救急搬送データからみる高齢者の事故
2026年03月05日 更新
日常生活での高齢者の事故を防ぐために
東京消防庁管内※1では、令和6年中、日常生活における事故(交通事故を除く。)により、約16万3千人が救急搬送されています。救急搬送の約6割以上は高齢者※2で、令和2年から令和6年までの5年間に42万人以上の高齢者が、日常生活中の事故により救急車で医療機関へ搬送されています。
日常生活での思わぬケガは生活に影響を及ぼすこともあり、本人だけでなく家族や地域で事故防止を考えることが重要です。
※1東京都のうち、稲城市、島しょ地区を除く地域
※265歳以上
高齢者の事故防止ポイント
事故の実態や傾向を知り、本人、家族、地域でそれぞれができる事故防止対策を実施しましょう。
加齢に伴い、様々な身体能力(心肺機能、筋力、視力・聴力、食べ物等を飲み込む力など)が低下します。身体機能の変化について知り、事前の事故防止対策をしましょう。
ころぶ事故を防ぐために(転倒防止)
- 段差のある場所や階段、玄関には、手すりや滑り止めを設置しましょう。
- 電源コードが通路にかからないよう、電気製品の配置を工夫しましょう。
- 敷居につまずかないように、体力を増強して、つま先を上げてすり足を改善しましょう。
- 乗り物に乗り降りする際は、足元の段差に気を付けましょう。
- 自転車で段差を乗り越えるときは、急がずあわてず慎重に乗り越えましょう。
- エスカレーターに乗るときは、しっかりと手すりをつかみましょう。
落ちる事故を防ぐために
- 滑り止めマットを敷くなど、事故防止対策をとりましょう。
- 脚立や踏み台に上がって作業する際は、安定した足場を選び、バランスを崩さないようにしましょう。
おぼれる事故を防ぐために
- 飲酒後の入浴はやめましょう。
- 熱い湯、長風呂は危険が増すため注意しましょう。
- 脱衣所、浴室内の適切な温度調節を行いましょう。
ものがつまる・誤って飲み込む※事故を防ぐために(窒息・誤飲防止)
- 食べる前に、お茶や汁物を飲んで喉を潤しておきましょう。
- 小さく切るなど、食べやすい大きさにしましょう。
- 急いで飲み込まず、ゆっくりと噛みましょう。
1 高齢者の日常生活事故発生状況
- 高齢者の事故はどのくらい発生しているの?
令和2年からの5年間を見ると、令和3年から増加傾向にあります。令和6年には98,056人が救急搬送されています(図1―1)。
図1-1:日常生活事故での高齢者の救急搬送人員の推移 - 重症度はどれくらいなの?
令和2年からの5年間で救急搬送された高齢者の初診時程度別では、4割以上が入院の必要がある中等症以上と診断されています(図1-2)。
また、入院の必要がある中等症以上の割合は、高齢になるにつれて増加しています(図1-3)。軽 症:軽易で入院の必要がないもの
中等症:生命の危険はないが、入院の必要があるもの
重 症:生命の危険が強いと認められたもの
重 篤:生命の危険が切迫しているもの
死 亡:初診時に死亡が確認されたもの
図1-2:高齢者の初診時程度別救急搬送人員
図1-3:高齢者の年齢別救急搬送人員と中等症以上の割合 - どのような事故で救急搬送されているの?
令和2年からの5年間で、事故発生時の動作分類では、「その他」や「不明」を除くと、「ころぶ」事故が全体の8割以上を占め、次いで「落ちる」事故が多く発生しています。
日常生活の中での「ころぶ」や「落ちる」による事故が多く発生しており、この2つの事故だけで5年間に36万人以上の高齢者が医療機関に救急搬送されています(図1-4)。
また、事故種別ごとに入院が必要とされる中等症以上の割合をみると、「おぼれる」事故の98.4%が最も高く、次いで「ものがつまる等」による事故が高くなっています(図1-5)。
図1-4:事故種別ごとの高齢者の救急搬送人員
図1-5:事故種別ごとの高齢者の救急搬送人員と中等症以上の割合 - 年齢ごとの救急搬送されている人の割合は?
