第8章 初期消火訓練の指導
基本科目
消火
達成目標
- D級可搬消防ポンプにより消火活動ができ、取扱方法を指導できる。
- スタンドパイプによる消火訓練の指導ができる。
1 消火訓練の指導
訓練に当たっては、以下の流れを参考に指導を実施しましょう。

(1)初期消火訓練の流れ
事前計画
いつ、どこで実施するのか
- 訓練実施日時、訓練場所や訓練参加者が、それぞれにどんな訓練をするのか、指導者や消防職員等と相談しながら決めましょう。
資器材は何が必要か
- 模擬消火器なのか、スタンドパイプなのか、訓練の主となる資器材を検討し、予定参加人員から資器材の必要数を決定します。
計画を知らせる
- 訓練概要を参加者に知らせます。
事前準備
- 訓練用資器材やその他必要な物を準備しましょう。資器材は点検を行います。
- 消防少年団員は、制服にヘルメットや軍手など安全に配慮した服装で、訓練を始める前には準備運動等を実施するようにしてください。
訓練開始
訓練中の事故防止
- 訓練開始前に、団員に訓練の主旨、内容、事故防止について十分に説明しましょう。
- 訓練中は、団員の安全を第一に活動しましょう。
- 訓練会場付近を歩行者が通る可能性があるときは、十分注意しましょう。
訓練終了
- 会場及びその周辺の後片づけを十分に行いましょう。
- 資器材等を整理し、借用品は確実に返却しましょう。
- 訓練の反省会を開くことも重要です。






