都民の皆様に火災予防に関する意識を高めていただくことにより、火災の発生を防ぎ、万一発生した場合にも被害を最小限にとどめ、火災から尊い命と貴重な財産を守ることを目的としています。
11月9日(水)から11月15日(火)まで
※令和4年上半期の速報値(※令和4年8月16日時点)
令和4年上半期に発生した火災は、前年同期と比べて86件減の2,068件(治外法権火災及び管外からの延焼火災を含む。)となり、過去5年平均と比べて29件減となっています。
火災種別ごとの件数では、「建物火災」は1,470件(前年同期比4件増加)、「その他の火災」は493件(同74件減少)、「車両火災」は98件(同14件減少)、「林野火災」は3件(同2件減少)、「船舶火災」は3件(同2件増加)、「航空機火災」は0件(増減なし)となっています。
焼損床面積は12,711uで、前年同期と比べて3,231u増加しています。
火災による死者は59人(自損含む。)で、前年同期と比べて14人増加しています。このうち自損等による死者を除いた死者は50人で、前年同期と比べて10人増加しています。
また、火災による負傷者は391人で、前年同期と比べて23人増加しています。
主な出火原因は、「たばこ」318件、「放火(疑い含む)」300件、「ガステーブル等」172件、「電気ストーブ」59件、「コンセント」47件となっています。
令和4年上半期の住宅火災による死者は50人で、前年同期と比べて12人増加しています。
なお、月別に比較すると、2月が18人、3月が16人と突出して多くなっています(図1)。
不明・調査中を除いた出火原因別の死者数は、「たばこ」が最も多く11人、次いで「ストーブ」が7人となっています。また、死者に占める65歳以上の高齢者(以下、高齢者という)の割合が約8割と高い水準となっています。
令和3年中に発生した住宅火災は1,617件で、前年に比べ64件増加しています(図2)。
令和3年中の住宅火災による死者は69人(以下、住宅火災による死者・負傷者はすべて自損を除く。)で前年に比べ2人減少しています。また、火災による死者の9割以上は住宅火災によって発生しています(図3)。
高齢者の死者は54人となっており、住宅火災による死者の78.3%を占めています。過去5年間の住宅火災による死者に占める高齢者の割合は、約7割となっています(図4)。
高齢者と高齢者以外の住宅火災による死者発生率をそれぞれ比較すると、65歳未満の死者は10万人あたり0.15人発生しているのに対し、65歳以上75歳未満の死者は10万人あたり1.03人と6.9倍に、さらに75歳以上の死者は10万人あたり2.39人と15.9倍となっています(図5)。
高齢者は火災による被害を受けるリスクが高いことから、高齢者へのより積極的な被害軽減対策を行う必要があります。
令和3年中の住宅火災による死者の家族構成を、高齢者一人暮らし、高齢者夫婦のみ、高齢者を含む家族、高齢者を除く一人暮らしに分類すると、高齢者のみの世帯の割合が全体の約6割を占めています。高齢者は、火災が発生した際、身体状況等により火災の発見や避難が遅れてしまい、生命の危険が増すと考えられます(図6)。
令和3年中に死者が発生した住宅火災で一番多い出火原因は、「たばこ」です(図7)。
たばこの火種が残ったまま捨てるなどして、ごみくず等に着火し火災に至るほか、火源が落下または接触して布団等の可燃物に着火し、火災に至った事案が多くを占めています。
これらは、適切な方法で喫煙し、始末をすれば、火災の発生を防止できることから、喫煙者の防火意識の高揚や正しい吸い殻の処理が重要になります。
また、死者が発生した「たばこ」による火災の着火物は、ごみくずと布団類が多くなっており、喫煙習慣のある方には「たばこを捨てるときは水で確実に消火してから捨てる」、「寝たばこを絶対にしない」ということを徹底することが大切です。
そのほかにも、居室内のじゅうたんやシーツ、掛け布団カバー等に防炎品を使用することで、火災の発生を防止し、延焼を抑えることができます。
令和3年中に「ストーブ」を原因として発生した住宅火災は95件で、9人の死者が発生しています。また、9人の死者のうち5人が「電気ストーブ」、4人が「石油ストーブ等」で亡くなっています(図8)。
火災が発生した要因をみると、最も多いのが「ストーブ」に可燃物が接触することによるものです(図9)。
就寝時に何らかの弾みで寝具が使用中の「ストーブ」に触れることや、「ストーブ」で洗濯物の乾燥や調理をするなど暖房以外の目的で使用することが原因で火災になる場合もあります。「ストーブ」のまわりには、衣類や寝具類、紙等の可燃物を置かないようにしましょう。
令和3年中の住宅火災の出火原因と負傷者の発生原因で一番多いのは「こんろ」です(図10、図11)。
また、「こんろ」を出火原因とする住宅火災の負傷者は、着衣に着火した火災、てんぷら油火災、エアゾール缶等に関連した火災などで発生しています(図12)。
「こんろ」による火災の一例として、調理中に鍋を火にかけたまま、その場を離れてしまい、時間の経過とともに鍋が過熱され続け、鍋の中の食材と「こんろ」周囲の可燃物に着火し、火災となった例があります。調理中に離れないことはもちろんのこと、「こんろ」の周囲を整理整頓し、可燃物は置かないようにしましょう。また、着衣への着火に対する予防対策は、こんろ使用中に防炎品のエプロンやアームカバーを身に着けるなどの対策をとることで、万が一炎が接触しても着火しにくく、大変効果的です。
電気火災のうち漏電・電線の短絡(ショート)・スパーク・半断線・トラッキング※等を原因とした発熱によって起こる火災(以下「電気コード火災等」という。)は、火の気のない場所から出火するため注意が必要です。電気コード火災等は、令和3年中は371件発生し、死者が7人発生しています(図13)。
