第7章 火災のときに役立つ建物の設備
この章のねらい
基本科目
消火・避難
達成目標
- 屋内消火栓の取扱方法を知っている。
- 避難器具の取扱方法を知っている。
ジュニア団員のてびきでは、火災のときに役立つ建物の設備を学んできました。リーダー団員は屋内消火栓設備と避難器具の使い方を覚えて、いざというとき使えるようにしましょう。
1 屋内消火栓
屋内消火栓は、水バケツや消火器に比べると、操作は簡単ではありませんが、非常に効果的な消火設備で、消防隊だけではなく火災を発見した一般の人も使用することができます。1号消火栓、易(い)操作性1号消火栓と2号消火栓があります。1号消火栓は多量の水を一定の範囲の圧力で放水するため操作を2人以上で行いますが、易操作性1号消火栓と2号消火栓は1号消火栓と比較して放水量が少量に設定してあるため、操作が非常に簡単で、一人でも使用することができます。
1号消火栓 |
易操作性1号消火栓 |
2号消火栓 |
(1)1号消火栓の操作手順(2人か3人で操作する)
1. 使用する屋内消火栓を選定する。 |
2. 起動ボタンを押す。 |
3. 消火栓の扉を開く。 |
4. ホースを延長する。 |
5. 開閉バルブを開く。 |
6. 放水する。 |
(2)易(い)操作性1号消火栓・2号消火栓(ホースの延長操作が容易で、ノズルに開閉弁がついているもの)
1. 使用する屋内消火栓を選定し、扉を開く。 |
2. ノズルを取り出す。 |
3. 消火栓開閉弁を開く。 |
4. ホースを延長する。 |
5. ノズル開閉弁を開く。 |
6. 放水する。 |
2 避難器具
(1)避難器具の種類
避難はしご
建物の出入口のある階又は直接地上に避難できる機能があるはしご。金属製、非金属製(なわ製)のものがあるが、4階以上の階に設置する場合は、金属製にしなければならない。
救助袋
窓から袋を降ろし、その中をすべり降りる器具。斜め降下方式(地上で固定するもの)と垂直降下方式(つり下げるもの)の2種類がある。
緩降機
調速器、ロープ、ベルト及びフックから構成され、ロープの端のベルトを体に通し、ぶら下がって避難する人の重さにより、一定のスピードでつるべ式に1人ずつ交互に降下させる器具。
その他
その他に避難ロープ、すべり台、避難橋、避難用タラップ、すべり棒がある。
(2)避難器具の取扱方法
- 避難器具は、操作方法をよく理解してから取り扱う。
- 救助袋本体を降ろす時は、窓枠・壁・手すり等に接しないように取り扱う。
- 斜降式救助袋の展張ロープは、左右のバランスを取り、強く張る。
- 緩降機は、本体のフックの安全(あんぜん)環(かん)を完全にしめる。
- 訓練を行う時の服装は、素肌を出さないように、長そで・長ズボン・運動靴・手袋を身に付ける。
- 緩降機などで降りる時は、1人ずつ行い連続して降りない。
(3)避難器具の設定要領
1. キャビネットを取り除く。 |
2. 誘導砂袋(ロープ付き)を下部担当者へ投下する。 |
3. 下部担当者と連携し救助袋を降下する。 |
4. 袋全体を降下し終わったら支持金具を引き起こし、取り付けてあるステップをおこす。 |
5. フックを固定環にかける。 |
6. 滑車間のロープを引っ張って救助袋を展張させる。 |
7. 降下準備完了。 |
8. 両手を頭の上にあげ、肘は張らずに足を若干持ち上げ、腰ですべる。 |
1. カバー(キャビネット)をとる。 |
2. 袋を窓から降ろす。 |
3. 袋の支持枠を屋外に出す。 |
4. 足から袋に入る。 |
5. 身体を十分に伸ばし、両手は耳を保護する姿勢で自然にあげ、足はまっすぐ伸ばして降下する。 |
降下速度が速すぎた場合の降下姿勢 |
1. 取付金具の格納箱をあけ、取付金具を設定する。 |
2. 本体格納箱から調速器、リール、ロープ等を取り出す。 |
3. フック(ナス環)を取り付け用アームのつり輪にかけ、緩降機本体を取り付ける。 |
4.
降下空間及び付近の安全を確認しロープ、リールを投下する。 |
5. 降下者はベルトを頭からかぶり、ねじれのないよう脇の下に着装し、ベルトを両手で持ち身体を後ろに倒しベルトをしめる。 |
6. 左手(右手)で調速器のすぐ下のロープを2本ともにぎり、窓枠または、ベランダ等に足をかけ、右手(左手)で窓枠などを押すようにして外に出る。 |
7. 左手(右手)をロープから離し、両手を建物の外壁に向けて軽く伸ばして降下する。 |