第1章 消防少年団のしくみ
消防少年団を知ろう・・・キッズ団員
第1章 消防少年団の活動・・・ジュニア団員
第1章 消防少年団活動・・・リーダー団員
第1章 高校生団員の消防少年団活動・・・高校生団員
この章の趣旨
- 消防少年団活動や防災を学ぶ意義について団員に理解させ、消防少年団活動を続けていく意欲を持たせる。
- 年代別指導カリキュラムに基づく、活動計画の樹立を行う。
団員の達成目標
(注)キ:キッズ団員用カリキュラム ジ:ジュニア団員用カリキュラム
リ:リーダー団員用カリキュラム 高:高校生準指導者用カリキュラム
科目 | 指導内容 | 達成目標 | ||
---|---|---|---|---|
基本科目 | 仕組み | 1 消防少年団の仕組み 2 活動の仕方 3 消防少年団歌 |
キ | 1 消防少年団の目的・組織について知っている キッズ団員の学ぶことを知っている 3 消防少年団歌が歌える |
ジ | 1 消防少年団の目標を知っている ジュニア団員のカリキュラムを知っている |
|||
リ | 1 リーダー団員の役割をわかっている 消防少年団の組織について知っている |
|||
高 | 高校生団員の役割をわかっている |
1 活動の意義
(1)目標・目的
消防少年団活動は、少年少女にとって、災害、防災について学ぶ貴重な機会であるとともに、将来の地域防災を支える人づくりとして重要な意義をもっています。
阪神・淡路大震災、東日本大震災などの経験を通じて、防災には専門の行政機関のみではなく、地域の住民、企業、団体など地域全体の平時からの取組みによる地域の総合防災力が不可欠であると認識されるようになりました。消防少年団活動は、将来、社会人として地域の防災リーダーともなりうる人材の育成を目的としています。
さらに、消防少年団活動は、団員が防災を通じて地域と関わりをもち、さまざまな仲間との交流をもつ機会ともなり、人間形成や地域社会への参加の面でも大きな意味があります。
一人の団員にまかれた防災の種が、やがて芽を出し、その家族へ同級生へと枝を広げていくように、活動の輪を広げていきたいものです。
消防少年団の目標
- 防火に関する科学的知識を学習し習得する。
- 防火、救護に必要な技術を身に付ける。
- 団体活動をとおして、規律のある態度を身に付ける。
- 防火防災思想を自分の身近なところから広げる。
- 社会に役立つことをする。
- 健康なからだと健全な心をつくる。
(2)自助・共助
令和4年5月25日に東京都から「首都直下地震等による東京の被害想定」が公表されました。この中で、最大の被害は都心南部地震であり、地震発生から24時間のうちに最大623件の出火があり、火災による死者は2,482人と想定されています。
このような状況の中で、地域住民自身による「自分たちのまちは自分たちで守る」という、「自助・共助」を意識した日頃からの活動が、地域を守る上で非常に重要になっています。「自助」とは、地域住民一人ひとりが、日頃から家具類の転倒・落下・移動防止の対策を実施したり、非常用持ち出し品を準備したりして、震災時には、ケガをせず、身の安全を第一に行動することです。また、「共助」とは、近所で万一火災等が発生した場合に、近隣住民で協力し合って消火活動や救助活動をしたり、困っている近隣住民を周囲の住民同士で助け合ったりすることです。東京都における震災の発生が危惧される中、これら「自助・共助」の意識が、今、求められています。
消防少年団員の子供達は、同学年の子供達の防災リーダーとして、また、将来は地域の防災リーダーとして活躍することを期待されています。小学校1年生から高校3年生までの12年間の消防少年団活動で、子供達が知識・技術を身に付け、友情や絆を育み、地域の防災リーダーへと大きく成長していく姿を見守っていきましょう。
2 消防少年団歌
昭和51年に最初の消防少年団が結成され、都内各地に消防少年団が結成されるにつれ、団員の結束を高める消防少年団歌が、是非必要であるとの声があがりました。
昭和54年に東京消防少年団連盟が結成されることになり、これにあわせて要望の高かった団歌を作成することになりました。作詞を石本美由紀氏、作曲を古関裕而氏にそれぞれ依頼し、できあがったのが東京消防少年団歌です。
発表会は、昭和54年5月19日の東京消防少年団連盟の発足当日に日比谷公会堂において行われ、歌手の藤山一郎氏の歌唱、学校法人淑徳学園合唱隊の合唱、東京消防庁音楽隊の演奏で披露されました。
= 東京消防少年団歌 =
素晴らしい仲間たち
3 消防少年団の歴史
(1)少年消防クラブの誕生
わが国における消防と少年団との結びつきは、明治時代に始まっていたといわれています。それは、少年に防火教育を行おうというものではなく、少年消防隊あるいは少年防火団などの名称の組織で、防火夜回りや消火ポンプを操作して初期消火を行わせるようなものであったようです。
