第4章 消防団と災害時支援ボランティア
基本科目
消防の仕事
達成目標
消防団及び災害時支援ボランティアの重要性について説明できる。
1 消防団
(1)制度
消防団の生い立ちは、江戸時代の町火消にさかのぼります。
特別区内の消防団は、江戸町火消「いろは48組」、「本所・深川16組」に起源を置く、住民による消防組織です。
現在の消防団は、昭和22年「消防団令」の公布により創設され、「特別区の消防団の設置等に関する条例」に基づいて各消防署の管轄区域ごとに設置されています。
日頃は仕事や学業、家事などに従事している18歳以上の方々が、「わがまちを災害から守る」という使命感のもと、地域防災の要として幅広い活動を行っています。
(2)消防団の組織構成
東京都内には、現在98消防団(特別区58団、多摩地区30団、島しょ地区10団)が組織され、約27,000名(定数)の消防団員と約2,200台の消防ポンプ車両等で都民の安全を守っています。
東京の消防団の現況
消防団数 | 定員(名) | |
---|---|---|
特別区 | 58 | 16,000 |
多摩地区 | 30 | 9,066 |
島しょ地区 | 10 | 1,587 |
計 | 98 | 26,653 |
(3)任務
消防団の任務は、火災や大地震などの災害時に消火活動、救助活動、救護活動を行います。また、地域の催し物が行われる時には、災害が発生しないように警戒をするなど、災害に強い安全なまちづくりの実現に欠かせないものとなっています。
「消防団」は、まちと住民を守る最も身近な防災機関です。

火災、地震、台風などの災害は、時と場所を選ばず私たちを襲います。災害が発生した場合には、消防署と一体となって、迅速に消火活動などを行い、まちと住民を守るのが消防団の大きな役割です。

火災予防運動、防災週間や地域の催し物が行われるときに、災害を未然に防止するため火災予防のよびかけや警戒活動を行っています。

災害活動には、専門的な知識と技術が必要です。消火訓練や救助、救護訓練を行い、消防団の災害活動力を高めています。



災害活動には、専門的な知識と技術が必要です。消火訓練や救助、救護訓練を行い、消防団の災害活動力を高めています。


(4)入団後の待遇

(5)入団条件

- 年齢18歳以上の方
- 心身ともに健康な方
- 消防団の区域に居住、通学又は勤務している方
新板子供遊いろは組学

1840年代(天保14~弘化4年ごろ)に描かれた錦絵です。

2 東京消防庁災害時支援ボランティア
東京消防庁災害時支援ボランティア(以下「災害時支援ボランティア」という。)とは、東京消防庁の管轄区域内で震度6弱以上の地震が起きた際や、台風などの自然災害や大きな事故が発生した際に、東京消防庁が管轄区域内で行う消防活動の支援を行う登録制の専門ボランティアです。
(1)制度
震災等の災害発生時、海外では民間人による積極的なボランティア活動が行われ、また、国内でも、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、多くのボランティアが全国から駆けつけるなど、被災者救援に大きな貢献をしました。
震災等災害発生に伴う被害の軽減を図るためには、既存の消防力に加え、ボランティアと協同することが重要であるという観点から、東京消防庁では、平成7年7月に「東京消防庁災害時支援ボランティア」制度を全国に先駆けて導入しました。
約3,400名の方(令和4年中)が登録しています。
(2)資格要件
原則として当庁管内に居住し、通勤し、又は通学する者であり、かつ、当庁の支援する意思がある15歳以上(中学生を除く。)の方で、以下のいずれかの要件を満たす方です。
- 応急救護に関する知識を有する(救命講習、赤十字救急法救急員等)
- 過去に消防団員・消防少年団員として1年以上の経験を有する方
- 震災時等、復旧活動時の支援に必要となる資格、技術等を有する方
(3)災害時支援ボランティアの活動
災害時支援ボランティアは、震災や台風などの自然災害や大きな事故が発生した場合に、消防署の支援を行います。具体的な活動は、応急救護活動や※後方支援活動などです。また、地域防災力向上のために、都民等への応急救護、防火防災訓練の指導者としても活躍しています。
後方支援活動…給食支援活動、食料・飲料水の搬送、仮設トイレの設定、消防隊のホース撤収など
災害時などの主な活動
応急救護活動

復旧活動時の予防分野での活動
(※資格や技術、経験が必要です。)


日常の主な活動
防火防災訓練指導


応急救護訓練や防火防災訓練などでも活躍しています。
(4)災害時支援ボランティアになるには
居住、通勤、通学している地域を管轄する消防署に事前に登録します。その後、消防署の支援に必要な知識等を習得するため、登録消防署が主催する「ボランティア講習」を受講します。
(5)災害時支援ボランティアの特徴
災害時支援ボランティアと一般のボランティアとでは、その活動上で大きな違いがあります、一般ボランティアの多くは、被災地に設置されたボランティアセンター等の指示の下、避難所運営のサポートや被災者に身辺なケアをメインとするのに対し、災害時支援ボランティアは、震度6弱以上の地震、台風などの自然災害や大きな事故が発生した場合に、あらかじめ登録してある消防署や最寄りの消防署に自発的に参集し、応急救護活動や消防署内外での後方支援活動等にあたります。
なお、震災以外の災害は、消防署からの要請により、任意で参集し消防署の後方支援活動等を行います。
問合せ先
- 防災安全課