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東京消防庁

東京消防庁 > 安全・安心情報 > 事業所向けアドバイス > 自衛消防活動の事例 > 事例詳細

大規模な高層の複合施設で発生した
火災において、
防災センター要員を中心に
一連の自衛消防活動を迅速、的確に行い、
延焼拡大を防いだ事例

用途等 複合用途(16項イ)地上54階地下6階 出火場所 30階 事務室
焼損程度 建物ぼや 出火時間帯
けが人等 なし
出火原因 窓際に置かれていたアクリル製球体が太陽光を収れんし、火災になったもの
自衛消防活動の状況※
発見
現場駆付け 
社員Aは、出社後社内で同僚Bと談話中、焦げ臭いにおいに気づき、においの元を確認すると窓際に置かれたダンボールが燃えており、1m程の高さまで炎が上がっているのを発見した。
防災センターでは、自動火災報知設備の受信機から「30階注意表示」の音声が流れたため、防災センター要員C、D、Eの3名が粉末消火器3本を持って、現場確認に向かった。
 その後、受信機に表示される発報箇所が拡大したため、さらに防災センター要員F、G、H、Iの4名が現場に向かった。
通報 防災センターに待機していた防災センター要員Jは、自動火災報知設備と連動した放送設備から自動的に火災放送(出火階・直上階)が流れ始めたことを確認したため、防災センターの電話から119番通報した。
初期消火 社員Aは、出火階に設置されていた粉末消火器2本を使用して初期消火を行ったが炎は収まらなかった。
その後、防災センターから駆け付けた防災センター要員C、D、E、Fの4名が、防災センターから搬送した粉末消火器3本のうちの1本と、出火階に設置された粉末消火器3本の合計4本を使用して初期消火を行ったところ、炎は収まった。
 防災センター要員Kは、現場からの初期消火成功の連絡を受けて、放送設備を活用して、延焼の恐れはない旨の館内放送を行った。
避難誘導 初期消火後、社員Aと同僚Bは、防災センター要員から避難するように促され、屋外に避難した。
 防災センター要員H、Iは出火階で、逃げ遅れ者の有無を確認したが、逃げ遅れ者はいなかった。
 防災センター要員Kは、放送設備を手動に切り替えて、適宜、火災状況等の情報をタイムリーに伝え、安全が確認された後には、火災が鎮火した旨の館内放送を行った。
情報提供 防災センター要員Jは、到着した消防隊に対し、情報提供を実施した。
防火管理上の推奨点
  • 1 自動火災報知設備の受信機の「注意表示」を契機に迅速に行動を開始し、消火器等を携行した現場確認、初期消火、避難誘導、放送設備を使用した付加放送及び消防隊への情報提供等防災センター要員の一連の行動が適切に行われました。
  • 2 放送設備により火災状況等の情報をタイムリーに全館放送することで、在館者のパニックの防止に努めました。
  • 3 消防計画に基づき、防災センター要員(本部隊)と事業所従業員(地区隊)とが連携して、一体的な自衛消防活動を迅速に行いました。
防火管理上のポイント
  • 1 収れんとは、凸レンズ状の透明な物体、あるいは凹面鏡状の反射物によって、反射又は屈折させられた太陽光が収束することを言い、その収れんされた太陽光が可燃物の1点に集中し、熱せられることにより発生する火災を収れん火災と言います。
    収れんは季節を問わず発生しますが、特に太陽の高度が低くなる冬場は家の奥にまで光が届くため、危険性が高まると言われています。
    窓際や太陽光が差し込む範囲には、収れんが起きる可能性があるものを置かないように注意してください。カーテンで遮光することも有効です。
    また、車両のダッシュボード上や屋外についても気をつけることが大切です。 ※「収れん火災」の詳しい説明はこちら
  • 2 初期消火は、避難路を確保した上で、天井に火が移るまでの間に、できるだけ早い段階で適切な消火設備(消火器、屋内消火栓設備等)を使用して行ってください。
    火災発見時に炎が天井に達している場合や出火室内が延焼拡大中の場合は、初期消火は行わずすぐに避難してください。
  • 3 火災発生時は危険側に立ち、火災の延焼拡大を考慮して早期に火災発生を在館者及び利用者等に報知し、迅速な避難誘導を行ってください。
  • 4 火災発生時には放送設備を活用し、現在の火災の状況等を在館者にタイムリーに知らせることでパニックを防止し、併せて避難誘導時に的確な指示を放送して迅速かつ安全な避難誘導を行ってください。
  • 5 防災センター要員は、自衛消防訓練等を通じて、消防計画に基づく自己の活動要領、任務の内容、消防用設備等の操作要領及び消防隊への情報提供要領等について熟知してください。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。




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