年末となり自宅の大掃除をしようと思っている方が多いかと思います。普段は動かさない家具・家電を動かす大掃除の機会に、「住宅用火災警報器の適切な維持管理」、「家具類の転倒・落下・移動防止対策」及び「トラッキング火災の防止」を実施しましょう。
平成22年4月から全ての住宅に住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)の設置が義務化され、10年以上が経過しました。
古くなった住警器は電子部品の寿命などにより火災の時に作動しなくなることがあるため、この大掃除の機会に住警器の点検を行うとともに10年を目安に交換しましょう。
新築の住宅に住警器の設置が義務化された平成16年10月の設置率は15.4%でしたが、全ての住宅に設置が義務化された平成22年4月の設置率は79.4%、令和元年の設置率は89.4%となっています(図1)。平成22年の前後10年間で人口あたりの住宅火災による死者数を比較すると、大きく減少しています。
また、住警器が未設置の住宅は、設置されている住宅と比較して、火災による死者が約3.4倍発生しています(図2)。
お笑いコンビの「ティモンディ」さんが住警器の維持管理について紹介するプロモーションビデオを公開します。ボケ担当の高岸さんとツッコミ担当の前田さんのかけあいで、お笑いコンビならではの親しみやすいプロモーションビデオになっています。
令和2年12月21日(月)から12月27日(日)までの間、都営地下鉄全4路線(大江戸線、新宿線、三田線及び浅草線)の全車両(1,166車両)に住警器の点検・本体の交換を呼びかける中吊り広告を掲出します。
また、中吊り広告の実施と合わせて、都営地下鉄線の車内モニターに住警器の維持管理促進広報動画を放映します。
家具類の転倒・落下・移動防止対策(以下「家具転対策」という。)とは、地震の揺れで倒れるなどした家具や家電によるケガ等を防ぐために、家具類を固定したり、落下防止をしたりする対策です。
地震から大切な命を守るため、この機会に家具転対策を実施しましょう。
大きな地震が発生した時、室内で発生する『3つの危険』を知っていますか?
まず1つ目に、「けが」の危険です。地震により、家具や家電が転倒したり、棚から物が落ちてきたり、事務所であればコピー機や椅子などが移動したりすることでけがをする可能性があります。実際に、過去に発生した地震では、けが人のうち、約3割から5割の方が家具類の転倒・落下・移動が原因でけがをしていることも分かっています。
2つ目に、「火災」の危険です。阪神淡路大震災や東日本大震災では、地震の揺れにより家具や家電が転倒・落下し、ガステーブルや暖房器具等のスイッチが押されたことなどにより、火災が発生しています。
そして最後に、「避難障害」の危険です。転倒・落下・移動した家具類が、居室の出入口などの避難通路を塞いでしまい、避難できなくなることがあります。
「けが」、「火災」及び「避難障害」の『3つの危険』から命を守るためにも「家具転対策」は重要な対策の一つです。
家具転対策は、大きく分けて3つのステップに分けて実施することができます。専用の器具を使わずにできる対策もありますので、確認してみてください。
納戸やクローゼット、据え付け収納家具などに荷物を集中収納して、努めて生活空間に家具類を置かないようにしましょう。棚などの家具に収納する場合は、重いものを下に置き、重心を低くして倒れにくくしましょう。
「寝室のベッド」や「リビングのソファ」など、家の中で過ごす時間の長い場所の近くにはなるべく家具類を置かないようにしましょう。置く場合には、背の低い家具にするか、家具の置き方を工夫しましょう。
また、出入口などの避難通路周辺に転倒・移動しやすい家具類を置かないようにしましょう。
最も効果の高い方法は、L型金具などを使用し、家具と壁を直接ネジなどで固定する方法です。壁に穴を空けられないご家庭などには、ネジ留めが不要な対策器具を組み合わせて固定する方法もあります。
例えば、ポール式器具とストッパー式器具を組み合わせて設置することでL型金具と同等の効果が得られます。
器具を設置する際には、家具の形状や重さに合った器具を選び、器具の効果が十分に発揮できるよう、正しく設置することが重要です。
詳しい対策方法を知りたい方は、東京消防庁ホームページに「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」を掲載していますので、ぜひご覧ください。(右のQRコードからアクセスできます。)
令和元年中、東京消防庁管内では、延長コードの差込みプラグや電気機器の電源プラグのトラッキング現象による火災が30件発生(前年比4件減少)しています。
トラッキング現象による火災は、長期間コンセントに差込まれているプラグ部分に埃や湿気が溜まることで発生し、発見が遅れると思わぬ被害に繋がる場合があります。大掃除の機会にコンセントやプラグ周りなどを確認してみましょう。
コンセントに差し込んだプラグの差し刃間に付着した綿埃等が、湿気を帯びて微小なスパークの繰り返しにより差込みプラグの絶縁が破壊され、やがて差し刃間に電気回路が形成され出火する現象をいいます。
トラッキング現象による火災を防ぐため、差込みプラグは、使用時以外はコンセントから抜くようにしましょう。長期間差したままのプラグ等は、定期的な点検と乾いた布等で清掃し、もし異常がある場合は、使用するのをやめましょう。
また、大掃除中に「コードが家具などの下敷きや押しつけなどで傷ついていないか」、「コードを束ねたり、ねじれたまま使用していないか」も合わせて確認すると電気火災の予防に繋がりますので、ぜひ実施しましょう。