消防水利施設構造基準

第1 地中ばり水槽

1 位 置
標準ポンプ車が容易に接近し、取水できること。

2 容 量
常時、40m3以上の水量が確保できること。

3 構 造
(1) 地盤面から水槽底版までの落差は、7m以内とすること。

(2) 水槽内には、給水管・排水管・電気配管等他用途の配管を通さないこと。

(3) 内部仕上げは、床及び壁を全面防水措置するものとし、上階が居室等の場合は必要に応じて、天井に防湿工事を施すこと。

(4) 水槽には、直接吸管を投入できる直径60cmの吸管投入口(別図1参照)を設けることとし、原則として、別記に定める「防火水槽鉄蓋仕様書」の第2~第9(第3,1,(4)を除く。)に明記された規格に適合する、T-14(空地用)消防用鉄蓋(別図2参照)を取り付けること。ただし、大型車両の通行や駐車が予想される場所については、別途協議のうえT-25(道路用)消防用鉄蓋を取り付けること。

(5) 吸管投入口を設けない場合は、導水装置及び点検口を設けること。(別図3参照)
ア 導水装置は、第3の構造により設けること。
イ 点検口は直径50cm以上とし、点検に際し支障のない位置とすること。
また、点検口に設けるマンホール鉄蓋は、原則として防水型とし、容易に開放できない構造とすること。

(6) 水槽内の水を全て吸水するために、吸管投入口の直下に集水ピットを設けることとし、その大きさは、原則として縦50cm・横100cm・深さ30cmとすること。

(7) 水槽が地中ばりで区画されている場合は、硬質塩化ビニール管等を使用し、各区画ごとに通気口、通水口及び人通口を次により設けること。(別図1参照)
ア 通気口は、口径10cm以上とし、はりの上部に2箇所以上(100m3水槽の場合は4箇所)とすること。
イ 通水口は、口径15cm以上で各はりの下部に2箇所以上(100m3水槽の場合は4箇所)とし、底版に接するようにすること。
ウ 人通口は、直径60cm以上の大きさとし、その下端は、底版から30cm以下とすること。ただし、構造上設置することが困難であり、各区画が点検できるよう点検口を設けるなどした場合は、この限りではない。

(8) 過剰充水による水損の防止措置
ア 吸管投入口及び点検口から確認できる壁面に充水の最高限度、充水量を樹脂系の黄色のペイントで標示をすること。(別図4参照)
イ 地中ばり水槽である旨と、マンホールから満水面までの距離を記載した標示板を、吸管投入口及び点検口付近の水槽内に設置すること。(別図5参照)

(9) 給水栓(自動給水を含む。)は設置しないこと。

4 消防水利標識
屋外の吸管投入口又は採水口付近の見やすい位置に、別図10の仕様により設置すること。
なお、設置場所については、管轄消防署と協議のうえ決定すること。

5 その他 前1~4に示す基準により難い場合は、その都度協議すること。

第2 兼用水槽

位置、容量及び構造は、前第1(第1.3(2)を除く。)によるほか、次のとおりとすること。
(1) 容量は、消防法で定める消防用設備等の必要な水量と40m3を合算した水量以上とすること。
(2) 構造は、消防水利として40m3以上活用した後も、消防法で定める消防用設備等に必要な水量が確保されていること。(別図6参照)
(3) 必要により給水栓を設置してもよいこと。

第3 導水装置

1 位 置
標準ポンプ車が容易に採水口に接近できること。

2 受水槽等の容量
常時、40m3以上の水量が確保されていること。ただし、40m3以下であっても、補給により1m3/min以上の水量を連続して40分間確保できればよいものとする。

3 構 造
(1) 採水口は、次によること。
ア 原則として、単口型を2口以上(100m3水槽の場合は4口)設けること。
イ 取り付け高さは、地盤面から結合部の中心まで0.5m以上1.0m以下とすること。
ウ 採水口相互間は、50cm程度離すこと。
エ 材質は、SUS 304 TPD ステンレス鋼鋼管に適合するもの又はこれと同等以上のものとすることとし、結合部は呼び径75㎜のめねじとし、JIS B 9912(消防用ねじ式結合金具の結合寸法)に適合すること。
オ 覆冠を設け、面板等に「採水口」と標示すること。(別図7参照)

(2) 導水管は、次によること。
ア 採水口1口ごとの単独配管(口径100mm以上)とすること。
イ 標準ポンプ車を使用して、1m3/min以上の取水ができるように設計すること。なお、口径の算定にあっては、「配管口径算定要領」によること。(別表参照)
ウ 吸水口は、集水ピット内とし、集水ピット床面より20cm程度離すとともに、吸水口相互間は50cm以上離すこと。(別図8参照)
エ 材質は、SUS 304 TPD ステンレス鋼鋼管、JWWA K144 (日本水道協会規格品)又はPWA001(配水ポリエチレン管協会規格品)に定める水道配水用ポリエチレン管(PE)とし、PE継手についてはJWWA K145 又は、PWA002(同規格品)のうちEF継手のものを使用する。なお、PEは屋外の露出部分に使用しないこと。
オ 配管は必要に応じた腐食を防止するための措置を施すこと。
カ 導水管には、必要に応じ「導水管」と標示すること。

(3) 外部への通気管は、次によること。
ア 口径は、100mm以上(100m3水槽の場合は150mm)とすること。
イ 先端は180度曲げ、異物の混入を防止するための網を設けること。
ウ 材質は、原則として JIS G 3452〔配管用炭素鋼鋼管(白ガス管)〕に適合するもの又はこれと同等以上(ステンレス鋼鋼管等)のものとすること。なお、白ガス管で架空配管する部分は、外面の腐食を防止するための塗装をし、埋設配管する部分は、防食テープ等により措置すること。
エ 通気管には、「防火水槽・通気管」と標示すること。

(4) 逆止弁・止水弁・水抜弁等は、次によること。
ア 飲料用受水槽等に導水装置を設置する場合は、必ず逆止弁・止水弁を設けると共に必要により水抜弁を設けて水が滞留しない構造とすること。
イ 水抜弁又は空気抜弁は、点検に容易な位置とすること。
ウ 止水弁を設ける場合は、採水口の近くの位置とし、必要に応じてその旨標示すること。

(5) 揚水時間が60秒以上かかる場合は、必ず採水口付近にその旨を標示すること。(別図9参照)

4 消防水利標識
屋外の採水口付近の見やすい位置に、別図10の仕様により設置すること。
なお、設置場所については、管轄消防署と協議のうえ決定すること。

5 その他
前1~4に示す基準により難い場合は、その都度協議すること。

第4 その他の水利施設

その他の水利施設の位置・容量・構造・消防水利標識は、前第1、第2及び第3に準ずることとし、これにより難い場合にあっては、その都度協議すること。