都民の皆様に防火防災に関する意識や防災行動力を高めていただくことにより、火災の発生を防ぎ、万が一発生した場合にも被害を最小限にとどめ、火災から尊い命と貴重な財産を守ることを目的としています。
令和3年3月1日(月)から3月7日(日)まで
令和2年中に東京消防庁管内で発生した火災は3,688件(前年比401件減少)でした。火災種別ごとにみると、建物火災は2,667件(同237件減少)、車両火災は216件(同10件増加)、船舶火災は0件(同1件減少)、林野火災は1件(同4件減少)、航空機火災は0件(増減なし)、その他の火災は803件(同166件減少)、治外法権での火災は1件(同2件減少)、管外からの延焼火災は0件(同1件減少)でした。
火災による死者は88人(うち、自損10人)で、前年と比べ20人減少しています。
令和2年中、火災件数は減少していますが、住宅火災は1,550件で、前年に比べ7件増加しています。住宅火災の割合は、建物から出火した火災件数2,667件のうち58.1%を占めています(図1)。
住宅火災の内訳は、住宅561件(21.0%)、共同住宅989件(37.1%)です(図2)。
また、令和2年中、住宅火災の出火原因で多いのが、「こんろ」411件(26.5%)(うち、ガスコンロ384件)、「たばこ」201件(13.0%)、「放火」144件(9.3%)でした(図3)。特に、こんろ火災は、前年と比べ67件増加しています。
※令和2年中の数値は速報値
※総火災件数には治外法権を含む
※建物から出火した火災とは、火元の用途が建物の火災
令和2年中の住宅火災による死者は73人(自損を除く。)で、前年に比べ10人減少しています。そのうち、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」という。)は、54人と全体の74.0%を占めています(図4)。
令和2年中、住宅火災による死者を出火原因別でみると、「たばこ」が多く13人(17.8%)、次いで「ストーブ」9人(12.3%)となっています(図5)。「たばこ」では、寝たばこ等で「火源が落下する」火災で死者が多く発生しています。
住宅火災が増加した要因として、前回の緊急事態宣言が発出されていた令和2年4・5月の住宅火災の発生状況を分析すると、たばこ火災が減少した一方、ガスこんろ火災が増加しています(図6・図7)。
これは、外出自粛、テレワークの増加などにより在宅時間が長くなり、自宅のガスこんろの使用機会が増えたことによるものと推定されます。
また、令和2年の年末にかけて増加しているほか、新たな緊急事態宣言の発出に伴う飲食店の営業時間短縮や休業などにより、自宅における調理機会が増え、今後さらなる増加が予想されます。
ガスこんろの取扱いに、より一層の注意が必要です。
東京消防庁管内では、平成16年10月1日から新築の住宅に住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)の設置が義務付けられ、既存の住宅には、平成22年4月1日から設置が義務付けられています。
住警器を設置することで、火災を早期に発見し、速やかな通報や消火、避難が可能となり、被害を防止・軽減することができます。
住警器は、全ての居室、台所及び階段に必ず設置しましょう。
住警器は定期的に作動確認しましょう。
作動確認は、本体の点検ボタンを押すか、ひも付きのものは、ひもを引くことで行うことができます。
音が鳴らない場合は、電池切れか機器の故障が考えられます。詳しくは製品の取扱説明書をご覧ください。
住警器にホコリ等の汚れがつくと、火災を感知しなくなるおそれがあります。
汚れは乾いた布でふき取りましょう。台所に設置してある住警器で油汚れがひどいものは、せっけん水に浸した布を十分絞ってからふき取りましょう。
住警器の耐用年数は概ね10年といわれており、全ての住宅に設置が義務化された平成22年4月から10年が経過していることから、いざという時に鳴らない住警器が多く存在していることが予想されます。
設置から10年を過ぎているものは、電子部品の劣化等による故障や電池切れにより、火災を感知できなくなる可能性が高まるため、ご自宅の住警器の設置年月を確認して、機器本体の交換をしましょう。
連動型の住警器は、設置された全ての部屋で一斉に鳴動するため、火災の早期発見に有効です。
また、インターホン等と連動して屋外に火災の発生を知らせる屋外警報装置付き住警器を設置すると、より安心です。
死者が発生した住宅火災の原因で、最も多い「たばこ」による火災の発生状況をみると、「火源が落下する」が7割以上を占めており、注意をしていれば発生を防止できたと思われます。布団等に落ちたたばこは、しばらく無炎燃焼(炎を出さずに燃え広がること)を続け、気付いた時には室内に一酸化炭素等の有毒ガスが充満しており、避難行動がとれずに命を落とす危険があります。たばこ火災から命を守るために次のことを心掛けましょう。
「ストーブ」による住宅火災も毎年多く発生しており、死者も発生しています。(ストーブには、電気ストーブや石油ストーブのほか、ハロゲンヒーターやガスファンヒーター等を含みます。)ストーブによる住宅火災の死者の内訳をみると、「電気ストーブ」が8割以上を占めています。
発生状況は、「可燃物がストーブに接触する」が最も多く、布団や座布団、衣類に着火するケースが多くを占めています。ストーブ火災は寒い時期を中心に多く発生していることから次のことに注意し、ストーブ火災を防ぎましょう。
住宅火災で最も多いのは「こんろ」による火災です。発生状況として、こんろ使用中に「放置する・忘れる」が多くみられます。
また、死傷者が発生した住宅火災では、調理中にこんろの火が、着ている服の袖口やすそに燃え移るなどの着衣着火による火災も多発しています。高齢の方は、着衣に火がついたとき、素早い消火をすることができずに被害が大きくなるケースが多くあり、注意が必要です。
電気火災とは、電気や電気製品にかかわる火災のことをいいます。
電気火災の中でもコード、プラグ、コンセント等に起因する火災(以下「電気コード火災」という。)は、火災に気付きにくいため大変危険です。
東日本大震災が発生してから10年が経とうとしています。未曾有の被害をもたらした大災害は多くの教訓をもたらしました。主な教訓としては、高齢者等の要配慮者の避難支援等が大切であること、日頃から地域活動やつながりの深い地域では、高い避難率で犠牲者が少なく、日ごろの訓練成果が活かされたことなどです。この機会に地域の防災対策を見直してみませんか?
