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東京消防庁

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物品販売店舗で発生した火災において、防災センター等を中心に組織的な自衛消防活動が的確に行われ、利用客を無事に避難誘導した事例

用途等 複合用途(16項イ)地上16階地下1階 出火場所 地下1階 倉庫
焼損程度
けが人等
建物ぼや

なし

出火時間帯 夕方
出火原因 倉庫内の現在使用されていない電気魚焼器のスイッチが物品を移動した際に誤って入ってしまい、電熱線が通電、発熱し、電気魚焼器の上に置かれていたプラスチックトレイ等に燃え移ったもの
自衛消防活動の状況※
発  見

【物品販売店舗(地下1階〜1階)】

物品販売店舗のフロア従業員Aは、地下1階の倉庫の小窓越しに電気魚焼器の上部から炎が立ち上がっているのを発見した。他の従業員に「燃えている!」と火災を知らせた。

【1階防災センター】

防災センター長Bは、自動火災報知設備の受信機で感知器の作動を確認したため、防災センター要員 C、Dに消火器及び無線機を携行して、現場を確認するように指示し、防災センター要員Eに館内放送をするように指示した。

防災センター長Bの指示を受けた防災センター要員Eは、放送設備を用いて全館に「只今、地下1階で感知器が発報し、現在確認中です。」と2回放送した。

初期消火 フロア従業員Aから火災を知らされたフロア従業員F、Gは、倉庫の近くにあったバケツに水道水を汲み、それぞれ1杯ずつ火元にかけたが炎は収まらなかった。
現場に駆け付けた防災センター要員Cは、無線機で火災の発生を防災センターにいた防災センター長Bに知らせた後、防災センター要員Dとフロア従業員3名(I〜K)とともに、地下1階と1階に設置されていた消火器を計16本集めて初期消火を行った。
通  報 防災センター要員Cから火災発生報告を受けた防災センター長Bは、火災通報装置の通報ボタンを押下し、消防機関へ通報した。
避難誘導 防災センター要員Fは、防災センター長Bの指示で「地下1階で火災が発生しました。係員の指示に従って避難してください。」と、5分おきに3回放送した。
店長H(防火管理者)は、地下1階のレジ担当従業員に来店客の避難誘導を指示し、防災センター要員C、Dとレジ担当従業員7名(L〜R)により、来店客30名を屋内階段により1階へ避難誘導した。
防火管理上の問題点
現在使用されていない電気魚焼器のプラグがコンセントに差し込まれた状態で倉庫内に放置され、周囲に可燃物が存置されていました。
防火管理上の推奨点
自衛消防活動の拠点となる防災センターを中心に、火元事業所の従業員(地区隊)と防災センター要員(本部隊)とが連携し、火災発見から、現場確認、初期消火、119番通報、避難誘導、消防隊到着時における消防隊への情報提供まで一連の行動が消防計画に定められたとおり的確であり、防火管理者がリーダーシップを発揮する中、組織的な自衛消防活動が行われました。
防火管理上のポイント
  1. 長期間使用しない電気器具の電源コードは、コンセントから抜いておきましょう。
  2. 電気器具を物置台として使用するなど、本来の用途と違う用途で使用することは、何かのはずみでスイッチが入ることがあるので絶対にやめてください。
  3. 配線の劣化、損傷、圧迫等の有無のほか、用途と異なる使用状態等についても自主検査チェック表を用いて定期的に確認してください。
  4. 防火管理者の皆さんは、電気コード等からの出火危険を従業員等に周知し、日頃から電気器具の使用状況の確認や配線等の点検を実施するよう教育してください。
  5. 災害時、自衛消防隊が組織的に活動するためには、日頃の防火・防災教育や自衛消防訓練を通じて、各従業員(自衛消防隊員)が自己の任務とその活動内容について熟知することが大切です。
     特に自衛消防隊長は、組織的な災害対応のために、隊員等に具体的な指示・命令を行い、自衛消防隊を統率する重要な役割を担っていることを十分認識し、隊員の教育のみならず自身の知識・技術の研磨に努めてください。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。

地下1階略図と火災発生時の在館者の動き(イメージ)

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