家庭で発生する危険物の事故
ここでは、家庭にある身近な危険物により発生した事故について紹介します。
オイルが染み込んだタオルの乾燥後の余熱により出火した火災
概要
この火災は、複合用途建物の1階と2階をつなぐ階段の踊り場から出火したものです。
出火原因は、マッサージ店の店員が店舗で使用したオイルが染み込んだタオルを洗濯、乾燥させた後、約5時間乾燥機内に放置したことによりオイルの成分である不飽和脂肪酸が酸化発熱し、蓄熱した余熱により出火したものです。
アロマオイルなどに含まれる不飽和脂肪酸は、空気中の酸素に触れて酸化することで発熱します。乾燥後の衣類などをそのまま乾燥機内に放置することや、乾燥後に取り出しても山積みにしておくなどの行為は、熱が外部に逃げにくく、そのまま放置することで出火する危険性が高まります。
オイルなどの種類にもよりますが、出火に至るまでには数時間ほどかかり、乾燥機で乾燥され高温の状態になると、出火までの時間はより短くなります。
対策のポイント
- オイルが付着したタオルなどは、乾燥機は使用せず、自然乾燥させる。
- 乾燥機を使用した場合は、そのまま放置せずすぐに取り出す。
家庭にある不飽和脂肪酸を多く含むもの
- アロマオイル
- マッサージオイル
- 亜麻仁油などの食用油
- 床用ワックス(原料にアマニ油を使用したもの)
スプレー缶のガス抜きをした際に出火した火災
概要
この火災は、居住者がスプレー缶を廃棄するためにガス抜きをしていたときに出火したものです。
居住者は自宅台所のシンクでスプレー缶のガス抜きをした際、スプレーから抜けた可燃性ガスが使用していたガスこんろの火に引火し、立ち上がった炎がレンジフードフィルターに燃え移ったのを発見しました。
ペアスプレー、殺虫剤、パーツクリーナーなどのスプレー缶に入った製品をエアゾール製品と言います。エアゾール製品には、噴射剤と内容物が封入されています。噴射剤は、LPG(液化プロパンガス)やDME(ジメチルエーテル)などの可燃性ガスが使用されている場合が多いです。一方、内容物には、様々な効果をもたらす物質が混合されており、アルコール類などの消防法上の危険物に該当する物質が使用されている可能性があります。エアゾール製品は、可燃性の物質を多く使用しているため、火気の近くで使用すると大変危険です。
また、廃棄の際に分別を誤ったことによる火災も発生しています。使用時だけでなく、廃棄する場合にも注意しましょう
対策のポイント
- 居室などの屋内でスプレー缶を噴射すると、可燃性ガスが滞留し、こんろの炎や冷蔵庫、照明等の電気機器で発生する火花で引火する可能性があります。
- ガスを使い切る際は、火気のない通気性の良い屋外で残存ガスが無くなるまで噴射しましょう。
- スプレー缶を廃棄する場合は、中身を使い切って、各区市町村が指定する取り決めに従って廃棄しましょう。
アルコールストーブを使用中に給油して出火した事故
概要
この火災は、住宅の1階居室から出火したものです。
出火原因は、居住者が使用中のアルコールストーブに燃料用アルコール(液体)を継ぎ足したところ、火の点いたアルコールが周囲に飛散し出火したものです。
居住者が、アルコールストーブを使用したいた際に炎が小さくなってきたため火を消さずに燃料用アルコールを継ぎ足していたところ、補充していたアルコールに火が点き飛散したため周囲の可燃物に燃え移りました。
アルコールストーブは、軽量で携帯用にも便利な製品で、キャンプなどに利用されています。燃料の種類も液体燃料や固体燃料など様々な種類があります。
キャンプ用品には、ランタンやバーナーなどの燃料であるホワイトガソリンや木炭に火を点ける時に使用する着火剤など、危険物となるものを使用する場面が多くあります。
火災を未然に防ぐためにも、取り扱う場所や給油方法など取扱説明書をよく読み正しく使用しましょう。
対策のポイント
- 機器に燃料を補充する場合は、火を消してから行いましょう。
- 取り扱う場所や給油方法など取扱説明書をよく読み正しく使用しましょう。