初期消火を行う場合、最初に思いつくのは消火器です。しかし、消火器は、発生して間もない初期の火災に対しては非常に有効なものですが、拡大してしまった火災には対応することが困難です。
スタンドパイプは、消火栓に差し込み、ホース・筒先を結合することで、毎分100リットル以上の放水ができる消火用機材です。消火用機材としては軽量で操作も簡単、また消防車両が進入できない道路狭隘地域や木造住宅密集地域では、火元直近の消防水利を活用した有効な消火活動ができます。スタンドパイプ本体のほか、消火栓鍵、スピンドルドライバー、媒介金具、ホース及び管そう(筒先)で構成されています。
消火栓 | |
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外観 | 消火栓蓋を開けた状態 |
角型消火栓の場合 | ||
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消火栓鍵を差し込みます。 蓋を開放する際は、周囲の安全を確認し腰を痛めないよう注意します。 |
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完全に蓋を開放します。 蓋が手前に倒れて足を挟み込まないように注意します。例えば、あらかじめ放水弁にスピンドルドライバーを差し込めば、蓋が倒れてきても安全です。 |
丸型消火栓の場合 | ||
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消火栓鍵を差し込みます。 てこの原理で蓋を持ち上げます。周囲の安全を確認し、腰を痛めないよう注意します。 |
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丸蓋を開ける時は、一度手前に引き上げてから、180度回して開放します。 |
スタンドパイプを消火栓に設定する | ||
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吐水口にスタンドパイプを結合します。 操作時、消火栓内に物を落とさないように気をつけましょう。 |
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スタンドパイプを吐水口に結合したら、一度上方へ引っ張り確実に結合されているか確認します。 結合が不十分だと放水中に外れる可能性があり、大変危険です。 |
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スピンドルドライバーを差し込みます。 (夜間は、懐中電灯などがあると便利です) スタンドパイプとスピンドルドライバーを差し込むことで、消火栓蓋が倒れてきた時、足の挟み込みを防止できます。 |
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スピンドルドライバーを反時計回り(左回り)に回して水が出るか確認します。スタンドパイプから水が出るのを確認したら、スピンドルドライバーを時計回り(右回り)に回して水を止めます。 なお、弁を開く時は周囲の安全をよく確認しましょう。急激な操作は大変危険です。 ※ほとんどの消火栓は3回転以上で全開となります。また、区画量水器と呼ばれる大きな蓋の消火栓は、1/4回転で全開となるので、スピンドルドライバーを少しずつ回します。 |
ホース結合・延長・放水 | ||
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媒介金具は、スタンドパイプに結合されたままの状態で保管されています。 ※結合部分は差込式です。 「カチッ」と音がするまでしっかりと差し込みます。結合後は、一度引っ張って確実に結合できていることを確認します。 |
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ホースに管そう(ノズル)を結合します。 |
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ホースが折れ曲がっていると十分な圧力で放水できません。できるだけ、まっすぐ延長します。 ※ホースを延長する時は、ホースの余りに気をつけましょう。必要以上に引っ張ると消火栓に差し込んだスタンドパイプが外れて、水が噴き出す危険があります。 また消火栓側の人間は、ホースが引っ張られることにより、スタンドパイプや吐水口が破損しないように、ホースをしっかりとおさえます。 |
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火元までホースを伸ばし、放水準備ができたら合図をします。 合図は、声や動作で確実に伝えます。相手が見えない場合は、誰かに伝えてもらいます。 吸水操作をしている人は、合図を確認したら スピンンドルドライバーを反時計回り(左周り)に回して水を出します。 |
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参考:巻いてあるホースを転がして延長することもできます。 |
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管そう(ノズル)は目標に向け、腰の位置でしっかりと保持しましょう。 前傾姿勢をとると水の反動力が抑えられ、姿勢が安定します。 |
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放水停止 | ||
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合図は、声や動作で確実に伝えます。相手が見えない場合は、誰かに伝えてもらいます。 |
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時計回り(右回り)に、確実に閉めましょう。 吸水操作実施者は、消火栓から離れてはいけません。常にトラブルに対応できる態勢を整えましょう。 他の人が消火栓の穴の中に落ちないようにロードコーンを置くなどして注意を促します。 |