令和4年1月1日現在、東京消防庁管内(稲城市及び島しょ地域を除く東京都全域)における65歳以上の方(以下「高齢者」という。)は約311万人で、当庁管内人口約1,368万人の22.8%を占めています。高齢者人口は今後も急速に増加し、超高齢社会がさらに進展することが予想されており、高齢者に関する防火防災対策の強化がますます重要になっています。また、障害者においても、災害時の自力避難が困難なため、高齢者と同様に防火防災上の支援が不可欠です。
こうした状況の中、当庁では、高齢者や障害者などのうち、災害への対応力が弱く、災害時に支援を必要とする方々の安全対策に係る各種取組を推進しています。
※参考資料:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(町丁別・年齢別)令和4年1月
令和3年中に当庁管内で発生した住宅火災による死者69人のうち、高齢者は54人(78.3%)と、8割弱を占めており、高齢者の居住環境の安全化を図ることが、火災による犠牲者を減らすために必要不可欠であると言えます。
(画像の一部を加工しています。)
当庁では、高齢者や障害者などの要配慮者世帯を対象として、ご本人の了解を得た上で消防職員が対象者のお宅を戸別に訪問し、火災・地震・日常生活事故等について危険な箇所があるかどうかを直接見て確認し、改善に関するアドバイスを行う「住まいの防火防災診断」という取組を行っています。
この取組は消防署だけでなく、各区市町村、地域包括支援センターや民生児童委員などの関係機関と連携し、診断を受ける方の情報共有や、診断への同行、また、診断後は区市町村が行っている防災用品等の助成事業を活用した危険箇所の改善など、地域が一体となって取り組んでいます。
いつ来るか分からない災害に備えることが、ご自身やご家族の安全を守ることに繋がります。「住まいの防火防災診断」を受けて、お住まいの状況に合わせて、備えるべき内容を事前に確認しておきましょう。
なお、当庁では、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策を講じた上で診断を実施しています。
大地震などの大規模災害が発生したときの行動として、自分の身は自分で守る「自助」及び地域の中でご近所同士が助け合う「共助」として、地域の防災力の向上を、各種訓練などを通じて積極的に推進しています。
そうした中、支援や配慮が必要となる高齢者や障害者などの方々を大規模災害から守るためには、平時の訓練の中に安否確認要領や避難支援要領などの対応訓練を取り入れることが重要です。
各消防署では、管内にある障害者団体や町会・自治会等に積極的に訓練実施の働きかけを行っています。
支援や配慮が必要となる高齢者や障害者などの方々と地域住民が互いの存在を認識し、有事の際には、支援が必要な方々の避難を地域住民が支援するなど、地域の防災行動力の向上を推進しています。
防火防災訓練、防災講話等で各消防署が配布しているリーフレット「地震から命を守る『7つの問いかけ』」は、災害時に支援や配慮が必要となる方々の防災行動力向上を目的として、災害発生時に想定されるリスクや対応策(備えと行動)について、時系列に沿って設定した7区分ごとに整理し、本人及びその支援者に分かり易く記載した資料です。
当庁ホームページの「安全・安心情報」⇒「防災」⇒「地震から命を守る『7つの問いかけ』について」のページで詳細を掲載しています。
問いかけ方式で気づきと自主的な取り組みを促しています。当庁ホームページの「安全・安心情報」⇒「トピックス」⇒「地震による被害を防ぐために」の中に、「地震から命を守る『7つの問いかけ』について」のページで詳細を掲載しています。ぜひご覧ください。
当庁では今後も積極的に、災害時に支援や配慮が必要となる方々に対する安全対策を推進していきます。今回紹介した、住まいの防火防災診断、安否確認や避難支援等の対応を取り入れた防火防災訓練、啓発資料「地震から命を守る『7つの問いかけ』」についての詳しい内容は、お近くの消防署にお問合せください。
当庁管内では令和2年中、ころぶ事故により約6万人のの高齢者が救急搬送されています。ころぶ事故は、高齢者の日常生活事故のうち約8割※を占めています。
※その他・不明を除く
原因の多くは、家の中の小さな段差や階段などです。
高齢者は若い人と比べ、ころんだ際に重症化しやすく、寝たきりになる場合もあります。
慣れ親しんだ家の中でも、事故につながることを意識して、事故を未然に防ぎましょう。
◆ころぶ事故の救急搬送人員と中等症※以上の割合(令和2年中)
※生命に危険はないが入院を要するもの
◆ころぶ事故の発生場所(令和2年中)
◆症状の程度別救急搬送人員(令和2年中)