安全への体制

安全推進部の創設

組織図
組織図

東京消防庁は、これまでにも安全対策について力を入れてきましたが、重大事故の発生を教訓に、庁全体の安全推進体制について再度検討しました。その結果、本庁各部の垣根を越えて、全庁一丸となった安全対策を推進していくため、全国初の専門部署「安全推進部」を設置しました。

安全推進部は、本庁各部等に配置した兼務職員と連携し、安全対策を組織横断的に統括していきます。

 

4つの文化

 重大事故を防ぐためには、組織に安全文化を根付かせる必要があります。
 ヒューマンエラー研究の第一人者であるジェームズ・リーズン氏は「安全文化を醸成するためには、次の4つの要素を組織に浸透させる必要がある」と述べています。
 安全推進部では、この4つの文化を参考にしながら、各事業を展開していきます。
参考文献:James Reason (1999), 『組織事故 起こるべくして起こる事故からの脱出』日科技連出版社

 

 安全文化とは、分野によってさまざまに定義されていますが、一般的には「組織の構成員が総体として安全の重要性を認識し、ヒューマンエラーや不安全行動に対して鋭い感受性を持ち、事故予防に対する前向きな姿勢と有効な仕組みを持つこと」といわれています。
※引用:芳賀繁(2020), 『失敗ゼロからの脱却 レジリエンスエンジニアリングのすすめ』KADOKAWA p27

安全推進部の有する3つの視点とそれを実現するための機能

3つの視点

全体の視点 
-統括推進機能-

セクショナリズムに陥ることなく、庁全体を捉え、組織横断的に様々な視点から改善点を探り、組織一丸となって対策を推進していきます。
また、有識者の助言も得ながら取組を継続することで、安全文化注1の醸成を促します。

本質の視点 
-分析・鑑定機能-

事故の原因や再発防止対策等について、直接的な部分だけでなく、ヒューマンファクターの視点など、科学的側面からのその原因や対策の成果を分析・評価し、本質を見据えた改善や解決に繋げていきます。
また、それらの科学的知見やノウハウを活かし、災害現場の活動支援や火災鑑定等を行います。

未来の視点 
-技術・開発機能-

消防職務の安全を追究する全国唯一の専門組織として、既存技術だけでなく、必要な安全技術の実装等を促すことで、安全水準を着実に向上させていきます。
また、「安全」を切口とした消防業務の更なる進化を促します。

事故対応

事故対応体制図

安全文化を醸成するには、その要素として、「報告する文化」が必要不可欠です。正しく、ためらわずに報告する文化を根付かせ、事故の根本原因を究明して的確な再発防止対策につなげることで、事故を確実に防ぐ仕組みの整備に取り組んでいます。

職務上で発生した事故に関しては、安全推進部が原因究明及び再発防止について統括的な役割を果たし、組織的に対応します。

事故対応フロー

会議体

事故対応体制図

庁の安全対策について各部等との連携を強めるため、理事(安全統括担当)を議長とする「安全統括会議」をトップに、方面本部長を議長とする「方面安全推進会議」、消防署等で行う「安全懇談会(セーフティカンファレンス)」の3層の体制で会議体を設置しています。

安全統括会議は安全対策の方向性を決める重要な会議であり、前例にとらわれない活発な議論を展開します。議題に対する可否を決定するだけでなく、安全を推進する政策に昇華することを目的としています。

会議
会議

安全懇談会 ~セーフティ・カンファレンス~

会議

消防署等で「安全」に関する課題やテーマについて意見を交換し、情報共有から意思決定まで幅広い目的に対応する「取り組み」を指しています。

安全に対する取り組みへの評価

安全評価

安全推進部員が現場の最前線である消防署の職員に対し、アンケートやインタビュー等を通じて、安全に対する職員一人一人の意識や取り組み等を調査します。これらの結果から、当庁の安全対策の課題を見出し、各部等が連携して解決策を講じていきます。

消防安全文化の現況に関する調査

組織の安全文化を定量的に把握することを目的に、消防組織における安全文化尺度を外部有識者と共同で開発しました。全職員を対象としたアンケート調査を実施し、安全文化の現況を把握するための調査を年1回行っています。
安全評価

外部からの視点

PDCA

当庁全体の安全文化の現状を客観的に把握し、対策を立てるために、安全推進評議会や安全アドバイザーといった制度を立ち上げるとともに、外部機関から客観的かつ専門的な助言を得ながら、組織的な管理体制を強化し、安全を組織文化として根付かせます。

問合せ先

  • 安全推進部
  • 安全推進課
  • 安全推進係
  • 03-3212-2111(内線2426)