プール施設等で、塩素ガスが発生する事故が起きています。
原因は、機械室に設置されている循環式浄化設備に薬液を補充する際の手違いによるものです。
夏に向けてプールの清掃作業等を行う前に、事故防止対策を講じておきましょう!
プール水の消毒に用いる次亜塩素酸ナトリウム溶液などの次亜塩素塩溶液と、水質浄化目的で凝集助剤として用いるポリ塩化アルミニウム溶液などの酸性溶液を、タンクを間違えるなどして混合してしまうと、化学反応を起こし塩素ガスが発生します。
催涙性や眼、皮膚、気道に対する腐食性があります。また、吸入すると肺気腫を起こすことがあります。許容濃度を超えた場合は死に至ることもあります。この影響は、遅れて現れることがあります。
1 | 38歳男性(設備業者)がプール施設の機械室で次亜塩素酸ナトリウムの抜き取りを実施し、ポリ塩化アルミニウムのタンクに誤って次亜塩素酸ナトリウムを混入させ、発生した塩素ガスを吸い込んだもの。(中等症1名) |
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2 | 35歳男性(教諭)が、学校のプール施設の機械室で点検を行った際に、タンクに入っていたポリ塩化アルミニウムが減っていたため補充しようとしたところ、誤って次亜塩素酸ナトリウムを投入したために発生した塩素ガスを吸い込み受傷したもの。(軽症2名) |
3 | 28歳男性(教諭)がプール施設の機械室で清掃作業を行っていた際に、誤って次亜塩素酸ナトリウムのタンクにプール用の凝集剤のポリ塩化アルミニウムを入れたため、塩素ガスが発生したもの。作業を行っていた教諭から、異臭が発生している旨の報告を受けた教諭4名が現場を確認するために機械室に入ったところ、塩素ガスを吸い込み受傷したもの。(軽症5名) |
4 | 24歳男性(アルバイト社員)が、プール施設の機械室内での清掃作業中、次亜塩素酸ナトリウム約10リットルを誤って隣接されているポリ塩化アルミニウムのタンク内に補充してしまい、発生した塩素ガスを吸い込んだもの。(軽症1名) |
事例1
事例2
このような場合には事故を未然に防ぐために対策をしましょう。
事故防止対策の例
明確に識別できる色(テープなど)で区別する。
保管場所、注入場所に色を合わせて表示する。
(1) 薬剤等の取り扱いは十分な知識がある方、又は、取り扱いについて十分に説明を受けた方が行いましょう。また、努めて複数の人で作業を行いましょう。
(2) 薬剤等は種類ごとに専用の保管場所で保管しましょう。
(3) 万が一の事故発生時の対応について周知しておきましょう。
事故発生時には、他の部屋への避難、消防機関への通報、空調設備の停止など、各施設の対応マニュアルがあればそれに従い、判断に迷うときは、まず避難して、速やかに消防機関に通報しましょう。
(1) 事故防止対策
「東京都プール等取締条例施行規則別表第二」
(2) 事故発生時の対応
「次亜塩素酸塩溶液と酸性溶液との混触による塩素中毒災害の防止について」
(平成16年11月2日付厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)