令和2年からの5年間における、年齢ごとの人口※3に占める救急搬送人員の割合をみると、年齢が高くなるにつれて救急搬送されている人の割合が増加していることが分かります(図1-6)。
※3東京消防庁管内における人口(令和2年から令和6年までの人口)
図1-6:高齢者の年齢別救急搬送人員と人口に占める救急搬送人員の割合
2 令和6年中の高齢者の事故
- 高齢者の「ころぶ」事故の発生状況
高齢者の事故の中で最も多いのが「ころぶ」事故で、毎年多くの高齢者が「ころぶ」事故でケガをして救急搬送されています。令和6年には73,500人が救急搬送されています(図2-1)。
また、年齢ごとの人口に占める救急搬送人員の割合をみてみると、年齢が高くなるにつれて割合も増加しており、高齢になるほど「ころぶ」ことがケガにつながっています(図2-2)。
図2-1:「ころぶ」事故による高齢者の年別救急搬送人員
救急搬送時の初診時程度では軽症が最も多いですが、約4割の高齢者が入院の必要がある中等症以上と診断されています(図2-3)。
図2-2:「ころぶ」事故による高齢者の年齢別救急搬送人員と人口に占める救急搬送人員の割合(令和6年中)軽 症: 軽易で入院の必要がないもの
中等症: 生命の危険はないが、入院の必要があるもの
重 症: 生命の危険が強いと認められたもの
重 篤: 生命の危険が切迫しているもの
死 亡: 初診時に死亡が確認されたもの
事故の発生場所では、「住宅等居住場所」が最も多く、次に「道路・交通施設」となっています。
図2-3:「ころぶ」事故による高齢者の初診時程度別救急搬送人員(令和6年中)
「住宅等居住場所」の42,180人を屋内と屋外に分けてみると、屋内での発生が39,053人で9割以上を占めています(図2-4)。
「住宅等居住場所」で「ころぶ」事故が多く発生した場所を見てみると、「居室・寝室等」が最も多く、次に「玄関・勝手口等」、「廊下・縁側・通路」となっています(表2-1)。
図2-4:高齢者の「ころぶ」事故の発生場所(令和6年中)1位 2位 3位 4位 5位 事故
発生場所居室・寝室 玄関・勝手口等 廊下・縁側・通路 トイレ・洗面所 台所・調理場・
ダイニング・食堂救急搬送
人員29,783人 3,900人 2,653人 1,229人 1,079人 表2-1:住宅等居住場所における高齢者の「ころぶ」事故の発生場所上位5つ(令和6年中)
- 高齢者の「落ちる」事故の発生状況
高齢者の事故の中で「ころぶ」事故に次いで多いのが「落ちる」事故で、毎年6,000人以上が救急搬送されており、令和6年は8,719人が救急搬送されています(図2-5)。
また、年齢ごとの人口に占める救急搬送人員の割合をみると、年齢が高くなるにつれて割合も増加していることが分かります(図2-6)。
図2-5:「落ちる」事故による高齢者の年別救急搬送人員
救急搬送時の初診時程度では4割以上の高齢者が入院の必要がある中等症以上と診断されています(図2-7)。
図2-6:「落ちる」事故による高齢者の年齢別救急搬送人員と
人口に占める救急搬送人員の割合(令和6年中)軽 症:軽易で入院の必要がないもの
中等症:生命の危険はないが、入院の必要があるもの
重 症:生命の危険が強いと認められたもの
重 篤:生命の危険が切迫しているもの
死 亡:初診時に死亡が確認されたもの
事故の発生場所では、約8割が「住宅等居住場所」で発生しています(図2-8)。
図2-7:「落ちる」事故による高齢者の初診時程度別救急搬送人員(令和6年中)
また、事故原因で多かったものをみると、最も多いのが「階段」での事故です(表2-2)。
図2-8:高齢者の「落ちる」事故の発生場所(令和6年中)1位 2位 3位 4位 5位 関連器物 階段 ベッド 椅子 脚立・踏み台・足場 エスカレーター 救急搬送人員 4,240人 976人 328人 324人 175人 表2-2:高齢者の「落ちる」事故の事故原因上位5つ(令和6年中)
- 高齢者の「ものがつまる等」による事故の発生状況
