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東京消防庁

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社会福祉施設の厨房から出火し、粉末消火器及びスプリンクラー設備により消火した事例

用途等 社会福祉施設(6項ロ) 耐火造4/0 出火場所 1階 厨房
焼損程度
けが人等
建物ぼや(内壁若干)

なし

出火時間帯
出火原因 天ぷら油の入った鍋を火にかけたまま放置し、天ぷら油が過熱され発火したもの。
自衛消防活動の状況※
発   見 従業員Aは、休憩が終わり、従業員B、C2名と一緒に休憩室から戻ったところ、コンロから炎が立ち上がっているのを発見した。
通   報 本火災は、第1報として自動火災報知設備と連動した火災通報装置により通報されている。その後、事務職員Dは、従業員Aから火災の報告を受け、火災通報装置の火災通報ボタンを押下し、消防機関からの呼び返しに対し、「厨房から煙が出ています。」と状況を伝えた。
初期消火 従業員A、B、Cの3名は、厨房内及び休憩室に消火器が設置されていないことから、布巾を水で濡らし鍋にかぶせたが、周囲から炎が噴き出してしまったので、休憩室にあった予備の割烹着を水で濡らして、再度鍋にかぶせたが炎はおさまらなかった。

その後、スプリンクラー設備が作動し、また、防火管理者Eが持参した粉末消火器1本を使用し消火した。

防火管理者Eは、2本目の強化液消火器もピンを抜いたが、1本目の粉末消火器で炎がおさまったので、2本目は使用しなかった。

避難誘導 各フロアの職員は、自動火災報知設備の鳴動音で異常を知り、フロアの状況を確認したところ、窓の外に煙が見えたので入居者(1階10名、2階14名、3階16名、4階18名)をそれぞれの居室へ誘導し、煙が入らないよう扉を閉めて待機するように指示した。
防火管理上の問題点
水に濡らした布巾や割烹着をかぶせて消火しようとしたこと。
防火管理上の推奨点
  1. 入居者を各居室へ誘導し、扉を閉めて煙が入ってくるのを防止し、かつ、窓を開けて排煙を行ったこと。
  2. 入居者に対し「マスクをして煙を吸わないように」と具体的な指示を出し、入居者の安全を図ったこと。
  3. 火災通報装置を活用し通報を行い、消防機関からの呼び返しにも応答したこと。
防火管理上のポイント
  1. 水に濡らした布や衣類での消火方法は、けがをする恐れがあるので、消火する際は適切な消火器具、消火設備を使用しましょう。
    油火災の初期消火には、油火災に対応した消火器を使用しましょう。
  2. 自力での避難が困難な方がいる施設で、地上までの避難が困難な場合は、出火区画以外の防火区画内に誘導する等の水平方向への避難も考慮して避難誘導を行いましょう。
  3. 火災による有毒な煙が避難経路などに充満しないように、早期に排煙設備を起動しましょう。
  4. 避難誘導の際は、具体的な指示を行い避難者の安全を図りましょう。
  5. 火災通報装置は、火災発生時に自動で所在、名称などが119番通報されることで、初期消火や避難誘導を優先して活動できるものです。
    火災通報装置が設置されている建物の従業員のみなさんは、自衛消防訓練時などに使用方法を確認しておきましょう。
  6. スプリンクラー設備が作動し消火が確認された場合は、制御弁の閉鎖を行い、散水による水損防止を図りましょう。日頃から制御弁の設置場所及び鍵の保管場所を確認し、消火を確認したら閉鎖できるようにしましょう。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。

1階略図と火災発生時の従業員の動き(イメージ)

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