(2)初期消火訓練時の注意事項
- 消火栓や排水栓、防火水槽等の水利を使用する場合には、消防職員の立会いが必要です。
- 参加者の年齢、服装、健康状態等を把握しましょう。体調不良や、様子がおかしい等の場合は、無理に訓練に参加させないようにしましょう。
- 訓練中に危険と思われる行為については、速やかに中止させてください。
- 雨天、荒天等の場合はためらわず延期や中止にすることも必要です。
- 実際に火を扱う訓練では、監視員を配置するなどし、火に近付き過ぎてケガをしないように注意喚起しましょう。
2 火災時に使用できる様々な水利
(1)はじめに
地域住民の方々は、消防用に設置された地域の水利を火災時に使用することができます。みなさんの自宅から最も近い水利はどこにあるのでしょうか。自らが生活する地域の中に、どのような水利が設置されているのか確認することも、日頃から実践できる防火防災訓練の一部です。積極的に確認して、災害時に活用していきましょう。
(2)水利の種類
防火水槽
設置場所:公園、学校など
防火水槽標識
防火水槽鉄蓋
常に一定の量の水が蓄えられており、火災時に使用できます。歩道や路上にあるものは周りに黄色のラインが引かれているものもあります。
親子蓋
木造住宅密集地域の公園内の、東京消防庁が所有する防火水槽の蓋で、地域住民が軽可搬消防ポンプの吸管を容易に投入できるように、小さい蓋(直径20cm重量5kg)を鉄蓋(直径60cm重量44kg以上)に併設したものです。
消火栓
設置場所:道路・歩道など
消火栓(丸型)
消火栓蓋を開放した状態
消火栓は、水道を利用しているため、震災時に水道管が被害を受けた場合は使用できないことがあります。
蓋の周りに黄色のラインがないものもあります。
消火栓
蓋が四角い消火栓もあります。
排水栓
設置場所:道路・歩道など
排水栓
排水栓蓋を開放した状態
排水栓は、消火栓と基本的に同じものです。原則として蓋に青色のラインが引かれています。
自然水利等
防火水槽や消火栓などのほかにも、火災時に使用できる水利があります。海、池、川のような自然の水やプールなどの水などです。そのような場所には、消防水利の標識が掲げられています。
D級可搬消防ポンプの吸管の長さには限界がありますので、使用できる状況は限られますが、火災時には有効な水利となります。
なお、使用する際には、転落などの事故に気を付けましょう。
標識
防火水槽
消防水利
消火栓
3 D級可搬消防ポンプ操作の指導のポイント
(1)指導のポイント
指導目標
参加者が、震災等による火災発生時にD級可搬消防ポンプを活用した消火活動ができるようになることを目標とします。D級可搬消防ポンプの仕組みや、操作のポイントについて十分に理解し、設定から放水までの操作を、参加者相互に協力し、“自分たちのみでできる”ことを目指しましょう。
活動上の危険についても把握し、安全な活動ができることを最終目標としましょう。
指導のポイント
指導の際には、以下の説明をしましょう。
- 震災時には、同時多発する火災に消防隊や消防団のみでは迅速な対応が困難となります。そこで、町会や自治会等が、D級可搬消防ポンプの操作を習得し、早期対応の主力となることが期待されています。
- D級可搬消防ポンプは、消火器やスタンドパイプに比べ、消火能力が高く、加圧送水するため、長距離送水も可能な資器材です。地域防災の担い手が、D級可搬消防ポンプの操作を習熟することが地域防災力向上への近道となります。
- その地域で生活するすべての人々が防災活動に関わっていくことが必要です。消防少年団活動でD級可搬消防ポンプの操作と指導方法も学び、将来は防災リーダーとして地域の人におしえられるようになりましょう。
具体的な操作手順は、リーダー団員のてびきの45ページ「D級可搬消防ポンプの取扱方法」を参考にしてください。
指導上の注意事項
- 消火栓や排水栓等を使用した訓練の際には、事前に消防署に届出る必要があります。消防職員が立ち会わなければ使用できないので注意してください。
- 操作人員や号令などにはこだわらず、資器材を扱えるようになることを第一としましょう。ただし、危険と思われる操作をしている場合は、すぐに制止するようにしましょう。
- 始めに操作の一連の流れを見本で示し、次にポイントとなる個別の動作について、解説をしながら見本を示すと効果的です。
