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東京消防庁ライブラリー消防雑学辞典

このページは、新 消防雑学事典 二訂版(平成13年2月28日(財)東京連合防火協会発行)を引用しています。
最新の情報ではありませんので、あらかじめご了承ください。


消防雑学事典
・愛ある手 −国際消防救助隊−

mark 昭和60(1985)年9月19日に発生したメキシコ大地震や、同年11月14日に発生したコロンビア・ネバドデルルイス火山噴火災害で、多数の人的及び物的被害が生じ、先進諸国は災害発生後直ちに救助隊を派遣して救助活動に当たりました。

しかし、わが国には国際的に活動する救助隊が組織されていなかったため、これらの災害を契機として、外国で災害が発生したときの、人命救助等に携わる救助隊を組織すべきであるとの声が高まり、同年暮れの閣議で「国際緊急救助体制」を整備することが決定されました。

その後、自治省消防庁(現総務省消防庁)が事務局となって、外務省等関係機関と「国際消防救助システム」の創設について幾多の検討を重ね、昭和61年(1986)年4月11日、東京消防庁および全国の政令指定都市の消防本部を中心とした消防機関の参加を得て、救助隊の発足式ともいうべき初の国際消防救助隊合同訓練が、自治省消防庁等の主催で、品川区にある船の科学館周辺の広場において開催されました。(国際消防救助隊の発足は、昭和61年4月1日)

初の国際消防救助隊合同訓練
初の国際消防救助隊合同訓練


このようにして発足した国際消防救助隊の英語の正式名称は"International Rescue Team of Japanese Fire Service"とし、英語の略称を"IRT-JF"、日本語の愛称を「愛ある手」としました。 この愛称には、同隊が世界各地に赴き、被災者に愛の手をさしのべるという気持ちが込められ、国際化時代の日本の消防の意気込みが感じられます。

発足から4か月近く経過した昭和61年(1986)年8月に発生したアフリカ中西部のカメルーン共和国のニオス湖における有毒ガス噴出被害、同年10月エルサルバドル共和国で発生した地震災害に、東京消防庁の職員が国際緊急援助隊の一員として派遣され、海外で日本の消防機関としては初めて、高度な技術を駆使して救助活動および災害調査に従事しました。

この活動を契機として、海外において消防機関などが、安心して救助活動を行うための法的根拠を明確にした、国際緊急援助隊の派遣に関する法律が昭和62年(1987)年9月に制定されました。
同法には医療活動とともに、最も重要な要素として、国際消防救助隊の活動に関する規定が盛り込まれ、海外で大災害が発生した場合における派遣体制が整備されました。

東京消防庁はその後、相次いで発生した災害に国際消防救助隊員を派遣し、救助活動を行っています。
東京消防庁では、前記の国際消防救助活動とは別の国際貢献策として、開発途上国の援助を目的に海外の消防機関から派遣された研修生の受入れや各種の消防技術援助などを、また、在日外国人に対して、火災・救助・救急等についてきめ細かな対応や国際消防会議への参加、海外研修など、さまざまな施策を展開しています。



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