荻窪消防署では管内事業所の自衛消防力(火災が起きたときの対応能力等)の向上のために、毎年自衛消防審査会を実施しています。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、今年度は開催を見送ることとしました。
そこで、それに代わるものとして、事業所で取組んでいる"火災予防"や"災害発生時の対応"などの防火防災安全対策の事例を募集しました。
様々な業種から応募がありましたので、業種ごとに区分して事業所の防火防災安全対策を掲載しています。
皆様の事業所においても参考になると思いますので、是非、ご覧ください。
1981年(昭和56年)9月、戦後から続いた振興商店街が、荻窪の新しい時代を切り開くショッピングセンター「タウンセブン商店街」として生まれ変わり、荻窪駅北口に産声を上げました。地上8階・地下3階のこのビルに、100件余りの専門店および西友荻窪店等がテナントとして入っており、毎日大勢のお客様で賑わっています。8階には貸し会議室があり、セミナーや各種教室など様々な事業所様や団体様にもご利用いただいています。屋上は、「あおぞらぱーく」として開放。
土日祝日には多くの家族連れのお客様で賑わっていましたが、現在はコロナ禍の影響で閉鎖しております。
タウンセブンビルでは、春に火災総合訓練を、また秋は地震火災総合訓練を警備を中心として実施しております。 その中で、荻窪消防署にご協力いただき、“炎を見ながら消火器を使用した消火器訓練”“煙体験ハウスを使用し、煙の中を歩く煙体験訓練”“訓練用通報機器を使用した通報訓練”の他“AED訓練”や、“自衛本部隊が屋内消火栓を使用した展示放水”等を行ってきました。 コロナ禍の影響で、一部訓練が延期になってしまいましたが、お客様や従業員の安全を第一に考え、有事の際は被害を最小限にとどめるために、継続して訓練を実施してまいります。
タウンセブン北口駅前広場に集合
屋上に移動し各種訓練開始
屋内消火栓放水展示
消火器訓練
煙体験ハウス訓練
緊急通報訓練
タウンセブンビルは総合訓練の他、それぞれ火災・地震に備え、各種訓練を実施しております。
テナント従業員・西友従業員を対象に、AED訓練・三角巾使用訓練やロープワーク等の訓練を実施しています。
AED訓練
三角巾・ロープワーク訓練
心肺蘇生およびAED操作訓練、三角巾使用訓練はもちろん、エレベーター救出訓練や、土嚢積訓練、スプリンクラー設備に関する現場訓練や、敷地内の危険個所での現場訓練等を実施しています。
土嚢積訓練
水を流し、ブルーシート・土嚢を使用
施設員・警備・清掃が参加
エレベーター救出訓練
日立ビルシステム株式会社が協力
施設員・警備・清掃が参加
消火器訓練
警備隊にて実施。消火器使用要領
及び消火器点検要領を教育
地域に密着した“安全で安心してお買い物ができる”商業施設であり続けるためには、警備隊の力だけでは解決できない問題や課題があります。 今ある“安全・安心”をより強固にするため、今後も警備及び従業員が連携して定期的に訓練を重ね、レベルアップを図りお客様をいつでも笑顔で迎えられるよう、防火防災に努めてまいります。
推奨事項
アドバイス
ルミネ荻窪店は、地下1階に防災センター、また、地下1階から地上6階まで食品・ファッション・コスメ・生活雑貨・レストランなどの約120近いショップが入店、7階にはルミネ事務所、設備管理や清掃の協力会社事務室となっています。
防火管理については、共同防火管理として各テナントに防火管理者を置き、ルミネとしては、統括防火管理者を選任して、全体の消防計画を作成しています。
その様な中での事業所内や、ルミネにおける防火防災対策・訓練の取組みについてご紹介します。
「防火の日点検」は、ルミネの営業管理規則に定め、消防法第8条の規定にある防火管理業務の自主検査に該当しており、ショップ点検者やショップ本部立会いのもと実施し、点検結果の再確認と改善の実施を行っています。