- できる限り参加者全員が一部の操作のみではなく、全ての操作過程を習得できるよう指導してください。
- 資器材各部の形状・名称については、分かりやすい言葉を使用し、各部の役割とともに説明します。
- 資器材の配置場所、防火水槽等の水利の種別・位置なども確認しましょう。
事故防止
- 訓練実施者については訓練に適した服装としましょう。
- 蓋を開放する際は、周囲の安全を確認し、膝を曲げて腰をしっかりと低くして、ケガをしないよう注意します。
- 放水弁ハンドルを開く時は周囲の安全をよく確認しましょう。急激な操作は大変危険です。
- ホースが引っ張られることにより、放水口などが破損しないように、ホースをしっかりとおさえましょう。
- 通行人が防火水槽等の中に落ちないようロードコーンを置くなどして注意を促すことも必要です。
- 各資器材の結合後は、しっかり結合されているか確認しましょう。
- D級可搬消防ポンプの設置場所を選定する際は、できるだけ水利に近付け、固い地盤を選んで水平に設置します。車輪止めがある場合は、車輪止めを設置しましょう。
- 自然水利を活用する場合は、転落等の危険を伴うため、十分注意しましょう。
(2)D級可搬消防ポンプ指導計画例
実際に指導していく上での具体的な流れについて説明します。
全体説明 時間目安:5~10分
操作習得のため、以下の概要について説明します。
- D級可搬消防ポンプとは?どこにあるの?仕組みは?
- D級可搬消防ポンプの各部名称・役割
- 設定から放水までに必要な操作(実際に見せながら)
- 役割分担による効率的な活動
個別説明 時間目安:5~10分
全体を2つに分け、役割分担について操作手順ごとに説明します。(ローテーションにより各手順について実施する。)
- ポンプ操作説明
- ①ポンプ操作:ポンプ操作、燃料・水利残量確認、落水時の対応
- ②ポンプ補助:吸管の結合・投入、ポンプ操作補助、放水側への状況伝達・補助
- 放水操作説明
- ①放水担当:ホース延長、管そう結合、管そう保持
- ②放水補助:ホース延長・結合、ホース整理、放水合図伝達、放水補助
班ごとの操作実施 時間目安:1班当たり5分
全体を班分けし、実施班に役割分担を決めさせ、実際の操作をさせます。(以下、1班4名の場合)
- ポンプ操作(2名)~ポンプ操作担当とポンプ操作補助~
ポンプ担当はエンジン始動から吸水、放水弁ハンドル開放、圧力調整までを行い、吸管担当は吸管投入後、ポンプ担当又はホース延長の補助を行います。
- 放水操作(2名)~放水担当と放水補助~
ホースの延長及び結合を2名で協力して行い、放水担当が管そうの結合と放水をします。もう1名はホース整理、放水合図伝達、放水補助を行います。
操作フローチャート
放水までの操作のポイント例【ポンプ操作編】
A・ポンプ操作
①燃料コックを開き、エンジンを始動させます。
②吸水操作をし、吸水を確認します。
③放水合図確認後、放水弁を開放します。
④放水の状況に応じて、スロットルレバーで圧力を調整します。
B・ポンプ補助
①吸管を結合します。
②防火水槽の蓋を開放します。
③吸管を防火水槽に投入します。
④必要に応じて、ポンプ操作の補助を実施するとともに、安全管理をします。
C・放水操作
①二本目のホースと管そうを持って、一本目のホースが伸びきる地点付近に移動します。
②二本目のホース延長をします。
③ホース先端に移動し、管そうを結合します。
④「放水始め」の発声と放水合図を出します。
⑤先端を操作し、放水を開始します。
D・放水補助
①一本目のホースを延長します。
②ホースを整理します。
③ホースを結合します。二人で行っても構いません。
④放水合図が届かない場所の場合は、Dが合図の伝達を行いましょう。
⑤Cの放水補助をします。
4 スタンドパイプ操作の指導のポイント
(1)指導のポイント
指導目標
参加者が、震災等による火災発生時にスタンドパイプを活用した消火活動ができるようになることを目標とします。消火栓・排水栓の正しい知識や活用方法を理解し、設定から放水までの操作を、参加者相互に協力し、“自分たちのみでできる”ことを目指します。
活動上の危険についても把握し、安全な活動ができることを最終目標としましょう。
指導のポイント
指導の際には、以下の説明をしましょう。