過去5年間の死者が発生した「電気コード火災等」の主な出火原因についてまとめると、「コード」で多く発生しています(図14)。また、火災に至った理由をみると、「電線が短絡する」、「金属の接触部が過熱する」、「トラッキング」の順に多く発生しています(図15)。
コードは物に踏まれたり折れ曲がった状態で使用されていたためにコードの被覆が損傷したり、長年使用したことによる経年劣化により、短絡や半断線が発生して火災に至るケースがあります。
※ トラッキングとは、コンセントに差し込んだプラグの差し刃間に付着した綿ぼこり等が湿気を帯びて微小なスパークを繰り返し、やがて差し刃間に電気回路が形成され出火することを言います。
住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)は、煙や熱を感知して、警報音等で火災の発生を知らせてくれる機器です。住警器を設置することで火災を早期に発見し、速やかな通報や消火・避難が可能となり、被害を防止・軽減することができます。
令和3年中の住警器等※未設置住宅における火災と、設置住宅における火災を比較すると、火災1件当たりの平均焼損床面積は、未設置住宅の18.2uに対し、設置住宅は約5分の1である3.9u、火災1件当たりの平均損害額についても、未設置住宅の約309万円に対し、設置住宅は約4分の1である約83万円となっており、設置住宅の方が被害が小さくなっていることがわかります(図16、図17)。
さらに、住宅火災100件あたりの死者発生火災件数を比べると、未設置住宅の9.4件に対し、設置住宅は2.4件となっており、設置住宅の方が約4分の1少なくなっています(図18)。
※ 住警器等とは、住警器の他に自動火災報知設備などの設備を含みます。
令和3年中における住警器の奏効事例は284件で、住警器による火災の早期発見によって被害の軽減が見られます。焼損程度別では、ぼやが225件(79.2%)で約8割を占めており、被害が大きくなる前に消し止められています。また、このほかにも住警器の鳴動によって火災になる前に住民等が気付き、未然に火災の発生を防げた事例も多数あります。
住宅用火災警報器の奏効事例を発生箇所別でみると、ほとんどが居室等、台所・キッチン等となっています(図19)。
住警器は、全ての居室、台所、階段に設置しましょう。
東京消防庁管内では、平成16年10月1日から新築の住宅に、平成22年4月1日から既存の住宅に住警器の設置が義務付けられています。
住警器は適切に作動するか定期的に点検をしましょう。
点検方法は、本体のボタンを押すか、付属のひもを引きます。正常な場合は、正常であることを知らせる音声や警報音が鳴ります。一般的に、点検の際の警報音等は自動で止まります。音が鳴らない場合は、電池切れ又は本体の故障が考えられます。詳しくは製品の取扱説明書をご覧ください。
また、住警器にほこり等の汚れが付くと火災を感知しにくくなります。汚れは乾いた布でふき取りましょう。台所に設置してある住警器で油汚れがひどいものは、家庭用中性洗剤を浸して十分絞った布で軽くふき取ってください。
住警器は、設置から10年が経過すると、電子部品の劣化や電池切れなどにより火災を感知しなくなるおそれがあります。
設置から10年を目安に本体の交換をしましょう。
・連動型住警器、屋外警報装置
火災が起きても、離れた部屋にいた場合、住警器の警報音が聞こえず、逃げ遅れるなど被害が拡大することがあります。火災が発生すると設置された全ての住警器が一斉に鳴動する「連動型」の住警器や、インターホン等と連動して屋外に火災の発生を知らせる「屋外警報装置」付き住警器を設置すると、より安心です。
・複合型住警器 (火災・ガス・CO警報器)
都市ガスや一酸化炭素(CO)も感知して、あらゆる側面から火災等の発生を知らせます。
・補助警報装置
火災の発生を警報音だけでなく、光や振動等で知らせます。高齢者や耳の不自由な方などに推奨されます。
防炎品とは、火がついても容易に着火せず、着火しても延焼拡大を停止する自己消火性を備えた素材で作られた品物のことをいいます。
火災でけがをされた方の中には、「調理中、衣服に火が触れて着火した」、「仏壇のろうそくに衣服の袖が触れて着火した」などの着衣着火事例があります。エプロンやアームカバーを燃えにくい「防炎品」にすることにより、着衣着火による被害は軽減されます。
また、就寝中のストーブ類の利用により、寝具が熱源に触れることで火災となる場合があります。万が一に備え、シーツや枕カバー、掛け布団カバーなどを防炎品にすることによって、火災の被害を軽減することができます。
家庭の身近にある防炎品の品目は、カーテン、じゅうたん、寝具類、エプロン、アームカバー、テント・シート・幕類、非常用持出袋、防災頭巾、衣服、布張家具、自動車・オートバイ等のボディカバー、障子紙、防護用ネットなどがあります。基準を満たした商品には、防炎物品ラベル又は防炎製品ラベルが貼付されています。
同時刻に着火し、1分後の燃焼状況の違い。非防炎品は数秒で燃え広がるが、防炎品は燃え広がりにくい。
写真は寝間着での実験となるが、カーテンやじゅうたん等の住宅内の布製品を防炎品にすることで、万が一の火災の際、被害を軽減することができる。
消火器による初期消火は、火災による被害の抑制に非常に効果的です。もしもの火災に備えて、火を使う場所には消火器を備えましょう。
また、一般住宅向けの小型で軽量な住宅用消火器や、片手でも使用できるエアゾール式簡易消火具もあります。
いざという時のために、地域の防火防災訓練などに参加し、消火器の使い方を覚えましょう。
住宅用防災機器は使用期限や劣化に注意するとともに悪質な訪問販売、点検にも注意しましょう。