優良防火対象物認定表示制度
5 認定の方法
消防署長は、申請に係る防火対象物を審査・検査し、認定基準(告示第5条)に適合していると認める場合、当該防火対象物を防火上優良な防火対象物として認定します。(条例第55条の5の10第1項)
防火対象物の部分を申請単位とした場合は、当該部分が使用する避難施設及び共用部分も審査・検査の対象となります。
認定基準
法令の規定(防火に関すること)
消防関係法令及び建築関係法令(防火に関する基準)の遵守の状況を確認します。
【1 消防関係法令】
(1)消防用設備等関係
- 消防用設備等の設置
- 消防用設備等の維持管理
- 消防用設備等の設置届出
- 消防用設備等の検査
- 消防用設備等の設置計画届出
- 消防用設備等の点検・報告
(2)防火管理関係
- 防火管理者選任届
- 消防計画作成届
- 消防計画適正履行
- 統括防火管理者選任届
- 全体の消防計画作成届
- 避難施設等の維持管理
- 防炎物品の表示
- 防火対象物点検報告
- 消防用設備等の集中管理
- 自衛消防組織の設置等
(3)その他
- 危険物製造所等
- 少量危険物等
- 火気使用設備・器具等
- 火の使用の制限等
(喫煙等、がん具用煙火等) - 圧縮アセチレンガス等
- 住宅用火災警報器
- 映写室等の構造・設備
- 事業所防災計画の作成等
- 各種届出・検査
(工事等計画、使用開始、一時使用等)
【2 建築関係法令】
- 敷地と道路の関係
- 建築構造
- 防火壁
- 防火区画
- 界壁・間仕切壁・隔壁
- その他区画
- 避難施設等
(廊下、階段、出入口等) - 内装制限
- 非常用の昇降機
- 建築設備等
- 建築物の定期調査報告等
- 避難安全検証法等
避難安全性の確認
避難に関する関係法令の適合状況により、避難上の安全性が確保されていることを確認します。
自衛消防組織とその活動能力
東京消防庁が定める方法 により、実際に自衛消防訓練を実施してもらい、自衛消防隊の編成及び自衛消防活動能力が適切に確保されていることを確認します。
過去の法令遵守の状況
過去3年以内における法令遵守の状況として、次の事項を確認します。
- 消防法令違反をしたことによる命令、警告を受けていないこと。
- 消防法令違反をしたことによる罰則を受けていないこと。
- 消防用設備等点検報告(法第17条の3の3)及び防火対象物点検報告(法第8条の2の2)がされていること。
過去の火災発生の状況
過去3年以内において、火災(次に掲げる場合に限る。)が発生していないことを確認します。
- 火災の発生の要因と認められる場合
- 延焼拡大(全焼、半焼または部分焼となったもの)の要因と認められる場合
- 消火、避難その他の消防活動に支障を及ぼしたと認められる場合
申請者が申告する各種防火対策
防火対象物の防火安全性を高めるため、法令の規定によらず、自主的・意欲的な防火安全対策が防火対象物全体を包含して実施されていることを確認します。防火対策は、消防法令の趣旨に則ったもので、火災の予防、警戒、発見、通報、消火若しくは拡大の防止又は避難若しくは消防活動に有効と認められるものをいいます。次の表に掲げる例示を参照してください。
項 目 | 認定基準 | |
---|---|---|
出火防止対策 | 火気設備・器具の使用禁止 | 火気使用・器具の使用を禁止している。 |
禁煙措置 | 館内すべてを禁煙としている。 | |
入退室の管理 | 不審者等の入室による放火を防止するため、防火対象物の入退室管理を実施している。 | |
延焼拡大 防止対策 |
防炎物品の使用 | 法第8条の3の規定の例により防炎性能を有する防炎物品が使用されている。(同条の規定の適用を受ける場合を除く。) |
防炎製品の使用 | 防火対象物で使用する寝具、衣類及び布張家具等について防炎製品を使用している。 | |
内装不燃化 | 居室等及びこれから地上に通ずる廊下その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料とし、かつ、その下地を準不燃材料としている。(内装制限に係る法令の適用を受ける場合を除く。) | |
火災の 早期発見対策 |
自動火災報知設備の設置 | 令第21条の規定の例により自動火災報知設備が設置されている。(同条の規定の適用を受ける場合を除く。) |
監視カメラの設置 | 監視カメラを設置し、火災の早期発見に努めている。 | |
自動火災報知設備の受信機等の劣化診断 | 自動火災報知設備の受信機等の性能について適正に維持管理するため、劣化診断を受けている。 | |
火災の 早期通報対策 |