点検項目としては、過去の火災や事故など苦い経験を基に作成されています。
(1) 出火防止ア 分電盤のブレーカ確認
イ コンセント類の破損・汚れ・トラッキング
ウ 配線のタコ足等
エ 照明器具の周辺・点灯状況、ほこり
オ スイッチの過熱、破損
カ ガス・電気熱源機器、ダクト等
キ 危険物品・電熱器具の転倒防止、届出等
照明器具の出火防止対策前
コンセントの出火防止対策@
照明器具の出火防止対策後
コンセントの出火防止対策A
ア 消火器の設置位置
イ 自動火災報知設備の感知器・スプリンクラー設備の感知・散水障害の解消
(3) 避難・安全確保ア 防火戸・防火シャッターの変形、周囲の整理整頓
イ 什器類の落下・転倒・移動防止
ウ 階段・通路の商品等
改善前
改善後
その他、ルミネや各ショップが火災予防のために毎日終業時に行う「安全確認」や防災センターの「警備点検」により、防火意識の向上に努めています。
昨年の自衛消防訓練は、ショップスタッフ・防災センター・ルミネ社員等の総勢100人強の参加者により実施しました。
訓練想定は、首都圏直下地震により杉並区では震度6を記録、ルミネ荻窪店の壁や天井の一部が崩落、複数のケガ人が発生するとともに、公共交通機関の運行停止に伴い多数の帰宅困難者が発生したとして訓練を行いました。
訓練項目としては、震災対応訓練「身体防護・応急救護(三角巾・AED)」を中心に、初期消火訓練、帰宅困難者対応訓練を実施しました。
今年度の訓練は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、3密を回避する観点から、これまでの集合型による実働の訓練ではなく、各ショップ単位での資料による指導要領の確認、図上訓練及びビデオ視聴として実施しました。
・通報、避難誘導、応急救護、消火訓練
・「わが事業所の自衛消防」の視聴
年に1度、全社員を対象とした全社訓練を実施し、災害発生時の社員の初動対応能力向上及び防災意識の高揚を図っています。
幹部不在の少人数による勤務体制時(日中帯、夜間帯)、関東地方に震度6弱の地震が発生と想定し、ルミネ社員と協力会社社員が協力して、初動の対応要領を実働訓練により確認しました。
【東日本大震災時の他店被害状況】ショップ内 本散乱1
ショップ内 本散乱2
【東日本大震災時の他店被害状況】ショップ棚転倒1
ショップ棚転倒2
ア 身体防護
イ 情報収集(火災、地震情報、建物被害、受傷等の確認)
ウ 現地対策本部の設置
エ 自衛消防活動等
ア 実践的な内容で勉強になった。
イ 主体的に動きながらの緊張感がある訓練でよかった。
ウ 頭で考えていても行動する難しさを実感した。
エ 備蓄品や非常時の資機材の保管場所などを明示した資料を整備し、非常時に誰もが分かる場所に掲示する必要がある。
オ 多くの社員が大震災を経験していないため、実際に大地震が発生した場合の被害や影響などが想像できない。
カ 実情に即した訓練を行った結果、実施した社員のそれぞれ抱える不安や問題点が浮き彫りとなり、今後の訓練の進め方等の貴重な資料となった。
実際に東日本大震災を経験された部外の方やルミネの調査役より、特別講演等をいただきました。
ルミネ社員向けに、改めて3.11の東日本大震災の恐ろしさや、今後発生の可能性が高い首都直下地震等に備え、ルミネ社員として何をすべきか考えるいい機会として実施しました。
【東日本大震災時の他店被害状況】
ショップ天井落下の様子1枚目
【東日本大震災時の他店被害状況】
ショップ天井落下の様子2枚目
「東日本大震災」及び「阪神・淡路大震災」の2つの大震災について、広がる火災の消火活動や人命救助等の調査役自らの経験を交えて、その教訓等をお話しいただくとともに、東日本大震災時のルミネの被害、発生時に店舗で勤務していた先輩社員の体験談、被害の大きかった仙台のショッピングセンターでの帰宅困難者から営業再開に向けての対応・取組みなどを講演いただき、今後、来たる災害に向けて何をすべきか、一人ひとりが考えさせられるとても貴重な機会となりました。