一方、アメリカ合衆国では、早くから各州において消防に関心を持った少年たちによる火災予防の研究団体が結成され、活発な活動が展開されていました。なかでも、ロサンゼルス市のジュニア・ファイア・デパートメント(少年消防局)は最も熱心で、消防官の指導のもとで火災予防の活動に大きな役割を果たしていました。
これらの実情について、昭和25年に同市を視察した元国家消防本部研究所長等は、わが国においても同様な組織が必要であることを強く訴えました。
これを受け、国家消防庁(現在の総務省消防庁)は、GHQ(第2次世界大戦終了後、日本を統治するために設けられた連合国軍最高司令官総司令部)ファイア・ブランチの指導と助言を受けるとともに、文部省(現在の「文部科学省」)や社会教育団体との協議を進めた結果、昭和25年12月1日に少年に対する火災予防思想の普及を目指した「少年消防クラブ」の設置をすすめるよう各都道府県知事に対して通達しました。
これを受け、昭和26年以来、学校を単位としたクラブあるいは市町村を単位としたクラブが全国各地に多数結成されました。東京消防庁管内では、同年に結成された練馬区立中村小学校の児童による練馬少年消防クラブがはじめてのものでした。翌27年にはクラブの代表者による少年消防クラブ東京委員会が結成されました。以後も続々とクラブが結成され、昭和50年には63クラブに達しました。
(2)東京の消防少年団の誕生
東京の少年消防クラブは、昭和26年以来、様々な活動に大きな成果をあげてきましたが、その後、運営経費の不足、学校教育との調整、指導者の不足など種々の問題が生じてきました。
そのため、昭和50年に少年消防クラブの運営に関する専門委員会が設けられ検討を重ねた結果、従来の少年消防クラブを再編成し、消防署管轄区域を単位とした「消防少年団」を新たに結成することとなりました。昭和51年4月2日には、最初の消防少年団として狛江消防少年団が結成されました。その後、都内各地に消防少年団が結成され、平成22年に東京消防庁東久留米消防署の発足に伴い、東久留米消防少年団が結成されたことにより、80団となり現在に至っています。
4 消防少年団の組織
(1)全国の少年消防クラブ
消防少年団と同様の活動は、全国的には、「少年消防クラブ」B.F.C (Boys and girls Fire Club)という名称を用い、主として小学校や中学校といった学校を単位として実施されていることが多いようです。
令和4年5月1日現在 4, 1 5 0団体、約3 9万人(令和4年版消防白書)
その活動は、少年消防クラブの発足当初は、火災予防の普及徹底を目的とした学習、研究発表、ポスター作成、校内点検、火災予防運動などの活動が主でしたが、近年では消火訓練、避難訓練、救急訓練などの実践的な活動に向けた取組みのほか、防災タウンウォッチングや防災マップ作りなど身近な防災の視点を取り入れた活動も多く行われています。
総務省消防庁では、将来の地域防災の担い手の育成を図るため、消防の実践的な活動を取り入れた訓練等を通じて他地域の少年消防クラブ員と親交を深めるとともに、消防団等から被災経験、災害教訓、災害へのそなえなどについて学ぶ「少年消防クラブ交流会」を平成24年度から開催しています。
(2)東京の消防少年団の組織
消防少年団は、東京消防庁管内の各消防署単位に組織され、令和5年5月1日現在で80団あり、主として小学校1年生から高校3年生までの団員4,049名、指導者・一般準指導者1,772名が参加しています。各団は、地域などを単位とした団員10名程度の最も基本的なグループである「班」と、いくつかの「班」からなる「隊」で構成されています。
「班」には、団長から任命された「班長」が置かれています。「班長」は、「班」を団員の立場から統率して活動をリードしていく役割を担っています。
「隊」には、団長から任命された「隊長」「副隊長」が置かれています。「隊長」、「副隊長」は、「班長」同様団員の統率役ですが、自分の班をリードするとともに、隊に属する各班をまとめていく役割も担っています。
また、消防少年団活動の牽引役、団員の直接の指導の重要な役割を担っているのが、ボランティアである指導者、一般準指導者です。指導者の中から団を代表し、団運営の指導的役割を担う「団長」、「副団長」が選ばれます。
(3)東京消防少年団連盟
昭和51年の少年消防クラブの再編成以来、消防少年団全体の発展と相互の親睦のための組織結成への要望が高まっていました。東京消防少年団連盟(以下、「連盟」といいます。)は、このような要望に応えるかたちで、当時結成されていた41の消防少年団の総意により、昭和54年5月19日に発足しました。
連盟は、消防少年団員と指導者の正会員、学識経験者の中から理事会が推薦し会長が委嘱する名誉会員、連盟の趣旨に賛同する法人又は個人の希望で理事会が承認する賛助会員から構成されています。
その目的とするところは、消防少年団の指導育成、消防少年団相互の親睦を図り、消防少年団全体の発展に寄与することとされています。
