バイスタンダー応急手当救命実例
~平成26年度から~
尊い命を救うためには、「救命の連鎖」(心停止の予防・早い119番通報・早い心肺蘇生と除細動・救急隊、病院での処置)がとても重要です。
ここでは、バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)として応急手当をしてくださった方の活躍の一部をご紹介します。
バイスタンダーの勇気と情熱ある救護活動に対し、深く感謝申し上げます。
応急手当を行う上での注意点
1 心肺蘇生を行う場合、次の項目に該当した時は、人工呼吸を省略し、胸骨圧迫だけを実施してください。
- 口対口の人工呼吸がためらわれる場合
- 血液や吐物などがある場合
- 人工呼吸用マウスピース等の準備に時間が掛かったりする場合
2 倒れている人の感染症の有無が不明な場合は、血液や吐物等には、直接触れないでください。
止血実施時は、ビニール手袋やビニール袋を使用します。
応急手当を行ったあとは、流水による手洗いやうがいを必ず行ってください。
★事例1
自宅で…
自宅でパンを詰まらせ意識を失いました。救急要請をした時に通信指令室から口頭指導があり、家族が異物除去を実施したところ、パンの除去に成功しました。救急隊が到着した頃には、会話が可能になる程度まで回復しました。
★事例2
会社で…
事務所内で社員が「具合が悪い」と訴えていたため救急要請しました。その直後に意識を失い心肺停止に陥り、会社の同僚7名が協力して胸骨圧迫とAEDによる除細動※1を4回実施しました。救急隊が到着してからも処置を継続し、除細動を1回実施してまもなく呼吸と脈拍が回復しました。救急車が病院に到着する直前には、会話が可能になる程度まで回復しました。
★事例3
学校で…
学校の体育館で教師が突然倒れました。目撃した生徒が教師を呼び、駆け付けた教師により胸骨圧迫と学校に設置されたAEDによる除細動を1回実施しました。救急隊が到着する前に、意識や呼吸が回復しました。
★事例4
ホテルで…
宿泊中の客が浴室の浴槽内でうつぶせになって浮いていたところを、他の客が発見し通報しました。客と従業員が協力して傷病者を浴槽内から移動させ、従業員が胸骨圧迫したところ、うめき声とともに呼吸が回復しました。救急隊が病院へ搬送中に、意識がほぼ回復しました。
★事例5
レストランで…
家族とデパートのレストランで食事をしていたところ、突然苦しみだし顔色が蒼くなって崩れるように床に倒れてしまいました。家族が異物除去(背部叩打)を実施したところ4.0㎝×3.5㎝の食物片が除去されました。ただならぬ様子を察知した店員が119番通報するとともに状態を観察したところ、意識や呼吸がなく、胸骨圧迫を実施しました。10分ほど実施した頃、明らかな呼吸と四肢の運動を認めたため胸骨圧迫を中止し、救急隊の到着を待っていました。救急隊が到着後は意識が回復しました。
★事例6
展示場で…
大型展示場施設を訪れていた会社員が、エスカレーター上で倒れました。居合わせた同僚が大声で助けを呼ぶとともに、すぐに胸骨圧迫を実施しました。巡回中に大声を聴いて駆け付けた警備員は、より安全な場所に移動させ、胸骨圧迫を実施しました。さらに施設に設置してあったAEDを搬送し、除細動を1回実施しました。心肺蘇生中に意識がほぼ清明に回復したため、救急隊の到着まで回復体位※2にして待っていました。この大型展示場施設は、東京消防庁の応急手当奨励制度※3により、「優良証及び優良マーク」が交付されている事業所です。
★事例7
テニススクールで…
テニスの練習中にジャンプをして着地と同時に突然倒れました。テニススクールの職員が119番通報と同じ建物内に設置してあるAEDを搬送し、傷病者の知人と協力してAEDを使用した除細動を1回と胸骨圧迫を実施したところ、救急隊が到着する前に呼吸と脈拍が回復しました。このテニススクールが入っている建物は、東京消防庁の応急手当奨励制度により、「優良証及び優良マーク」が交付されている事業所です。
★事例8
サッカー競技場で…
サッカーの競技中に突然倒れました。チームメイトが呼びかけても反応がなく、呼吸もなかったために心肺蘇生を開始しました。施設に設置してあるAEDで除細動を1回実施し、その後に到着した消防隊に心肺蘇生を引き継ぎました。救急隊が到着したところで、呼吸と脈拍が回復しました。
★事例9
スポーツクラブで…
エアロビクスのレッスン中に、急に尻餅をつくように倒れました。インストラクターが呼びかけたところ反応がなく、呼吸も感じられなかったため救急要請しました。同施設の職員と協力し、胸骨圧迫と施設に設置されたAEDによる除細動を1回実施したところ呼吸が回復し、会話が可能な程度にまで意識が回復しました。
★事例10
野球場で…
野球の試合中にボールを投げた直後に、崩れるように倒れました。意識、呼吸がなく、数人で交代しながら胸骨圧迫を実施しました。救急隊が到着してから、除細動を1回実施し、その後も処置を継続しながら搬送したところ、呼吸と脈拍が回復しました。搬送先の病院で、医療処置に対して発語や目的のある仕草をする程度まで回復しました。
★事例11
ゴルフ練習場で…
単独で来店しゴルフ練習をしていた客は、突然打席上で倒れ意識を失いました。目撃した客と従業員は、協力して通報と胸骨圧迫を実施しました。到着した救急隊により除細動を2回実施し、処置を継続しながら搬送したところ、呼吸と脈拍が回復し目を開けるようになりました。病院到着前には、声が出せる程度にまで回復しました。
※1 除細動とは・・・
心臓がケイレンしたように細かくふるえて血液が拍出できない致死的不整脈(心室細動)に対し、電気ショックをかけることにより心臓のリズムを正常な状態に戻すための処置。
※2 回復体位とは・・・
呼吸が妨げられないようにする体位です。体を横向きにし、頭を反らせて気道確保するとともに、嘔吐しても自然に流れるように口元を床に向けます。
※3 応急手当奨励制度とは・・・
従業員、利用客、地域の方々の尊い命を守るため、応急手当の必要性について深く認識し、助け合いの精神による救護体制づくりを目的とした制度です。救命講習を積極的に受講している、一定の要件を満たした事業所、商店街、町会、自治会、教育機関等に対して「優良証及び優良マーク」を交付しています。
いざというとき、自信をもって応急手当ができるよう
救命講習を受けましょう!!
また、救命講習を受けた後は、3年以内に再講習を受けましょう!!
以前ご紹介した事例についてはこちらをご覧下さい。
- バイスタンダー応急手当救命実例~助けてくれてありがとう Part4~
- バイスタンダー応急手当救命実例~助けてくれてありがとう Part3~
- バイスタンダー応急手当救命実例~助けてくれてありがとう Part2~
- バイスタンダー応急手当救命実例~助けてくれてありがとう~
また、関連ページもご覧下さい。
問合せ先
- 救急指導課