- 震災時には、同時多発する火災に消防隊や消防団のみでは迅速な対応が困難となります。そこで、消防少年団員はもちろんのこと、地域の人達がスタンドパイプの操作を習得し、早期対応の主力となることが期待されています。
- スタンドパイプは操作も簡単で、容易に操作方法を習得することができます。一般的な消火器よりも消火能力が高く、かつD級可搬消防ポンプよりも手軽に設定することができます。地域を守る一員として、スタンドパイプの操作に習熟した住民が、必要とされています。
具体的な操作手順は、リーダー団員のてびきの53ページ「スタンドパイプの取扱方法」を参考にしてください。
指導上の注意事項
- 消火栓、排水栓等を使用した訓練の際には、事前に消防署に届出る必要があります。消防職員が必ず立ち会わなければ使用できないので注意してください。
- 操作人員や号令等にはこだわらず、資器材を扱えるようになることを第一としましょう。ただし、危険と思われる操作をしている場合は、すぐに制止するようにして下さい。
- 始めに操作の一連の流れを見本で示し、次にポイントとなる個別の動作について、解説をしながら見本を示すと効果的です。
- できる限り参加者全員が一部の操作のみではなく、全ての操作過程を習得できるよう指導してください。
- 資器材各部の形状・名称については、分かりやすい言葉を使用し、各部の役割とともに説明します。
- 資器材の配置場所、消火栓・排水栓等の水利の種別・位置なども確認しましょう。
- スタンドパイプは、断水時には使用できません。D級可搬消防ポンプや消火器等の資器材の活用を指導しましょう。
事故防止
- 訓練実施者については訓練に適した服装としましょう。
- 蓋を開放する際は、周囲の安全を確認し、膝を曲げて腰をしっかりと低くして、ケガをしないよう注意します。
- 放水弁を開く時は周囲の安全をよく確認しましょう。急激な操作は大変危険です。
- ホースが引っ張られることにより、スタンドパイプや吐水口が破損しないように、ホースをしっかりとおさえましょう。
- 通行人が消火栓の中に落ちないようロードコーンを置くなどして注意を促すことも必要です。
- 各資器材の結合後は、しっかり結合されているか確認しましょう。
- 使用前の点検は必ず実施してください。特に結合部分は、負荷がかかるため亀裂や損傷等がないかしっかり確認しましょう。
(2)スタンドパイプ指導計画例
実際に指導していく上での具体的な流れについて説明します。
全体説明 時間目安:5~10分
操作習得のため、以下の概要について説明します。
- スタンドパイプとは?どこにあるの?仕組みは?
- スタンドパイプの各部名称・役割
- 設定から放水までに必要な操作
- 役割分担による効率的な消火活動
個別説明 時間目安:5~10分
全体を2班に分け、役割分担について操作手順ごとに説明する。(ローテーションで各手順について説明する)
- 吸水操作説明
- ①吸水担当:消火栓蓋開放、スピンドルドライバー差し込み、放水弁開放
- ②吸水補助:スタンドパイプ本体結合、ホース結合、安全管理
- 放水操作説明
- ①放水担当:ホース延長、管そう結合、放水
- ②放水補助:ホース延長、ホース整理、放水合図伝達、放水補助
班ごとの操作実施 時間目安:1班当たり5分
全体を班分けし、班ごとに役割分担を決め、実際に操作します。(以下、1班4名の場合)
- 吸水操作(2名)吸水操作と吸水補助
吸水操作者は蓋を開放し、スピンドルドライバーの操作を行います。吸水補助者は、スタンドパイプ本体結合、ホース結合、安全管理を行います。
- 放水操作(2名)放水担当と放水補助
ホースの延長及び結合を2名で協力して行い、放水担当が管そうの結合と放水を行います。もう1名はホース整理、放水合図伝達、放水補助を行います。
操作フローチャート
放水までの操作のポイント例【吸水操作編】
A・吸水操作
①消火栓蓋を開けます。
②スピンドルを差し込みます。
③水が出るかの確認をします。
④放水側から放水始めの合図を確認したら、放水弁を開放します。
B・吸水補助
①スタンドパイプ本体を吐水口に差込みます。
②操作の必要がない時には、周囲の安全を確認します。
③Dが延長したホースをスタンドパイプに結合します。
④ホースが伸びきるまでの間、ホースが引かれすぎないようにホースを押さえます。