(4)東京消防少年団育成委員会
東京消防少年団育成委員会には、東京消防庁本庁にある本庁育成委員会、各消防方面本部にある各方面消防少年団育成委員会(以下「方面育成委員会」といいます。)、そして各消防署にある各消防少年団育成委員会(以下「署育成委員会」といいます。)があります。本庁育成委員会は、消防少年団の指導・育成に関する基本方針を定めるとともに、各方面育成委員会、各署育成委員会に対して支援を行っています。この委員会の委員長は消防総監、副委員長は防災部長、幹事は防災安全課長が務めています。
このほか、方面育成委員会の委員長は各方面本部長が務めており、管轄区域内の各署育成委員会の支援を行っています。
また、各消防少年団を直接指導している署育成委員会の委員長は消防署長が務めています。
組 織 図
5 消防少年団活動
(1)団員の発達段階に応じた育成指導
消防少年団は、小学生・中学生を対象に育成指導を実施してきました。しかし、中学生団員から、高校生になってからも「より高度な防火防災の知識・技術を学びたい」という要望が多く寄せられ、平成27年度から高校生の団員活動が開始されました。
これに伴い、小学校1年生から高校3年生までの子供達が消防少年団員として活動することになり、子供達の発達段階に応じた育成指導が求められるようになりました。そこで、本庁育成委員会では、団員を学年別に4区分に分け、それぞれの区分に応じた到達目標及び育成方針、指導科目等を定めた年代別指導カリキュラムを新たに定め、高校生の団員活動と同時に、このカリキュラムに基づく育成指導が各消防少年団で開始されました。
(2)団員区分
団員区分 | 呼称 |
---|---|
小学校1・2年生 | キッズ団員 |
小学校3年生〜6年生 | ジュニア団員 |
中学生 | リーダー団員 |
高校生 | 高校生準指導者 |
(3)各区分の達成目標と育成方針
キッズ団員(小学校1・2年生) | |
---|---|
達成目標 |
|
育成方針 | ◆身の安全を守ることができる
◆楽しみながら防災を学ぶ
◆入団の動機となる活動
|
ジュニア団員(小学校3年生〜6年生) | |
達成目標 |
|
育成方針 | ◆初期消火や応急手当ができる
◆同年代の防災リーダーになる
|
リーダー団員(中学生) | |
達成目標 |
|
育成方針 |
◆地域防災の担い手になる
◆指導力を高める活動内容
|
高校生準指導者(高校生) | |
達成目標 |
|
育成方針 |
◆防火防災において社会に貢献できる
◆地域の防災リーダーを補助できる
◆総合力を高める活動内容
|
(4)年代別指導カリキュラム
年代別指導カリキュラムは、本庁育成委員会が各団員区分の達成目標と育成方針に応じて、具体的に育成指導内容を定めた団員指導の基本となるものです。
カリキュラムは、大きく2本の柱から構成されています。1つ目の柱は、消防少年団のしくみ、団員としての規律や消防に関するさまざまな知識や技術など、消防少年団員として当然身に付けるべき事柄に関する基本科目です。2つ目の柱は、火災予防広報活動、野外キャンプや社会奉仕活動など、実体験を通じて行動力や社会性豊かな人間性の涵養などを目的とした応用科目です
年代別指導カリキュラム
(注)キ:キッズ団員用カリキュラム ジ:ジュニア団員用カリキュラム
リ:リーダー団員用カリキュラム 高:高校生準指導者用カリキュラム
科目 | 指導内容 | 達成目標 | ||
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基本科目 | 仕組み |
|
キ |
|
ジ |
|
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リ |
|
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高 |
高校生準指導者の役割をわかっている |
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規律 |
|
キ |
|
|
ジ |
|
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消防の仕事 |
|
キ |
|
|
ジ |
|
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高 |
|
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科目 | 指導内容 | 達成目標 | ||
基本科目 | 防火・防災 |
|
キ |
|
ジ |
|
|||
リ |
|
|||
高 |
|
|||
科目 | 指導内容 | 達成目標 | ||
基本科目 | 通報 |
|
キ |
|
ジ |
|
|||
リ |
自動通報について知っている |
|||