高齢者の事故の中で重症度の高い事故の1つが「ものがつまる等」による事故です。
令和6年は、1,565人の高齢者がものをつまらせる、誤って飲み込んでしまうことにより救急搬送されています(図2-9)。
また、年齢ごとの人口に占める救急搬送人員の割合をみると、年齢が高くなるにつれて割合も増加していることがわかります(図2-10)。
図2-9:「ものがつまる等」事故による高齢者の年別救急搬送人員
救急搬送時の初診時程度では5割以上の高齢者が入院の必要がある中等症以上と診断され、379人が生命の危険がある重症以上と診断されています(図2-11)。
図2-10:「ものがつまる等」の事故による高齢者の年齢別救急搬送人員と
人口に占める救急搬送人員の割合(令和6年中)軽 症:軽易で入院の必要がないもの
中等症:生命の危険はないが、入院の必要があるもの
重 症:生命の危険が強いと認められたもの
重 篤:生命の危険が切迫しているもの
死 亡:初診時に死亡が確認されたもの
事故の発生場所では、9割以上が「住宅等居住場所」で発生しています(図2-12)。
図2-11:「ものがつまる等」の事故による高齢者の初診時程度別救急搬送人員(令和6年中)
また、製品が判明したもののうち、事故の発生原因で最も多かったものは「包み・袋」で、次に「入れ歯によるもの」、「肉」、「薬剤等」と続いています。特別な食品ではなく、普段の食事の中でも事故は発生しています(表2-3)。
図2-12:高齢者の「ものがつまる等」の事故発生場所(令和6年中)1位 2位 3位 4位 5位 事故原因 包み・袋 入れ歯 肉 薬剤等 餅 救急搬送人員 153人 118人 63人 57人 54人 表2-3:高齢者の「ものがつまる等」の事故原因上位5つ(令和6年中)
- 高齢者の「おぼれる」事故の発生状況
高齢者の事故の中で最も重症化しやすい事故が「おぼれる」事故です。5年間で2,481人が救急搬送され、入院の必要がある中等症以上と診断された高齢者は、毎年9割を超えています(図2-13)。
また、令和6年中の月別の搬送人員では、12月から3月までに多く発生していることが分かります(図2-14)。
図2-13:「おぼれる」事故による高齢者の年別救急搬送人員と中等症以上の割合
救急搬送時の初診時程度では、他の事故と異なり中等症以上の割合が98.6%と非常に高く、385人が生命の危険がある重症以上と診断されています(図2-15)。
図2-14:「おぼれる」事故による高齢者の月別救急搬送人員(令和6年中)軽 症:軽易で入院の必要がないもの
中等症:生命の危険はないが、入院の必要があるもの
重 症:生命の危険が強いと認められたもの
重 篤:生命の危険が切迫しているもの
死 亡:初診時に死亡が確認されたもの
図2-15:「おぼれる」事故による高齢者の初診時程度別救急搬送人員(令和6年中)事故の発生場所では、「住宅等居住場所」が400人と9割以上を占め、その多くは浴槽で発生しています(図2-16)。

図2-16:高齢者の「おぼれる」事故の発生場所(令和6年中)
3 令和6年中の高齢者の事故事例
【ころぶ事故】
- トイレ内で足を滑らせ尻もちをつき、臀部を受傷した(90代 中等症)。
- 自宅内のカーペットつまずき転倒し、右股関節を受傷した(60代 重症)。
【落ちる事故】
- 脚立約2段の高さから転落し、左肩と胸部を受傷した(80代 中等症)。
- 自宅内の階段から約5段程転落し、顔面を受傷した(80代 軽症)。
【ものがつまる等による事故】
- 雑煮を食べていたところ、突然苦しみ出して反応が無くなった(80代 重篤)。
- 食事中に肉片を詰まらせ、反応が無くなった(90代 重篤)。
【おぼれる事故】
- 入浴時間が長いため家族が様子を見に行くと、浴槽内で水没していた(80代 重症)。
- 公衆浴場で入浴中にうつ伏せで浮かんでいるところを他の利用客が発見した(80代 重篤)。
問合せ先
- 防災部
- 防災安全課
- 生活安全係
- 03-3212-2111 内線4206