C・放水操作
①二本目のホースと管そうを持って、一本目のホースが伸びきる地点付近に移動します。
②二本目のホース延長をします。
③ホース先端に移動し、管そうを結合します。
④「放水始め」の発声と放水合図を出します。
⑤先端を操作し、放水を開始します。
D・放水補助
①一本目のホースを延長します。
②ホースを整理します。
③ホースを結合します。一人で行っても構いません。
④放水合図が届かない場所の場合は、Dが合図の伝達を行いましょう。
⑤Cの放水補助をします。
5 初期消火活動上の注意事項
消火活動には常に危険が伴います。近い将来、地域の防災リーダーになるみなさんは、大地震後に近所で出火したとき、どう安全に初期消火活動をしたらよいか、学ぶことが必要です。
最も大切なことは、自分や一緒に活動する人がケガをしないことです。自分たちの身を守るためにも、必ず以下の注意事項を守りましょう。
(1)服装
熱や炎、落下物などから自分の身を守るために、手袋、運動靴、ヘルメット、制服(長そで)等を着用しましょう。町会・自治会の訓練で、防災資機材の配置場所に防火衣等が置いてある場合には、必ず身に付けてから消火活動を実施しましょう。
なお、十分に服装が整っていない協力者は、出火場所から離れた場所で支援活動を行うように指示しましょう。
(2)水利部署
災害時に消火活動をする前には、どこの消火栓や排水栓、防火水槽等の水利から水を出すか、判断しなければなりません。消火活動は、その時の天候や風向きも考慮し、これ以上燃え広がらないように阻止することや、いざという時の逃げ道を確保することも検討します。激しく燃えている建物に近付きすぎると、やけどをする可能性があるので、より安全に水が出せる防火水槽、水利を決定し、活動拠点とすることを水利部署といいます。
水利部署の例1
この場合、①の消火栓に部署しましょう。②の消火栓では、燃えている建物に近すぎて、やけどをする可能性があり、③の消火栓では、資器材倉庫から遠い距離にあるため放水までの時間がかかることが予想されます。
一方、①の消火栓であれば、資器材倉庫からも近く、退路が確保できるため、安全な拠点として活動ができます。
水利部署の例2
この場合、③の消火栓に部署しましょう。風が強く吹いている時は、風上に部署します。①の消火栓では、火の手が回ってくる可能性があったり、風に流された煙で受傷したりする危険性が高いためです。②の消火栓では、燃えている建物に近いことと、風が強いため、風向き次第で炎にあおられる危険性があります。
これらはあくまで一例です。災害現場は建物の配置や天候、人員、資器材等、様々な要因により変化します。より安全な活動をすることに、主眼をおいて判断するようにしましょう。
(3)消火活動時
- 隣の家に燃え広がるなど、身の危険を感じたら消火活動を中断し、避難しましょう。
自分の身の安全を第一にしてください。また、断水時はスタンドパイプが使用できないので、D級可搬消防ポンプや消火器を活用しましょう。
- 風が強く吹いているときは、風上から消火を行います。風下には火が回る危険があります。
- 燃えているものに直接放水することが最も効果的ですが、燃えている建物内部は煙が充満していたり、落下物のおそれがあることから、路上や屋外から建物内に向けて放水します。また、燃え広がるおそれのある所に、放水することでそれ以上燃え広がらないようにすることも考慮しましょう。
- 建物の玄関や窓などの開口部正面に位置するのは避けましょう。開口部から、急に火炎が噴き出してくることがあるので危険です。また、炎にあおられないよう、燃えている建物に近付きすぎないようにしましょう。
- 絶えず火災の状況に気を配り、火に囲まれることのないよう、避難の方向を確保して活動しましょう。
- 付近にいる人に応援を求め、協力し合いましょう。人数が多くなれば活動がしやすくなります。
問合せ先
- 防災安全課
(1)はじめに
地域住民の方々は、消防用に設置された地域の水利を火災時に使用することができます。みなさんの自宅から最も近い水利はどこにあるのでしょうか。自らが生活する地域の中に、どのような水利が設置されているのか確認することも、日頃から実践できる防火防災訓練の一部です。積極的に確認して、災害時に活用していきましょう。
(2)水利の種類
防火水槽
設置場所:公園、学校など