消火 |
|
ジ |
|
|
リ |
|
|||
高 |
|
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救急 |
|
キ | 救急車の利用法を知っている | |
ジ |
|
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リ |
|
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高 |
|
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避難 |
|
キ |
|
|
ジ |
|
|||
リ |
|
|||
高 | 要配慮者の避難誘導方法について知っている | |||
科目 | 指導内容 | 達成目標 | ||
基本科目 | 救助 |
|
キ |
|
ジ |
|
|||
リ |
|
|||
高 |
簡易救助資器材を使用した救助方法を指導できる |
科目 | 指導科目 | 達成目標 | |
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応用科目 | 総合学習 |
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キッズ団員
ジュニア団員集団での体験学習を通じて
リーダー団員集団での体験学習を通じて
高校生準指導者集団での体験学習を通じて
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施設見学 |
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社会奉仕 |
|
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行事参加 |
|
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その他 |
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(5)技能考査(技能章)
技能考査は、年代別指導カリキュラムに定められた科目の知識や技術の習得レベルを考査基準に基づいて判定しようというものです。技能章は、通報章、消火章など5種類に区分され、通報章を除き、それぞれ1級から3級までのレベルが設定されています。
技能考査は、団の実情に応じて実施しますが、団員の活動に対する意欲を高めるためにも定期的に実施することが望まれます。
技能章には下図の13種類があります。
通報章 |
消火章 |
救急章 |
|||
救助章 |
防火・防災章 |
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周囲の色…1級が金色・2級が銀色・3級が銅色 |
技能章の考査基準
種類 | 級別 | 考査項目 |
---|---|---|
通報章 |
|
|
消火章 | 3級 |
|
2級 |
|
|
1級 |
|
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救急章 | 3級 |
|
2級 |
|
|
1級 |
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救助章 | 3級 |
|
2級 |
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1級 |
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防火・防災章 | 3級 |
|
2級 | 次のパトロール項目について説明できる。 (1)顕著な建物、公共施設、公園等 (2)歴史上重要な建物、遺跡等 (3)消防施設及び消防水利 (4)街頭設置消火器 |
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1級 |
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※ 実技を示す。
(6)団員の活動継続支援体制
団員は毎月の少年団活動に参加し、積極的に防火防災の知識及び技術を向上させることが望まれています。しかし、少年団活動に参加の希望はあるが受験準備や部活動で参加することができない団員が存在することから、参加回数が少なくても継続して在団できる活動継続応援制度を定めました。
6 活動計画
(1)活動計画の意義
組織には目的があり、その活動は目的を達成させるために効果的かつ効率的になされる必要があります。特に、目的達成が一定の時間的制約を受ける場合には予め計画を立てて、それに従って活動を行うことが大切です。
