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東京消防庁

東京消防庁 > 安全・安心情報 > 事業所向けアドバイス > 自衛消防活動の事例 > 事例詳細

百貨店で発生した火災において、
防災センター勤務員と百貨店従業員が連携し、
一連の自衛消防活動を迅速、的確に行い、
延焼拡大を防いだ事例

用途等 複合用途(16項イ) 地上15階地下4階 出火場所 6階 トイレ
焼損程度 建物ぼや 出火時間帯 夕方
けが人等 なし
出火原因 放火
自衛消防活動の状況※
発見
現場駆付け 
6階で勤務する従業員Aは、来館者の呼び声により男子トイレに駆け付けると煙が出ているのを発見した。
 また、火災の煙を煙感知器が感知し、自動火災報知設備が発報したことで、連動した放送設備の音声放送が建物内に流れた。
2階の防災センターに勤務していた隊長Bは、自動火災報知設備が発報したのを確認して、防災センター要員C〜F(4名)に、現場確認に向かうことを下命した
初期消火 火災を発見した従業員Aは、6階に設置されている強化液消火器1本を手に取り火点に向かったところ、同じ6階で勤務する従業員Gと合流したので、従業員Gに消火器を手渡した。
 従業員Gは、受け取った消火器で初期消火を実施し、炎は収まった。
通報 非常用エレべーターにより現場に駆け付けた防災センター要員C〜F(4名)は、火災が発生したこと及び初期消火が成功したことを確認し、防災センターへその旨を連絡した。
防災センターで連絡を受けた隊長Bは、防災センター要員Hに119番通報を行うよう下命し、防災センター要員Hは119番通報を行った。
 その後、防災センター要員Hは、防火管理者や建物関係者に状況を連絡した。
消防隊への
情報提供
消防隊到着後、隊長Bは消防隊員に情報提供を行い、火災現場へ誘導した。
館内放送 館内の安全の確認が取れたので、隊長Bは、現在の状況についての館内放送を行うように防災センター要員Hに指示した。
 防災センター要員Hは、放送設備を活用して、来館者に対し、火災が鎮火した旨の館内放送を行った。
防火管理上の推奨点
  • 1 出火階の百貨店従業員が来館者からの情報をもとに発見から初期消火まで速やかに実施し、初期消火に成功しました。
  • 2 初期消火後、放送設備により火災が鎮火した旨を全館放送することで、在館者のパニックの防止に努めました。
  • 3 防災センターの隊長(本部隊長)が適切に指示命令を行い、防災センター要員(本部隊)と百貨店従業員(地区隊)とが連携して、一体的な自衛消防活動を迅速に行いました。
防火管理上のポイント
  • 1 初期消火は、避難路を確保した上で、天井に火が移るまでの間に、できるだけ早い段階で適切な消火設備(消火器、屋内消火栓設備等)を使用して行ってください。
    火災発見時に炎が天井に達している場合や出火室内が延焼拡大中の場合は、初期消火は行わずすぐに避難してください。
  • 2 防災センター要員等は、自動火災報知設備の地区音響装置が鳴動した場合、現場を確認し、火災か非火災か、初期消火に成功した等のタイムリーな状況を放送設備により放送し、在館者に情報提供してください。
    放送設備は、避難誘導の指示以外に火災の状況を館内放送する等に活用し、在館者の混乱防止に努めてください。
    また、避難誘導時に放送設備による放送を実施する場合は、在館者に対して避難経路、使用する階段等を具体的に指示し、混乱防止に努めてください。
  • 3 自衛消防隊を組織的に活動させるには、日頃からの防火・防災教育や自衛消防訓練を通じ、各自の任務分担について周知徹底することが大切です。
    特に自衛消防隊長は、組織的に災害へ対応できるよう隊員等に具体的な指示、命令を行い、自衛消防隊を統率する重要な役割を担っていることを十分認識してください。
  • 4 消防計画は、定期的に実施する自衛消防訓練を通じて、消防計画どおりの対応ができるかどうか検証し、必要に応じて消防計画の修正を行うなど、実効性のある内容に維持する必要があります。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。




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