5 震災時の消火活動困難度
消防水利の有効性(250mメッシュ単位)

概要
震災時の火災においては、道路閉塞などにより防火水槽等が使用できなくなると、その周辺での消火活動を行うことが難しくなります。
この地図は、防火水槽等の位置、道路の幅員、建物の耐震性などから、防火水槽等が使用できる可能性を推定し、メッシュごとに表したものです。
特別区
- 道路閉塞と水利の密度の影響で一部地域の有効性が低い結果となっていますが、全体的に有効性は高い結果となっています。
多摩地区
- 道路閉塞と水利密度の影響で西側ほど有効性が低い結果となっています。
消防隊等の到達性(250mメッシュ単位)

概要
震災時の火災においては、道路閉塞などにより防火水槽等が使用できなくなると、その周辺での消火活動を行う消防隊や消防団が火災発生場所まで到達するのに時間がかかる可能性があります。
この地図は、道路の整備状況、建物の耐震性、道路渋滞率などから、消防署所や消防団のポンプ置場からの到達時間を推定し、メッシュごとに表したものです。
消防隊等の到着時間が遅いメッシュでは、早期に消火できなかった場合に、被害が拡大するおそれがあります。出火防止や初期消火力向上等の対策が特に重要な地域であると言えます。
特別区
- 消防署所や消防団のポンプ置場から遠く、道路閉塞率が高い地域で到達性が低くなっています。
多摩地区
- 区部と比較して道路が少ない地域や道路閉塞の影響で到達性が低い地域が多く見られます。
震災時の消火活動困難度(250mメッシュ単位)

概要
火災が発生した場合の必要最小限の消防隊数という観点で、地域の延焼危険度、消防水利の有効性、消防隊等の到達性を総合化したものです。
消火活動困難度が高いメッシュでは、初期消火の実施率の向上など、総合的な震災対策を進める必要があります。
特別区
- 延焼危険度が高い地域や消防の到達性が低い地域で困難度が高くなっています。
多摩地区
- 水利の密度が低い地域や消防の到達性が低い地域で困難度が高い結果となっています。
震災時の消火活動困難度(町丁目単位)

概要
震災時の消火活動困難度を町丁目単位で表したものです。
消火活動困難度が高い町丁目では、初期消火の実施率の向上など、総合的な震災対策を進める必要があります。
なお、建ぺい率が5%以下である250mメッシュが、町丁目内に存在するメッシュのうち60%以上を占めている場合は、その町丁目を評価対象外としています。
結果
- 消火活動困難度(町丁目)が低い地域は、消火活動困難度(250mメッシュ)と同様の結果となっています。多摩の一部で消防活動困難度が高いと判定された町丁目が見られます。
震災時の消火活動困難度測定手法の概要
測定手法の概要
1 消防水利の有効性
震災時にポンプ車1隊又は可搬ポンプ1隊が水利に部署して活動することができる可能性について、建物倒壊を考慮した消防水利の使用可能性や分布状況から250mメッシュ単位で評価したものです。
幅員2.5m未満の道路沿いの消防水利は可搬ポンプによる活動のみが行われると考え、幅員2.5m以上の道路沿いの水利は可搬ポンプ及びポンプ車による活動が行われる前提にしました。
そして、それぞれにより放水できる範囲を考慮して、水利を中心とした円を描き、メッシュ全体のうちどのくらいの範囲を円がカバーしているか(図8)評価しています。
その際、可搬ポンプの消火能力がポンプ車より低い点や、建物倒壊による道路閉塞により消防水利を使用できる可能性が低下することも考慮しています。ランク区分は表4のとおりです。
図8 シミュレーションのイメージ

ランク | 有効性評価値(%) |
---|---|
5 | 0 ~ 50未満 |
4 | 50 ~ 75未満 |
3 | 75 ~ 90未満 |
2 | 90 ~ 99未満 |
1 | 99 ~ 100 |
2 消防隊等の到達性
直近の消防署所や消防団のポンプ置き場(消防ポンプ車・可搬ポンプ積載車が配置されているものに限る)からポンプ車や可搬ポンプ積載車が出動した場合の各メッシュへの到達時間の違いを相対的に評価したものです。評価の際、道路の混雑状況を走行速度の低減要因として加味し、震災時の倒壊建物による通行可能性の低下も考慮して算出しています(図9)。ランク区分は表5のとおりです。
なお、道路の混雑状況は、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震時の車両走行速度データを参考に設定しました。
図9 消防隊等到達性の算定フロー

ランク | 到達性評価値(分) |
---|---|
5 | 20以上 |
4 | 15 ~ 20未満 |
3 | 10 ~ 15未満 |
2 | 5 ~ 10未満 |
1 | 0 ~ 5未満 |
3 震災時の消火活動困難度
地域の延焼危険度、消防水利の有効性、消防隊等の到達性の3要素を用いて、消火に必要な消防隊数の観点から、震災時の消火活動の困難性を次式により総合的に評価しました。ランク区分は表6のとおりです。

ランク | 困難度評価値[口数] |
---|---|
5 | 5以上 |
4 | 3 ~ 5未満 |
3 | 1.5 ~ 3未満 |
2 | 0.5 ~ 1.5未満 |
1 | 0 ~ 0.5未満 |
4 共通事項
消防水利の有効性、消防隊等の到達性及び震災時の消火活動困難度は、250mメッシュ内の建物の平均建ぺい率が5%以上のメッシュでのみ測定しています。
問合せ先
- 東京消防庁震災対策課
- 03-3212-2111(代表)