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東京消防庁

東京消防庁 広報テーマ(10・11月号)
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エアゾール缶等による火災・事故をなくそう

エアゾール缶等による火災・事故をなくそう

≪エアゾール缶等に関わる火災及び事故の発生状況≫

(1) 火災の発生状況

エアゾール缶及び簡易型ガスこんろ燃料ボンベ(以下「エアゾール缶等」という。)による火災は、過去10年間で1,053件発生しています。平成25年の129件から減少傾向で推移し、平成29年から令和元年までは100件を下回りましたが、令和3年は122件発生し、令和2年から増加傾向に転じています(図1)。

図1 エアゾール缶等による火災発生件数の推移(過去10年間)
図1 エアゾール缶等による火災発生件数の推移(過去10年間)

令和3年中のエアゾール缶等により、火災に至った主な原因で最も多いのは「構造不適(機器)」の39件(32.0%)で、ブタンガストーチバーナなど、機器側の不具合で簡易型ガスこんろ用燃料ボンベから可燃性ガスが漏洩することなどにより出火したものです。次いで、「穴開け・ガス抜き」の20件(16.4%)で、エアゾール缶等を廃棄する目的で、缶に穴を開けた際に、近くで使用していたガスこんろの炎等により、噴出した残存ガスが引火し出火したものです。

缶の種類別でみると、簡易型ガスこんろ用ガスボンベが75件(61.5%)でエアゾール缶等関連火災全体の6割以上を占めています。

また、要因別にみると、廃棄方法に係る火災は35件(28.7%)発生し、取扱不適に係る火災は48件(39.3%)発生しています(表1)。

表1 エアゾール缶等による令和3年中の火災発生状況
火災発生要因
缶の種類







燃こ簡
料ん易
ボろ型
ン用ガ
ベ ス






合計 122 42 75 5 1 67

穴開け・ガス抜き 20 35 15 4 1 - 21
ごみ収集車 13 10 3 - - -
その他 2 2 - - - 1



装着不良 7 48 - 7 - - 2
暖房器具 10 5 3 2 1 8
厨房器具 5 - 5 - - 4
その他 26 10 14 2 - 18
構造不適(機器) 39 - 39 - - 13
図2 行為者年代別発生状況
図2 行為者年代別発生状況

次に、令和3年中の火災を発生させた行為者118人(不明の4人を除く)を年代別でみると、20歳代の32人が最も多く、次いで30歳代の24人となっています(図2)。

また、過去10年間のエアゾール缶等に起因する火災による死傷者は570人で、死者が3人、負傷者が567人発生しています。このうち中等症以上のけがを負った人(死亡を除く。)が4割以上を占め、顔や気道などにやけどを負っています(表2、表3)。

表2 エアゾール缶等による火災の死傷者発生状況(過去10年間)
年別



(件)






(人)
負  傷  者  数  (人)

(人)
( 中
死 等
亡 症
を 以
除 上
く の
。 負
) 傷
(人) 者
  数

( 中
死 等
亡 症
を 以
除 上
く 割
。 合
) 
(%)  






平成24年 118 41 41 - 8 16 17 - 24 58.5%
平成25年 129 55 55 3 6 17 29 - 26 47.3%
平成26年 121 61 60 1 7 21 31 1 29 48.3%
平成27年 112 59 59 1 6 17 35 - 24 40.7%
平成28年 112 73 73 1 4 27 41 - 32 43.8%
平成29年 72 42 41 2 3 11 25 1 16 39.0%
平成30年 91 57 57 2 3 15 37 - 20 35.1%
令和元年 75 51 51 3 3 14 31 - 20 39.2%
令和2年 101 63 63 2 4 19 38 - 25 39.7%
令和3年 122 68 67 1 2 14 50 1 17 25.4%
合計 1,053 570 567 16 46 171 334 3 233 41.1
  • 軽 症・・・軽易で入院を要しないもの
  • 中等症・・・生命の危険はないが入院を要するもの
  • 重 症・・・生命の危険が強いと認められたもの
  • 重 篤・・・生命の危険が切迫しているもの
表3 エアゾール缶等による火災の受傷部位別負傷者数(過去10年間合計)
受傷部位
(火)



(創)




(創)













顔部 156 - - 1 - 1 - 2 1 161
気道 89 - 4 - 6 - - - 9 108
手部(手のひら) 76 2 - 1 - 3 - - - 82
前腕部(肘から先) 60 - - - - - - - 1 61
上半身 29 - - - - - - - 1 30
全身 21 - - - - - 4 - 5 30
上腕部(肘から上) 25 1 - - - - - - - 26
頭部 21 - - 1 - 1 - - 6 29
足部 11 1 - 1 - 1 - - 1 15
下腿部(膝から足首) 12 1 - 1 - - - - - 13
その他 10 - - - - - - - 5 15
合計 510 5 4 4 6 6 4 2 29 570

