火気器具上部に設置される排気ダクトの火災抑制方策に関する調査研究

長期的には、火災件数は減少している一方で、火災件数全体に占める飲食店火災の割合は毎年、増加傾向にある。飲食店火災の中でも、焼肉店で使用される七輪等の調理を目的とする火気器具上部に設置される排気ダクト(以下「上引き排気ダクト」という。)の火災は毎年一定数起きており、減少傾向にない。その原因の一つとして、上引き排気ダクトの位置、構造及び維持管理の基準が定められていないことが考えられる。

この問題を解決すべく、令和元年度に「飲食店におけるダクト火災抑制方策に関する調査研究」(以下「令和元年度実験」という。)が行われ、上引き排気ダクト火災発生のメカニズムがある程度判明した。本実験の報告書によると、上引き排気ダクト内に堆積する油脂の厚み0.4mm で火災発生危険が高まり、排気取入口での風速が低いと着火危険が高まるとされている。
また、上引き排気ダクト火災発生の原因として、上引き排気ダクトの排気取入口までの距離が火源から約20cmと短いことが考えられる。しかし、上引き排気ダクトにおいて、通常の厨房設備のように、火源から排気取入口までの距離1mを確保しようとすると、排気取入口での風量及び風速を高める、あるいは排気取入口付近に天蓋等を設け、補修率を高める等の必要がある。現在の焼肉店舗における上引き排気ダクトの設置環境を鑑みると、これを短期間に実現させるのは困難性が高い。

このことから、令和元年度実験で得られた知見を基に、上引き排気ダクト火災が発生した場合の焼損範囲を最小限に抑えること、具体的には、上引き排気ダクト火災発生時の焼損を枝ダクト内に抑え、主ダクトには到達させないことを目的とし、「火気器具上部に設置される排気ダクトの火災抑制方策に関する検討部会」を設置し、上引き排気ダクトに係る火災の再現実験等を通じて、技術基準の策定のために必要な検証を行いました。

検証結果を取りまとめた報告書は下記のとおりです。

火気器具上部に設置される排気ダクトの火災抑制に関する調査研究報告書(全体版)(PDF:9.53MB)

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