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消防科学セーフティレポート

■ 55号(平成30年)
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各種ノズルを用いた排煙効果の検証 本検証では、現在当庁の消防隊が消防活動で使用しているノズルについて、噴霧放水による排煙効果を明らかにするため、各ノズルで噴霧放水した際に生じる風速の測定実験及び煙を充満させた空間に対して噴霧放水した際の排煙状況の確認実験を実施した。
 その結果、ノズルの種別によらず、展開角度が小さいほうが、噴霧放水時の風量は大きいことから、できる限り小さい展開角度で開口部全体を覆うように放水すると排煙効果が高いことがわかった。
消火用ホースの摩耗損傷に関する検証(第2報) 本検証の結果、最も多く発生するホースの摩耗損傷形態は、主にホースのV字屈曲を原因とする局所的な摩耗損傷であり、ホースのノズル寄りの部位ほど発生しやすいことが確認された。また、訓練場舗装面のホースに対する静摩擦係数と、引き摺られたホースの表面の摩耗量は、一定の相関関係を有する可能性が示された。
大型ヘリコプターがホバリング時に発生させるダウンウォッシュの風速測定に関する検証 本検証は、4機種の消防ヘリコプターに対し、4種類の対地高度でホバリングさせたときに発生するダウンウォッシュの風向と風速の多点計測を行った。
その結果、消防ヘリコプターがホバリング中に発生させるダウンウォッシュは、人が転倒し、建物の屋根や壁の一部が破損する危険性がある20m/s以上の瞬間水平風速が観測された。また、大型機は、ローターの中心から水平距離が40m離れていても人や物に影響が発生する10m/s以上の瞬間水平風速が観測された。
延焼する室内に対する効果的な放水方法の検証
(フラッシュオーバーを抑制する放水方法)
本検証では、放水時の安全性向上を目的とし、フラッシュオーバーが発生した火災室へ放水した際の火災室内及び放水位置の附室の熱環境について、放水展開角度ごとに確認した。
その結果、火災室内の温度降下については、霧状30°、霧状60°、棒状、霧状90°の順で顕著となった。附室内の温度降下については、霧状60°、霧状90°が顕著であり、附室内の受熱量降下については、霧状90°が顕著であった。これより、水幕を形成し熱を遮断する放水方法が有効であると考えられる。
防護衣の汚染物質に対する水的除染の効果に関する検証 本検証では、汎用性のある化学物質を汚染物質として選定し、それらの物質が防護衣にどのような影響を与え、水的除染の効果がどの程度あるのかについて必要な調査と実験を行った。
その結果、汚染物質の分類による汚染の程度や除染の効果に関する傾向などが明らかとなった。液体だけではなく、気体の物質も防護衣を汚染する場合があることが分かり、今回用いた酸性・塩基性物質については、水による短時間の除染で効果のあることなどが確認された。
効果的な身体冷却に関する検証(第1報) 本検証では効果的な身体冷却方法を明らかにすることを目的とし、冷却ベストの冷却剤及び冷却部位を変更した際の効果を検証し、夏季における消防活動中の身体的負担の軽減及び熱中症の予防対策に質するものとした。
検証の結果、15分程度の運動には融点0℃の冷却剤が効果的であったと示唆された。また、冷却部位は上背部、両側胸部、大腿部が効果的であったと示唆された。
惨事ストレスケアにおけるデブリーフィング及びデフュージングに関する検証 平成17年度及び平成20年度に実施された惨事ストレスケアに関する検証の再調査及びその時実施されなかったデフュージングにおけるポジティブな効果に関する検証を行った。また、惨事ストレスケアの浸透の程度等を調査するため、平成20年度に実施された結果との比較を行った。
夏季の屋外環境における正服等着用時の身体的負担と熱中症予防に関する検証
(検証Ⅰ 恒温恒湿室での検証)
本検証では、夏季の暑熱環境下での正服着用時の身体的負担と熱中症予防効果が期待できる下着やアイテムを評価し、東京2020大会における消防職員等の警戒時の熱中症予防方策について提言することを目的とした。
検証の結果、速乾性のある下着や、冷却ベストと速乾性のある下着との併用により、暑熱ストレスを軽減する効果が期待できることが示唆された。
夏季の屋外環境における正服等着用時の身体的負担と熱中症予防に関する検証
(検証Ⅱ 実地検証‐隅田川花火大会とサンバカーニバルでの検証‐)
本検証では、夏季の暑熱環境下での正服着用時の身体的負担と、熱中症予防効果が北アイできる下着や冷却ベストの効果を実地検証において評価し、東京2020大会における消防職員等の警戒時の熱中症予防方策について提言することを目的とした。
検証の結果、夏季の警戒時に着用する下着は、速乾性のある下着が好まれた。また、冷却ベストは雨天でない時には高評価であるが、夏季においても雨天の気温低下時には評価が高くないということがわかった。
自然発火したタオル等に含まれる油脂の特定に関する検証 本検証では、油脂の種類の特定に有効と考えられる液体クロマトグラフ分析装置を用いて、自然発火の原因となり得る様々な油脂の分析を行った。その結果、火災現場から採取したタオル等の焼損残渣物、同時に持ち込まれた持ち込まれた対照資料及び試薬のクロマトグラムを比較することで油脂の種類の推定が可能であることが明らかとなった。
長周期地震動等に伴う室内安全に関する検証(その4)
(電気器具に関する地震火災予防対策の検討)
長周期地震動等に伴う室内安全に関する検証の4か年目であr本年度は、地震動等に起因した電気器具等による出火危険を検証した。過去の地震時の出火事例や被害報告に基づき電気器具等の危険性を確認し、地震火災予防対策について検討した。
その結果、家具類の転倒・落下・移動防止対策を行うなどの対策が重要であることを再認識したとともに、地震を感じた際には電気フライヤーから1m以上離れるなどの地震火災予防対策をまとめた。
消火器を用いた初期消火時の周辺環境の変化に関する検証 本検証では、「屋内環境」で発生した火災において消火器で初期消火を実施した場合、初期消火者がより安全かつ確実に初期消火できる手順を具体的に明治する事を目的とし、実験を行った。

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