常に一定の量の水が蓄えられており、火災時に使用できます。歩道や路上にあるものは周りに黄色のラインが引かれているものもあります。

木造住宅密集地域の公園内の、東京消防庁が所有する防火水槽の蓋で、地域住民が軽可搬消防ポンプの吸管を容易に投入できるように、小さい蓋(直径20cm重量5kg)を鉄蓋(直径60cm重量44kg以上)に併設したものです。
消火栓
設置場所:道路・歩道など


消火栓は、水道を利用しているため、震災時に水道管が被害を受けた場合は使用できないことがあります。
蓋の周りに黄色のラインがないものもあります。

蓋が四角い消火栓もあります。
排水栓
設置場所:道路・歩道など


排水栓は、消火栓と基本的に同じものです。原則として蓋に青色のラインが引かれています。
自然水利等
防火水槽や消火栓などのほかにも、火災時に使用できる水利があります。海、池、川のような自然の水やプールなどの水などです。そのような場所には、消防水利の標識が掲げられています。
D級可搬消防ポンプの吸管の長さには限界がありますので、使用できる状況は限られますが、火災時には有効な水利となります。
なお、使用する際には、転落などの事故に気を付けましょう。
標識



3 D級可搬消防ポンプ操作の指導のポイント


(1)指導のポイント
指導目標
参加者が、震災等による火災発生時にD級可搬消防ポンプを活用した消火活動ができるようになることを目標とします。D級可搬消防ポンプの仕組みや、操作のポイントについて十分に理解し、設定から放水までの操作を、参加者相互に協力し、“自分たちのみでできる”ことを目指しましょう。
活動上の危険についても把握し、安全な活動ができることを最終目標としましょう。
指導のポイント
指導の際には、以下の説明をしましょう。
- 震災時には、同時多発する火災に消防隊や消防団のみでは迅速な対応が困難となります。そこで、町会や自治会等が、D級可搬消防ポンプの操作を習得し、早期対応の主力となることが期待されています。
- D級可搬消防ポンプは、消火器やスタンドパイプに比べ、消火能力が高く、加圧送水するため、長距離送水も可能な資器材です。地域防災の担い手が、D級可搬消防ポンプの操作を習熟することが地域防災力向上への近道となります。
- その地域で生活するすべての人々が防災活動に関わっていくことが必要です。消防少年団活動でD級可搬消防ポンプの操作と指導方法も学び、将来は防災リーダーとして地域の人におしえられるようになりましょう。
具体的な操作手順は、リーダー団員のてびきの45ページ「D級可搬消防ポンプの取扱方法」を参考にしてください。
指導上の注意事項
- 消火栓や排水栓等を使用した訓練の際には、事前に消防署に届出る必要があります。消防職員が立ち会わなければ使用できないので注意してください。
- 操作人員や号令などにはこだわらず、資器材を扱えるようになることを第一としましょう。ただし、危険と思われる操作をしている場合は、すぐに制止するようにしましょう。
- 始めに操作の一連の流れを見本で示し、次にポイントとなる個別の動作について、解説をしながら見本を示すと効果的です。
- できる限り参加者全員が一部の操作のみではなく、全ての操作過程を習得できるよう指導してください。
- 資器材各部の形状・名称については、分かりやすい言葉を使用し、各部の役割とともに説明します。
- 資器材の配置場所、防火水槽等の水利の種別・位置なども確認しましょう。
事故防止
- 訓練実施者については訓練に適した服装としましょう。
- 蓋を開放する際は、周囲の安全を確認し、膝を曲げて腰をしっかりと低くして、ケガをしないよう注意します。
- 放水弁ハンドルを開く時は周囲の安全をよく確認しましょう。急激な操作は大変危険です。
- ホースが引っ張られることにより、放水口などが破損しないように、ホースをしっかりとおさえましょう。
- 通行人が防火水槽等の中に落ちないようロードコーンを置くなどして注意を促すことも必要です。
- 各資器材の結合後は、しっかり結合されているか確認しましょう。
- D級可搬消防ポンプの設置場所を選定する際は、できるだけ水利に近付け、固い地盤を選んで水平に設置します。車輪止めがある場合は、車輪止めを設置しましょう。
- 自然水利を活用する場合は、転落等の危険を伴うため、十分注意しましょう。
(2)D級可搬消防ポンプ指導計画例
実際に指導していく上での具体的な流れについて説明します。


全体説明 時間目安:5~10分
操作習得のため、以下の概要について説明します。
- D級可搬消防ポンプとは?どこにあるの?仕組みは?
- D級可搬消防ポンプの各部名称・役割
- 設定から放水までに必要な操作(実際に見せながら)
- 役割分担による効率的な活動
個別説明 時間目安:5~10分
全体を2つに分け、役割分担について操作手順ごとに説明します。(ローテーションにより各手順について実施する。)
- ポンプ操作説明
- ①ポンプ操作:ポンプ操作、燃料・水利残量確認、落水時の対応
- ②ポンプ補助:吸管の結合・投入、ポンプ操作補助、放水側への状況伝達・補助
- 放水操作説明
- ①放水担当:ホース延長、管そう結合、管そう保持
- ②放水補助:ホース延長・結合、ホース整理、放水合図伝達、放水補助
班ごとの操作実施 時間目安:1班当たり5分
全体を班分けし、実施班に役割分担を決めさせ、実際の操作をさせます。(以下、1班4名の場合)
- ポンプ操作(2名)~ポンプ操作担当とポンプ操作補助~
ポンプ担当はエンジン始動から吸水、放水弁ハンドル開放、圧力調整までを行い、吸管担当は吸管投入後、ポンプ担当又はホース延長の補助を行います。 - 放水操作(2名)~放水担当と放水補助~
ホースの延長及び結合を2名で協力して行い、放水担当が管そうの結合と放水をします。もう1名はホース整理、放水合図伝達、放水補助を行います。
操作フローチャート

