消防車を運転するには
最新の情報ではありませんので、あらかじめご了承ください。
自動車を運転するには道路交通法に基づき、公安委員会から運転免許証の交付を受けなければなりません。
運転免許の種類にはいろいろありますが、消防車や救急車などを運転するには、どのような免許が必要なのでしょうか。 道路交通法からみれば、第一種免許で、それぞれの自動車の種類に応じたものであれば、運転できることになります。 例えば、ポンプ車や救急車は普通免許、はしご車は大型免許、救援車(レッカー)は大型特殊免許などです。

では、赤色灯を回し、ウーウーと勇ましく火災現場に向かう消防車などの運転は、運転免許証を持っている消防職員であれば誰でもできるものでしょうか。
当然ながらそのようなことは許されません。
ただ単に運転するだけなら免許証を持っていればできますが、消防車や救急車は、その車を使って消防活動を行わなければならないのですから、これらの自動車や積載機材が最大の効果をあげるよう操作できることが要求されるのです。
そのために、これらの機械器具の操作に熟知した者に機関員という資格を与え、その人たちだけに限って消防車などの運行を行わせているのです。
分かりやすくいいますと、「消防車などの運転は、法令的にはそれに応じた免許証があればできることになりますが、緊急車であること、管内の道路事情や消防水利などを熟知していなければ、有効な消防活動ができないなどの理由から、消防ポンプ車などは機関員でなければ運転できない」ということです。
機関員の歴史は、蒸気ポンプが日本に初めて登場した明治時代にまでさかのぼります。最初からこのポンプの機関を運用するための担当者が決められていたことは想像できますが、確かな記録が見つかりません。
しかし、明治17(1884)年に警視庁消防本署(現在の東京消防庁の前身)が定めた「消防水防規則」の中に、「消防本署に蒸気ポンプおよび駆け付馬車をおき、機関士付属、馭者、馬丁を設ける」とありますので、これがはじまりかもしれません。
明治22(1889)年3月6日に警視庁官制が改められ、消防官の中から16人の消防機関士が任命され、もっぱら蒸気ポンプの運用に当たることとなりました。
消防機関士は階級の一つで、消防機関士のもとには、蒸気ポンプ運用の補助を行う、消防機関士附属という階級の人がいました。
しかし附属という名称が嫌われ、適材を得ることが困難だったため明治25(1892)年5月には消防機関手と改称したのです。
大正の時代に入ると、いよいよ消防ポンプ自動車の時代を迎え、消防練習所(現在の消防学校)の教習生の中に、新たに機関練習生を加えて、消防用機関の運用に必要な学科や技術を修得させることとしました。
以後今日に至るまで、消防車両を運用する職員は機関員と呼ばれ、現在の機関員は、普通自動車運転免許証以上を持っている消防士長以下の階級にある者の中から選抜試験によって選ばれ、消防学校で1か月近い特別な研修課程を修了した者のみに与えられる資格となっています。
ところで消防車の機関員というと、男性を思い浮かべますが、平成6年4月に「女子労働基準規則」が改正になり、女性消防吏員も深夜業務につけることになったことから、平成7年12月に女性として初の機関員が誕生することになりました。