消防少年団では、「小学校低学年で入団した団員が、高校を卒業するまで、無理なく楽しく防火防災教育を受けられる場を提供する。」ことが重要です。効率性を重視するあまり、子供達の技量や感情を無視して計画を立て「楽しさ」が失われてしまっては、団員の活動の継続は望めません。団員の学習に対する習熟度合を勘案しながら、「次の活動に来たい。」という意欲を持たせる計画を樹立する必要があります。
年代別指導カリキュラムは、各団の地域特性や団員の年齢構成等を踏まえながら、各団員区分の達成目標に向け、計画的な科目の履修を求めるものです。団活動の開始される年度の当初に、いかに、このカリキュラムを団員に履修させていくかといった年間活動計画を策定しておく必要があります。
また、個々の活動についても、事前に指導者の任務分担や必要な資器材などを明確にした活動実施計画を策定しておく必要があります。さらに、これらの計画を立てる際には、消防少年団活動が、指導者だけでできるものではないということを考慮してください。活動計画の策定には、例えば、活動日、活動内容、場所などについて事前に署育成委員会と調整し、十分な協議を行っておく必要があり、普段から、互いに連携を図ることが大切です。
(2)年間活動計画
年間活動計画は、年代別指導カリキュラムに従い、次のような事項に留意して策定します。
- カリキュラムの各科目をバランスよく履修できるよう、年間を通じて平均的に活動を計画します。
- 前年の活動結果の反省等を踏まえた計画とします。
- 地域の行事、東京消防庁、東京消防少年団連盟の行事への参加に配意した計画とします。
- 毎月の活動に明確な目的を設定し、内容はできるだけ具体的な計画とします。
- 指導者の意見を広く取り入れた計画とします。
- 策定された計画は団員、指導者をはじめ団員の保護者にも知らせ、活動への協力を求めます。
(3)個々の活動に関する計画
年間活動計画に基づき、個々の活動の実施に関する具体的かつ細部にわたる活動実施計画を策定しますが、その際には次のような事項に留意します。
- 多くの団員及び指導者が参加できるように、土曜日、日曜日、休日など、活動実施日時の設定に配慮します。
- 活動の目的を明確にして、その中で団員に指導すべき内容を具体的にしておきます。
- 指導にあたる指導者それぞれの役割分担を指定しておきます。
- 指導に必要な教材、資器材の種類と数量を決めておきます。
- 施設見学、野外活動などの場合には、交通機関の決定、行先の施設の連絡調整などに配慮します。
- 事故防止などのため、団員及び指導者に徹底しておくべき事項を決めておきます。
- 緊急時の連絡先などの対応要領を決めておきます。
年間活動計画の作成例
○○年度年間活動計画
月 | 活動名 | 指導科目 | 活動内容 |
---|---|---|---|
4 | 入団・進級式 | 行事参加 仕組み 規律 |
入団・進級式 消防少年団の仕組み、活動の仕方、消防少年団歌 誓い、礼儀、服装、決まり、規律訓練の目的、基本動作 |
5 | 基本科目の学習 | 消防の仕事 通報 避難 消火 |
消防の仕組み、消防の仕事、消防の歴史、消防団の活動 119番の仕組み、通報の仕方 緊急通報などの仕組み 煙の怖さ、避難の時期・方法 消火器の種類と仕組み、消火設備、消火訓練 D級可搬消防ポンプの取扱い |
6 | 施設見学 | 施設見学 救急 |
○○防災館見学・体験 心肺蘇生法(AEDの取扱いを含む。) 傷病者の搬送方法 |
7 | 防災マップづくり 基本訓練 |
防火・防災 総合実習 救助 |
防災マップづくり 管内地理と建物調査、街頭消火器設置場所の確認 ロープの取扱い、結索の基本と応用 |
8 | 野外キャンプ | 総合実習 防火・防災 救助 規律 救急 |
火の大切さ、燃焼と消火の理論 結索を応用した救助方法等、水難救助方法 基本動作、団体規律訓練 応急手当、包帯法、外傷・急病の知識と手当 |
9 | 福祉施設訪問 | 社会奉仕 | お年寄り家庭等の訪問 |
10 | 基本科目の学習 | 救急 規律 社会奉仕 |
救急の知識、応急手当、包帯法 心肺蘇生法(AEDの取扱いを含む。) 外傷・急病の知識と手当、傷病者の搬送方法 基本動作、団体規律訓練 地域の美化活動 |
11 | 消防署庁舎開放 | 施設見学 | 消防署の見学 |
12 | 年末警戒 | 総合実習 避難 |
火災予防パトロール 避難器具の種類 |
1 | 東京消防出初式参加 消防団始式参加 |
行事参加 行事参加 その他 消火 |
消防機関の行事への参加 地域で行われる行事への参加 地域の行事にて鼓笛演奏 D級可搬消防ポンプの取扱い(操作の披露) |
2 | 技能考査 消防少年団のつどい |
その他 行事参加 |
その他 支部・連盟行事への参加 |
3 | 火災予防運動参加 | 行事参加 防火防災 |
消防機関の行事への参加 火災の原因と予防、地震の基本と過去の災害 身近な危険と安全への備え |