消防機関へ通報する火災報知設備の設置 | 令第23条の規定の例により消防機関へ通報する火災報知設備が設置されている。(同条の規定の適用を受ける場合を除く。) |
初期消火対策 | スプリンクラー設備の設置 | 令第12条の規定の例によりスプリンクラー設備が設置されている。(同条の規定の適用を受ける場合を除く。) |
避難対策 | 全周バルコニー等の設置 | 防火対象物の2階以上の階に、居室からバルコニーを通じ有効に避難できる全周又は連続式バルコニーを設けている。 |
階段・階段附室内の滞留スペースの設置 | 防火対象物の2階以上の階で、建基令第123条及び第124条に規定する避難階段又は特別避難階段の階段室又は付室若しくはこれらに通ずる避難上有効なバルコニー等に、車椅子が一時的に待機できるスペース(審査・検査基準に定める要件に適合する一時避難エリアを含む。)を設けている。 | |
外国語による避難誘導体制の確保 | 外国語による避難誘導ができる体制が整備されている。 | |
避難誘導用エレベーターの運用 | 規程第4章第12節に規定する避難誘導用エレベーターを運用している。 | |
避難経路等の確保 | 避難経路範囲、防火戸閉鎖範囲、消防用設備等操作範囲等を床面等に表示している。 | |
点滅・音声誘導灯の設置 | 点滅機能又は音声誘導機能を有する誘導灯を設置している。 | |
非常警報設備の設置 | 令第24条の規定の例により非常警報設備が設置されている。(同条の規定の適用を受ける場合を除く。) | |
避難安全性の検証 | 防火対象物の全部又は一部について、消防総監が認める方法により、避難上の安全の性能が確保されていることが検証されている(建基令第129条第1項若しくは第129条の2第1項、都安例第8条の5若しくは第8条の6又は条例第51条の2の規定を適用しているものを除く)。 | |
消防活動対策 | はしご自動車の活動空間の確保 | 地階を除く階数が4階以上の防火対象物について、はしご自動車による活動上必要な空間を確保している。 |
消防水利の設置 | 同一敷地内に、消防水利(法第20条第2項に規定する消防に必要な水利施設及び法第21条第1項の規定により消防水利として指定されたものをいう。)を設けている。 | |
緊急離発着場等の設置 | 防火対象物の屋上に、航空消防活動を確保するための緊急離発着場又は緊急救助用スペースを設けている。 | |
自衛消防隊の装備強化 | 規則第11条の6に規定する自衛消防隊の装備を有している。(条例第55条の5の規定の適用を受ける場合を除く。) | |
震災対策 | 家具類の転倒防止等の措置 | オフィス家具類の転倒・落下防止措置 が実施されている。 |
飲料水等の確保 | 震災に備えて、飲料水、食料等を確保している。 | |
ガラス飛散防止等の措置 | 飛散防止フィルムを貼付するなどして、震災の際に窓ガラス等が飛散しない措置がとられている。 | |
建築物の耐震改修 | 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)に基づく耐震診断を行い、構造耐震指標IS値が0.6以上となるよう耐震改修している。 | |
その他 | 自衛消防技術認定証 |
|
防火対象物点検報告 | 法第8条の2の2の規定の例により点検している。(同条の規定の適用を受ける場合を除く。) | |
救命講習の受講 | 消防署長から 救命講習受講優良証 の交付を受けている。 | |
AEDの配置 | 自動体外式除細動器(AED)を配置している。 | |
地域等との協力体制の確保 | 事業所と近隣事業所又は地域の自主防災組織等とが、締結等により火災等の災害による被害を最小限に留めるための協力体制が確保されている。 | |
災害時対応マニュアルの策定 | 災害時対応マニュアル等を作成し、従業員に配布するなどして、従業員一人ひとりが対応できる体制を整えている。 | |
予告無し訓練の実施 | 実施日時を予告しないで、自衛消防活動訓練を実施している。 | |
自衛消防訓練審査会等への参画 | 自衛消防訓練審査会等に過去3年以上参画している。 |
【消防総監が認める方法】
火災避難シミュレーション、階避難安全検証法(建基令第129条)、新・建築防災計画指針(編集・発行:(財)日本建築センター、発行日:平成8年11月20日)の計算手法を活用し、階避難完了時間が階避難限界時間を超えないことを確認します。
この表の例以外にも、防火対策として申告する場合は、消防署 へお問い合わせください。
各種防火対策は、防火対象物全体を包含する必要があります。
その他消防総監が必要と認める事項
過去3年以内において、認定の取消しを受けたことがなく、又は受けるべき事由が現にないことを確認します。