2 事故の発生状況イメージ

エアゾール缶等による事故※は過去10年間で101件発生しています。「その他」を除く過去10年間の事故原因を見ると、最も多いのは廃棄するためにエアゾール缶等に穴を開けた際に噴出した残存ガスに、ガスこんろ等の炎が引火してやけどを負うなどの事故で、31件発生しています(表4)。

※「事故」とは、火災に至らず、やけど等のケガを負ったものです。

表4  過去10年間のエアゾール缶等による主な原因別事故件数
主な原因 平成
24年
平成
25年
平成
26年
平成
27年
平成
28年
平成
29年
平成
30年
令和
元年
令和
2年
令和
3年
合計 割合
(%)
穴開け 10 1 3 - 5 2 6 - - 4 31 30.7%
その他(廃棄) - 2 2 1 2 3 - - - - 10 9.9%
厨房器具近接 2 3 1 - - - 3 - 2 4 15 14.8%
暖房器具近接 - - - - - - - - - - - 0.0%
装着不良 2 - - - - - - - - 1 3 3.0%
その他
(取扱不適含む)
6 4 6 3 7 7 2 3 1 3 42 41.6%
事故合計
(件)
20 10 12 4 14 12 11 3 3 12 114 100%

≪近年発生したエアゾール缶等に起因する火災・事故事例≫

日常生活に潜む危険に注意してください

事例1

居住者が照明器具内にいる虫を駆除しようと、可燃性ガス(LPガス)を含むスプレー式の殺虫剤を噴射したため、カバー内に可燃性ガスが滞留し、照明の照度を切り替える際のスイッチの火花により引火し出火した。(建物ぼや火災)

(70歳代 重篤)

事例2

居住者は自宅台所のシンクでスプレー缶を廃棄するためにガス抜きをしたところ、スプレーから抜けた可燃性ガスが使用していたガスこんろの火に引火して出火した。(建物ぼや火災)

(30歳代 負傷者なし)

事例3

エアゾール缶を廃棄するため、鍋を火にかけている隣でガス抜きをしていたところ、ガスに引火し、受傷した。

(20歳代 軽症)

事例4

浴室内でパーツクリーナーのスプレーを使用して機器を洗浄中、突然炎が上がり、顔面と四肢にやけどを負った。

(50歳代 重症)

事例5

台所で鍋を火にかけていた際に、虫が鍋の上部に飛んできたため殺虫剤を噴射したところ、調理中の火がガスに引火し、受傷した。

(50歳代 軽症)

イメージ

≪カセットボンベ・エアゾール缶等の火災・事故を防ぐために≫

  1. ① エアゾール缶には、LPGなどの可燃性ガスが噴射剤として使われている製品が多いので、使用前に必ず製品に記載されている注意書きを確認してください。(エアゾール製品は、本来の用途以外に使用しないでください。)
  2. ② やむを得ず使い切らずに捨てる時には、火気のない通気性の良い屋外で残存ガスがなくなるまで噴射し廃棄してください。
  3. ③ エアゾール缶等を廃棄する場合は、必ず中身を使い切り、各区市町村が指定するごみの分別を守って捨ててください。
  4. ④ エアゾール缶等は、厨房器具や暖房器具付近の高温となる場所や、直射日光と湿気を避けて保管し、厨房器具や暖房器具等の付近では使用しないでください。
  5. ⑤ カセットボンベは、カセットこんろ本体に正しく装着されていることを確認してから使用してください。
  6. ⑥ カセットこんろを複数並べて鉄板を載せること、カセットボンベカバーを覆うような大きな鍋等の使用や、練炭等の炭おこしは、燃料ボンベが過熱され、破裂する危険があるので絶対に行わないでください。
  7. ⑦ 流通しているガスバーナの中には、ネットモール等で極端な廉価で販売されている物もあります。そのような製品は、加工精度が低い、取扱説明書が不十分、問合せ先が不明瞭等、火災・事故発生のリスクが高い場合がありますので、十分ご注意ください。

※ 火災を防ぐためにガス抜きキャップを使ってエアゾール缶等の中身を出し切る廃棄方法を一般社団法人日本エアゾール協会のホームページで確認できます。

必ず中身を使い切りましょう
一般社団法人アゾール協会HP

※一般社団法人日本エアゾール協会ホームページから引用

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一般社団法人
日本エアゾール協会HP

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