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東京消防庁

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物品販売店舗の火災において、従業員が連携し多数の客を避難させた事例

用途等 物品販売店舗(4項) 耐火8/1 出火場所 5階 衣料品売場
焼損程度
けが人等
建物ぼや

なし

出火時間帯 夕方
出火原因 放火
自衛消防活動の状況※
発   見 従業員Aは、5階中央レジ内カウンターにいたところ、炎監視センサーが作動したため現場へ向かうと、衣料品がかけられているラックに白煙と炎を確認した。

その後、通路向かいにあった消火器1本を使用したが噴射できなかったため、2本目を取りに行く途中に「火災発生」と従業員用携帯無線機にて館内放送を実施した。

通   報 8階にいた従業員Bは、館内放送で5階が火事だと知り現場へ向かった。5階に到着すると煙を確認し、通報を依頼され、社員用携帯電話で119番通報した。
初期消火 従業員Aは1本目の消火器が噴射できなかったため、2本目を取りに行ったが、すでに天井まで炎が達していたため、消火を断念し、「初期消火不能、避難誘導開始及び通報要請」と館内放送した。

その後、スプリンクラー設備が作動し消火に成功した。

到着した消防隊がスプリンクラーの制御弁を閉鎖したが、5階の広範囲に水損が発生した。

避難誘導 8階にいた防火管理者の店長Cは、炎監視センサーが作動した時点から8階の避難誘導を開始し、無線で5階の状況を確認し、火点に遠い西側の広い階段を使用して避難誘導にあたることを全館の従業員に指示し、自身は1階層ずつ全員避難しているか確認しながら降りていき、最後に屋外へ避難した。
防火管理上の問題点
スプリンクラー設備の制御弁を消防隊が到着するまで閉鎖しなかったため、広範囲に水損が発生したこと。
防火管理上の推奨点
  1. 自主設置されている炎監視センサーにより、自動火災報知設備が作動する前に火災を発見できたこと。
  2. 災害状況の放送及び全館避難の放送を適切に行い、早期に避難誘導を開始できたこと。
  3. 無線機を活用して、従業員間で災害状況を情報共有したこと
  4. 防火管理者が早期に避難を判断し、適切な指示を出し、早期に収集した情報を消防隊に伝達したこと。
  5. 火災発見から、現場確認、消火器による初期消火、119番通報、避難誘導、消防隊への情報提供まで一連の行動が消防計画に定められた通りに自衛消防活動が行われたこと。
防火管理上のポイント
  1. 災害時、自衛消防隊が組織的に活動するためには、日頃の防火・防災教育や自衛消防訓練を通して各従業員がそれぞれの任務と活動内容について確認することが大切です。
  2. 防火管理者は、自衛消防隊長として各従業員に具体的な指示を行い、適切な自衛消防活動ができるように知識を深めるよう努めましょう。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。

階略図と火災発生時の従業員の動き(イメージ)

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