放水までの操作のポイント例【ポンプ操作編】
A・ポンプ操作




B・ポンプ補助




C・放水操作





D・放水補助





4 スタンドパイプ操作の指導のポイント


(1)指導のポイント
指導目標
参加者が、震災等による火災発生時にスタンドパイプを活用した消火活動ができるようになることを目標とします。消火栓・排水栓の正しい知識や活用方法を理解し、設定から放水までの操作を、参加者相互に協力し、“自分たちのみでできる”ことを目指します。
活動上の危険についても把握し、安全な活動ができることを最終目標としましょう。
指導のポイント
指導の際には、以下の説明をしましょう。
- 震災時には、同時多発する火災に消防隊や消防団のみでは迅速な対応が困難となります。そこで、消防少年団員はもちろんのこと、地域の人達がスタンドパイプの操作を習得し、早期対応の主力となることが期待されています。
- スタンドパイプは操作も簡単で、容易に操作方法を習得することができます。一般的な消火器よりも消火能力が高く、かつD級可搬消防ポンプよりも手軽に設定することができます。地域を守る一員として、スタンドパイプの操作に習熟した住民が、必要とされています。
具体的な操作手順は、リーダー団員のてびきの53ページ「スタンドパイプの取扱方法」を参考にしてください。
指導上の注意事項
- 消火栓、排水栓等を使用した訓練の際には、事前に消防署に届出る必要があります。消防職員が必ず立ち会わなければ使用できないので注意してください。
- 操作人員や号令等にはこだわらず、資器材を扱えるようになることを第一としましょう。ただし、危険と思われる操作をしている場合は、すぐに制止するようにして下さい。
- 始めに操作の一連の流れを見本で示し、次にポイントとなる個別の動作について、解説をしながら見本を示すと効果的です。
- できる限り参加者全員が一部の操作のみではなく、全ての操作過程を習得できるよう指導してください。
- 資器材各部の形状・名称については、分かりやすい言葉を使用し、各部の役割とともに説明します。
- 資器材の配置場所、消火栓・排水栓等の水利の種別・位置なども確認しましょう。
- スタンドパイプは、断水時には使用できません。D級可搬消防ポンプや消火器等の資器材の活用を指導しましょう。
事故防止
- 訓練実施者については訓練に適した服装としましょう。
- 蓋を開放する際は、周囲の安全を確認し、膝を曲げて腰をしっかりと低くして、ケガをしないよう注意します。
- 放水弁を開く時は周囲の安全をよく確認しましょう。急激な操作は大変危険です。
- ホースが引っ張られることにより、スタンドパイプや吐水口が破損しないように、ホースをしっかりとおさえましょう。
- 通行人が消火栓の中に落ちないようロードコーンを置くなどして注意を促すことも必要です。
- 各資器材の結合後は、しっかり結合されているか確認しましょう。
- 使用前の点検は必ず実施してください。特に結合部分は、負荷がかかるため亀裂や損傷等がないかしっかり確認しましょう。

(2)スタンドパイプ指導計画例
実際に指導していく上での具体的な流れについて説明します。


全体説明 時間目安:5~10分
操作習得のため、以下の概要について説明します。
- スタンドパイプとは?どこにあるの?仕組みは?
- スタンドパイプの各部名称・役割
- 設定から放水までに必要な操作
- 役割分担による効率的な消火活動
個別説明 時間目安:5~10分
全体を2班に分け、役割分担について操作手順ごとに説明する。(ローテーションで各手順について説明する)
- 吸水操作説明
- ①吸水担当:消火栓蓋開放、スピンドルドライバー差し込み、放水弁開放
- ②吸水補助:スタンドパイプ本体結合、ホース結合、安全管理
- 放水操作説明
- ①放水担当:ホース延長、管そう結合、放水
- ②放水補助:ホース延長、ホース整理、放水合図伝達、放水補助
班ごとの操作実施 時間目安:1班当たり5分
全体を班分けし、班ごとに役割分担を決め、実際に操作します。(以下、1班4名の場合)
- 吸水操作(2名)吸水操作と吸水補助
吸水操作者は蓋を開放し、スピンドルドライバーの操作を行います。吸水補助者は、スタンドパイプ本体結合、ホース結合、安全管理を行います。 - 放水操作(2名)放水担当と放水補助
ホースの延長及び結合を2名で協力して行い、放水担当が管そうの結合と放水を行います。もう1名はホース整理、放水合図伝達、放水補助を行います。
操作フローチャート

