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東京消防庁

リチウムイオン電池からの火災に注意しよう〜使わなくなった小型充電式電池はリサイクルを〜

リチウムイオン電池からの火災に注意しよう

電気は、私たちの日常生活において必要不可欠なエネルギーとして社会の隅々まで深く浸透しています。その一方、電気や電気製品にかかわる火災は、東京消防庁管内で毎年1,000件以上発生しており、全火災件数に対する割合は近年大きく増加しています。

増加傾向の内訳として、携帯端末などを外出先でも充電できるモバイルバッテリーなどが急速に普及し、これらに使用されているリチウムイオン電池からの火災が増えています。

このリチウムイオン電池などの二次電池(小型充電式電池)は、小型で大量の電力を必要とする製品に使用されています。一般的に使用されているニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池などと比べて大容量、高出力、軽量という特徴があります。

小型充電式電池が使用されている主な製品として、携帯電話、スマートフォン、モバイルバッテリー、パソコン、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などがあります。

≪電気火災の実態≫

令和3年中、東京消防庁管内では3,935件(治外法権火災4件を除く。)の火災が発生し、そのうち電気設備機器などによる火災(以下「電気火災」という。)は1,401件(前年比238件増加)と、全火災件数の35.6%を占めています。全火災件数に対する電気火災件数の割合は、年々増加しています。

表1 電気火災の状況(最近5年間)
年別 全火災件数 電気火災件数 全火災に対する割合
(%)
火災件数 損害状況
建物 航空機 車両 船舶 その他 焼損床面積
(u)
焼損表面積
(u)
死  者(人) 負 傷 者(人)
小計 全焼 半焼 部分焼 ぼや
29年 4,204 1,152 27.4 1,019 22 17 118 861 - 1 - 133 4,447 1,819 13 171
30年 3,972 1,205 30.3 1,043 14 28 113 888 - - - 162 3,933 1,549 11 164
元年 4,085 1,283 31.4 1,143 15 21 103 1,003 - - - 140 5,173 1,663 13 159
2年 3,693 1,163 31.5 1,057 13 15 102 927 - - - 106 2,767 1,646 14 159
3年 3,935 1,401 35.6 1,276 16 32 111 1,117 - - - 125 4,898 2,770 18 182
注1 全火災件数は、治外法権火災及び管外からの延焼火災を除いています。
 2 電気火災件数には、「放火(疑い含む)」、「火遊び」、「無意識放火」、「車両本体からの火災」を除いています。
 3 令和3年中の数値は令和4年5月1日現在の速報値です。

≪リチウムイオン電池関連による火災≫

令和3年中のモバイルバッテリーなどに使用されているリチウムイオン電池関連から出火した火災は141件で、前年と比べて37件増加しており、最近5年間で最も多い件数となっています(表2)。

発生した141件を製品用途別でみると、モバイルバッテリーが23件で前年の20件から3件の増加、次いで携帯電話機が18件、電動工具が14件、掃除機が13件などとなっています(表3)。

また、発生した141件のうち、72件が使用を誤って出火しています。具体的には、「充電方法を誤った」、「分解しようとして外部から衝撃を受けた」などがあります。

リチウムイオン電池関連の製品から出火する火災は、誤った使用方法により出火するのはもちろんのこと、通常の使用方法でも出火する場合もあるので注意が必要です。

表2 リチウムイオン電池関連火災状況(最近5年間)
年別 火災件数 損害状況
合計 建物 車両 その他 焼損床面積
(u)
焼損表面積
(u)
死者 負傷者
小計 全焼 半焼 部分焼 ぼや
29年 56 47 - - 5 42 7 2 32 41 - 4
30年 82 69 - 1 4 64 6 7 74 40 - 10
元年 102 95 1 1 11 82 2 5 400 257 - 12
2年 105 94 - 2 11 81 5 6 200 195 - 22
3年 141 124 5 5 16 98 6 11 860 289 - 30
対前年比 37 31 5 3 5 18 1 5 660 94 - 8
5年平均 97 86 1 2 9 73 5 6 313 164 - 16
注 令和3年中の数値は令和4年5月1日現在の速報値です。
表3 製品用途別火災状況(最近5年間)
年別 合計 モバイルバッテリー 携帯電話機 電動工具 玩具 掃除機 電動アシスト自転車 ノートパソコン ポータブル電源 その他
合 計 485 103 67 28 37 19 21 39 9 162
29年 56 11 8 - 4 - 2 9 1 21
30年 82 26 10 4 2 5 2 6 - 27
元年 102 23 11 3 12 2 7 12 - 32
2年 104 20 20 7 6 2 3 6 2 38
3年 141 23 18 14 13 10 7 6 6 44
注1 令和3年中の数値は令和4年5月1日現在の速報値です。
 2 製品用途別項目は、令和3年中の件数を基準にしています。

