 E着火から2秒後
手が青白い炎で包まれた 十分視認できるほど炎に包まれている。また、テーブル上も青い炎が出現し始めている。 2秒でこの状態にまで至る。
F着火から2.5秒後 G着火から3秒後
手が赤い炎で包まれている。 洋服にも燃え移り始めている。この後、消火のため霧状の水を吹きかけたがなかなか消えなかった。

2 アルコール飲料の誤飲(12歳以下)

(1) 年別・年齢別の救急搬送人員

12歳以下のアルコール飲料の誤飲では、過去5年間で16人が救急搬送されており、年齢別では、1歳から3歳までで9人(56.3%)と半数以上を占めています(図5、図6)。

また、搬送された16人は軽症と診断されています。

過去5年間のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員

図5:過去5年間のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員


年齢別のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員

図6:年齢別のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員


(2) 原因別の発生状況

アルコール飲料の誤飲は、アルコール飲料と清涼飲料の液体の色や容器が類似しているため清涼飲料と誤認して飲んだり、居酒屋等でアルコール飲料を誤って提供され飲んだ場合などに発生しています。

原因別では、「清涼飲料と誤認して飲んだ」が10人と最も多く、次いで「アルコール飲料を誤って提供され飲んだ」が5人となっています(図7)。

原因別のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員

図7:原因別のアルコール飲料の誤飲による救急搬送人員


(3) 事故事例

自宅で娘が突然激しく泣き出したので見てみると、ウイスキーの入ったコップに口をつけていていたため、飲んでしまったと思い救急要請をしたもの(1歳女児・飲酒の疑い・軽症)。
飲食店で食事中、子供がカルピスサワーを飲んでしまい、その後腹痛を訴えたことから救急要請したもの(1歳男児・誤飲・軽症)。
居酒屋で注文したジュースに誤って焼酎が入っており、気がついた時にはすでに子供が3分の1程度飲んでいたことから救急要請をしたもの(10歳男児・誤飲・軽症)。



   目次に戻る