放水までの操作のポイント例【吸水操作編】
A・吸水操作




B・吸水補助




C・放水操作





D・放水補助





5 初期消火活動上の注意事項
消火活動には常に危険が伴います。近い将来、地域の防災リーダーになるみなさんは、大地震後に近所で出火したとき、どう安全に初期消火活動をしたらよいか、学ぶことが必要です。
最も大切なことは、自分や一緒に活動する人がケガをしないことです。自分たちの身を守るためにも、必ず以下の注意事項を守りましょう。
(1)服装
熱や炎、落下物などから自分の身を守るために、手袋、運動靴、ヘルメット、制服(長そで)等を着用しましょう。町会・自治会の訓練で、防災資機材の配置場所に防火衣等が置いてある場合には、必ず身に付けてから消火活動を実施しましょう。
なお、十分に服装が整っていない協力者は、出火場所から離れた場所で支援活動を行うように指示しましょう。
(2)水利部署
災害時に消火活動をする前には、どこの消火栓や排水栓、防火水槽等の水利から水を出すか、判断しなければなりません。消火活動は、その時の天候や風向きも考慮し、これ以上燃え広がらないように阻止することや、いざという時の逃げ道を確保することも検討します。激しく燃えている建物に近付きすぎると、やけどをする可能性があるので、より安全に水が出せる防火水槽、水利を決定し、活動拠点とすることを水利部署といいます。

水利部署の例1

この場合、①の消火栓に部署しましょう。②の消火栓では、燃えている建物に近すぎて、やけどをする可能性があり、③の消火栓では、資器材倉庫から遠い距離にあるため放水までの時間がかかることが予想されます。
一方、①の消火栓であれば、資器材倉庫からも近く、退路が確保できるため、安全な拠点として活動ができます。
水利部署の例2

この場合、③の消火栓に部署しましょう。風が強く吹いている時は、風上に部署します。①の消火栓では、火の手が回ってくる可能性があったり、風に流された煙で受傷したりする危険性が高いためです。②の消火栓では、燃えている建物に近いことと、風が強いため、風向き次第で炎にあおられる危険性があります。
これらはあくまで一例です。災害現場は建物の配置や天候、人員、資器材等、様々な要因により変化します。より安全な活動をすることに、主眼をおいて判断するようにしましょう。
(3)消火活動時
- 隣の家に燃え広がるなど、身の危険を感じたら消火活動を中断し、避難しましょう。
自分の身の安全を第一にしてください。また、断水時はスタンドパイプが使用できないので、D級可搬消防ポンプや消火器を活用しましょう。 - 風が強く吹いているときは、風上から消火を行います。風下には火が回る危険があります。
- 燃えているものに直接放水することが最も効果的ですが、燃えている建物内部は煙が充満していたり、落下物のおそれがあることから、路上や屋外から建物内に向けて放水します。また、燃え広がるおそれのある所に、放水することでそれ以上燃え広がらないようにすることも考慮しましょう。
- 建物の玄関や窓などの開口部正面に位置するのは避けましょう。開口部から、急に火炎が噴き出してくることがあるので危険です。また、炎にあおられないよう、燃えている建物に近付きすぎないようにしましょう。
- 絶えず火災の状況に気を配り、火に囲まれることのないよう、避難の方向を確保して活動しましょう。
- 付近にいる人に応援を求め、協力し合いましょう。人数が多くなれば活動がしやすくなります。
問合せ先
- 防災安全課