現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、接触機会を低減する、いわゆる3密を避けるなどの「新しい日常」という考え方があらゆる場面で求められています。
東京消防庁では、「新しい日常」に照らした防火防災訓練の実施要領を作成し、感染防止を図りながら防火防災訓練等を実施できる体制を取っています。防火防災訓練を実施したいけど、今まで通りのやり方では心配という方は、管轄の消防署にご相談下さい。
※緊急事態宣言や東京都の自粛要請等に伴い、急きょ防火防災訓練の実施・協力ができなくなる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
これらの対策のほか、感染拡大の状況や皆さんのニーズに合わせて、対策を検討していきますので、お気軽にご相談ください。
東京消防庁公式アプリは、マップ上でお近くの防災施設や防火防災訓練などのイベントを検索できる機能、応急救護や防災に関する知識が深まるビデオライブラリ機能、FacebookやTwitterで当庁が発信したお知らせを確認できる機能、大人にも人気のゲーム機能など、楽しみながら学べる様々なコンテンツが充実しています。アプリは、スマートフォンやタブレット端末から無料でダウンロードできます。
屋外等で訓練を行う際には、当庁が整備している防災訓練用車両の活用をお勧めします。
各車両とも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に配慮して、資器材の消毒や体験人数を制限するなどの対策を実施しています。
各車両の活用については、管轄消防署にご相談ください。
ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル)に映し出される臨場感あふれる360度の立体映像とシートの振動、匂い、熱気などの演出により、地震、火災、風水害の疑似体験訓練ができます。
軽トラックベースの車両に積載した200セの水を循環利用することで、狭い路地や公園で消火栓や防火水槽などの消防水利がなくとも、実践的な消火訓練ができる車両です。
計4台整備しており、都内各地の訓練会場で活用されています。
東日本大震災や熊本地震など、近年発生した大規模地震のほか、長周期地震動の体験による身体防護訓練や出火防止訓練ができます。車いす用のリフターを備えており、車いすの方も体験できます。
各車両の詳しい情報については、下記のリンク先から防災訓練用車両の紹介ページをご覧ください。
消防署には、様々な防火防災訓練用の資器材があります。その一部と活用方法をご紹介します。
また、自宅で防災について学べる「リモート防災訓練」の動画を活用して、訓練時間を短縮するなど、防火防災訓練を計画する際の参考としてください。
模擬消火器は、実際に水を出して消火器の取扱い訓練をすることができます。また、模擬消火体験装置は、実際の炎を使うことで臨場感が加わった初期消火訓練が可能な資器材です。
スタンドパイプセット及びD級可搬式消防ポンプを活用した訓練では、消火栓や防火水槽を使用し、放水訓練を行うことができます。訓練で消火栓や防火水槽を使用する際は、管轄する消防署への事前の届出と、消防職員の立会いが必要です。
YouTube東京消防庁公式チャンネルの「リモート防災訓練 キュータと学ぼう!消火器の使い方」の動画で消火器の使用方法を学ぶことができます。
訓練用通報装置は、タブレット端末の画面に表示される災害の想定場面を見ながら、119番通報の訓練をすることができます。
YouTube東京消防庁公式チャンネルの「リモート防災訓練 キュータと学ぼう!119番通報のしかた」の動画で119番通報要領を学ぶことができます。
煙体験ハウスは、発煙器を用いてパイプハウス内に煙を充満させ、その中を歩行通過することで、煙の特性が分かり、火災時の避難要領を訓練することができます。
YouTube東京消防庁公式チャンネルの「リモート防災訓練 キュータと学ぼう!119番通報のしかた」の動画で119番通報要領を学ぶことができます。
初期消火を中心とした防災行動力の向上と、自衛消防訓練などの自主防火を推進するため、のんさんが消火器の使い方を実践しながら伝える動画を、「新しい日常」に対応したコンテンツとして制作しました。本動画はポスターと連動させるほか、東京消防庁のSNSやYouTube等で公開します。