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東京消防庁

東京消防庁 > 安全・安心情報 > 事業所向けアドバイス > 自衛消防活動の事例 > 事例詳細

高層共同住宅の居室内で発生した
火災において、防災センター勤務員が
住民の避難誘導を実施した事例

用途等 複合用途(16項イ) 地上28階 出火場所 中層階 居室
焼損程度
けが人等
建物部分焼

なし

出火時間帯
自衛消防活動の状況※
発   見
現場駆け付け

防災センター要員Aは12時半頃に防災センター内の総合操作盤で、中層階にある居室で火災が発生しているとの信号を確認したので、同僚2名と現場の確認に向かった。3人は、当該室前に到着した際、施錠された玄関ドアの隙間から煙が噴出しているのを確認した。

通   報

防災センター要員Bは現場確認に向かったAからの連絡を受け、その状況から火災が発生したと判断し、防災センターに設置されている固定電話で119番通報をした。

初期消火

防災センター要員が最初に現場に駆けつけた時点で、当該室の玄関扉からスプリンクラー設備のものと思われる水や煙が出ており、扉も熱を持っていたことから進入は困難だと判断し、初期消火は行わなかった。

避難誘導

【避難誘導】防災センター要員A

避難に支障のある居住者を背負い、また、他の多くの居住者を介助しながら避難階段を使用して2階まで避難させた。

【館内放送】防災センター要員B

防災センターで火災の信号を確認後、出火階と直上階の各戸にインターホン経由で火災が発生した旨の放送を実施した。119番通報後には、出火階と直上階の各戸にインターホンと非常放送設備で火災発生を知らせ、その後全階に非常放送設備で火災放送を行った。その後、火災の勢いが弱まり延焼の危険がなくなった後、再度、非常放送設備で全階にその旨の放送を行った。最終的に、137世帯が1階まで避難した。

防火管理上の推奨点

現場に駆けつけた者と防災センターに残った勤務員が相互に連携を図ったこと。

非常放送を有効に活用して避難誘導を実施したこと。

防災センター要員が、避難に支障のある居住者を介助等し、住民の安全な避難誘導に尽力したこと。

防火管理上のポイント
  1. 非常放送等の消防用設備等は、いつでも使えるように日頃から操作方法に習熟しておくことが大切です。
  2. スプリンクラー設備は消火に非常に有効な設備ですが、自動では止まりません。消火された後もそのままにしてしまうとその階だけでなく下階へも水損(消火水による2次被害のこと)が広がり、水による損害が大きくなっていきます。日頃から消防用設備等の設置場所、制御弁室の場所及びその鍵の場所を確認しておく必要があります。
  3. 全員を一度に避難させるのが難しい場合は、安全に区画されている廊下や階段又は直下階などに一時的に誘導し、その後、地上を最終避難場所として避難させる方法もありますので、日頃からシミュレーションをしておきましょう。
  4. 現場確認時は必ず、消火器や懐中電灯、マスターキー、無線機等のほか、スプリンクラー制御弁室の鍵も携行するようにしてください。

※自衛消防活動の状況は、関係者からの聞き取りによるものです。

断面図と火災発生時の在館者の動き(イメージ)

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