毎年12月から3月までの期間に、積雪や凍結路面により滑って転倒した際に受傷する事故(以下「ころぶ事故」という。)などによる救急事故が多くなります。
令和元年12月から令和2年 1)3月までの期間では、東京消防庁管内2)で20人が救急搬送されています(図1)。
また、過去5年間で1,250人が救急搬送されており、そのうち9割以上の1,183人は「ころぶ事故」による救急搬送です。
特に積雪の多かった平成29年12月から平成30年3月までは、救急搬送が895人と最も多く、降雪の有無によって救急搬送人員が大きく変化しています。
月別に見ると1月が1,149人、次いで2月が80人と多くなっており、搬送人員が過去5年間で最も多かったのは、平成30年1月の846人です(表1)。
表1 月別の救急搬送人員(人)12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 | |
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平成27年12月から平成28年3月 | 0人 | 283人 | 6人 | 0人 | 289人 |
平成28年12月から平成29年3月 | 4人 | 6人 | 4人 | 0人 | 14人 |
平成29年12月から平成30年3月 | 4人 | 846人 | 43人 | 2人 | 895人 |
平成30年12月から平成31年3月 | 0人 | 6人 | 26人 | 0人 | 32人 |
令和元年12月から令和元年3月 | 0人 | 8人 | 1人 | 11人 | 20人 |
合計 | 8人 | 1,149人 | 80人 | 13人 | 1,250人 |
救急搬送人員の最も多かった平成30年1月について、気象状況3)と救急搬送人員の関係をみると、22日に降雪があり、降雪後の数日間は路面凍結などの理由により「ころぶ事故」が発生するなど、1月だけで846人が救急搬送されています(図2)。
年齢層(5歳単位)別にみると、65歳から69歳が136人と最も多く救急搬送されています(図3)。
初診時程度別にみると、約4割が中等症以上と診断されています(図4)。
【初診時程度】 | |
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軽 症: | 入院を要しないもの |
中等症: | 生命の危険はないが入院を要するもの |
重 症: | 生命の危険が強いと認められたもの |
死 亡: | 初診時に死亡が確認されたもの |
スーパーへ買い物に行く際に、歩道の雪で足を滑らせて後方へ転倒し、腰部を受傷した。(20代 軽症)
バスから降車した際に、凍結した路面により滑って転倒し、足首を受傷した。(40代 中等症)
脚立に登り除雪作業をしていたところ、バランスを崩して約2mの高さから転落し、腕を受傷した。(70代 中等症)