≪火災を防ぐポイント≫

● 火災を防ぐためには

  1. 購入する際は、電気製品が安全性を満たしていることを示す「PSEマーク」が付いている製品にしましょう。
    また、モバイル機器の安全性向上に取り組む団体(MCPC)が取り組む評価試験に合格した製品には「MCPCマーク」が表示され、安全な製品を見極める目安となります。
  2. 各機器を購入した時に付属されている充電器やメーカー指定の物を使用しましょう。
  3. 接続部が合致するからといって、充電電圧を確認せずに使用するのはやめましょう。
  4. 膨張、異音、異臭などの異常が生じたものを使用するのはやめましょう。
  5. 充電が最後までできない、使用時間が短くなった、充電中に熱くなるなどの異常があった際には使用をやめて、メーカーや販売店に相談してください。
  6. 容易に取り外せない場所にある小型充電式電池は、無理に取り外すのはやめましょう。
  7. お住いの地域のごみ回収方法をよく確認し、可燃物ごみや不燃ごみなどに混ぜて廃棄するのは、絶対にやめましょう。
PSEマークとは MCPCマークとは

● 小型充電式電池のリサイクルについて

【小型充電式電池とは?】

充電して繰り返し使える小型で軽量な電池です。この小型充電式電池は、主な材料としてニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)など希少な資源が使われていることから、平成13年4月、「資源有効利用促進法」により、小型充電式電池製造メーカーや小型充電式電池を使用する機器メーカー、それらの輸入業者などに回収、再資源化が義務付けられました。

なお、回収の対象になっているのは、リチウムイオン電池、ニカド電池、ニッケル水素電池及び小型制御弁式鉛蓄電池の4種類で、それぞれの電池にリサイクルマークが表示されています。

小型充電式電池のリサイクルマーク
【どこで回収しているの?】

小型充電式電池の回収、再資源化は電池メーカー等が会員となって設立された「一般社団法人JBRC」のリサイクル協力店(電器店・ホームセンター・スーパーなど)で実施しています。

なお、近くのリサイクル協力店はホームページでご確認ください。

また、携帯電話・スマートフォンの小型充電式電池の回収は、モバイル・リサイクル・ネットワークなどで推進されており、各社のショップ等で実施しています。

@一般社団法人JBRCホームページ
https://www.jbrc.com/
※リサイクルマーク@〜Bが回収対象
(解体された電池パック、破損、膨張、水濡れ電池などは回収対象外です。)

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Aモバイル・リサイクル・ネットワーク
http://www.mobile-recycle.net/
(一般社団法人電気通信事業者協会・一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)

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● 火災事例

【事例1 可燃ごみ回収中の清掃車から出火】

この火災は、可燃ごみに混ざって廃棄された充電式電池が押し潰されたため、充電式電池内で短絡を起こし、出火したものです。

作業員は、路上で可燃ごみ回収作業中に後方の荷箱内から煙が出ているのを発見し、119番通報をしています。

可燃ごみ回収中の清掃車から出火

なお、東京都環境局のホームページに充電式電池の自治体ごとの捨て方などについて記載しています。

東京都環境局ホームページ:「小型充電式電池のリサイクル」(お知らせ 2021年12月1日))

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/recycle/battery.html


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【事例2 社告品の非純正品バッテリーを使用して出火した火災】

この火災は、コードレス掃除機に使用していた非純正品バッテリーの基板が発熱し出火したものです。

居住者は、就寝中に住宅用火災警報器の鳴動音に気付き、居室内を確認したところ、コードレス掃除機から炎が出ているのを発見し、炎が一旦終息した後にコードレス掃除機を屋外に搬出し初期消火を実施しています。 居住者は、その後、火災があったことを友人に相談し、友人から通報を促され119番通報をしています。

社告品の非純正品バッテリーを使用して出火した火災

社告・リコール情報は新聞やホームページなどに掲載されています。 使用している電化製品などが社告・リコール該当品の場合は使用を中止し、製造会社もしくは販売店に連絡して改修等を依頼してください。



消費者庁:リコール情報サイト:https://www.recall.caa.go.jp/
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