当社の事業は、お客さまとショップあっての事業であるため、店舗の安全確保が最優先となります。その為にも、継続的な防火点検による確認と改善を図っていくとともに、いつ発生するか分からない大規模災害等に備え、自衛消防訓練等において、計画に基づき冷静な行動ができるように理解を深めていきたいと思います。
これからも、お客さまの安全を第一に、被害を最小限に抑えられるようにルミネ荻窪店一丸となって取組んでいきます。
推奨事項
アドバイス
杉並区大宮前体育館(杉並区南荻窪2−1−1)は、閑静な住宅街の中で地域住民の健康増進を目的として設立されたスポーツセンターで、地上2階、地下2階建て、階下に体育館・温水プールを有する施設構造となっています。
建築士「青木淳」の巧みな建築デザインにより、住宅街との親和性を保ちつつ、スタイリッシュ、かつモダン的な建物は、地域のコミュニティの核となり自然や環境に配慮した施設です。2014年の設立当初よりコナミスポーツ株式会社・杉並建物総合管理事業協同組合共同事業体が指定管理者として運営しています。
我が国は、自然的条件より近年、類を見ない大型地震や災害が発生しております。これまでの度重なる大災害の教訓を踏まえた対応マニュアルを随時更新し、近年の災害に対応できるよう取組みを推進しています。
また、大宮前体育館は施設を取り囲む塀やフェンスなど遮蔽物がない敷地として公園のような趣があり、広域避難指定場所ではありませんが、一時避難場所として利用しやすい構造です。
敷地内にはイチョウ広場があり、災害時は臨時駐車・駐輪場としてのみならず、井戸水を利用した仮設トイレ(マンホールトイレ)の設置が可能です。災害発生時に適切に設置できるように仮設設置訓練も実施しています。
利用者様と接する全スタッフに対し、公益財団法人日本体育施設協会が認定するスポーツ救急手当プロバイダー資格の取得を100%にしています。全スタッフが有事の際に適切、かつ、迅速にCPR・AEDを行い、人命救助できるように資格の更新講習も含め定期的に受講しております。
(2) 台風・大雨対策台風・大雨時は地下居室に雨漏りの可能性があるため、事前予報を確認し排水系統を直接、下水道排水へ切替えています。建物外周がガラス張りのため、強風時は飛散防止のため養生材等の準備をしています。
(3) 消防設備の常駐員の作業専門業者の定期点検に加えて、設備常駐員による防火ダンパー・防火戸の作動確認・調整を重点的に実施しています。
年2回、本施設独自の防災訓練を実施しています。
訓練は全従事者を各居室に実際に配置して行い、災害時、従事者が施設内のどこにいても的確な対応が取れる体制を整えています。
杉並区では地震等に備えるために、区内一斉のシェイクアウト訓練を毎年実施しており、私たちは指定管理者としてこの訓練に参加しています。
日ごろ施設で行っている緊急対応シミュレーションや防災訓練の成果を発揮し、利用者の方々に迅速な避難指示を出すことができています。
緊急時における明確な指揮命令系統、災害時には、どんな小さな不具合でも区をはじめ関係機関への報告を行うことが、適切、かつ、迅速な対応・解決につながります。緊急時の窓口を一本化し、区と即座に連絡をとれる体制を構築することで、迅速、かつ、適切な対応を行います。
開設当初より、荻窪消防署と連携して防災訓練を行っています。実際の消火器・消火栓を用いた訓練等、普段は学ぶことができない技術も訓練しています。
今後も荻窪消防署や体育館を利用いただく地域団体と連携し、災害時対応の質を高めて参ります。
場所・対象者・事案等様々な事故を想定し、緊急時対応シミュレーション研修を行っています。
事故の未然防止から、事故発生時の安全確保・応急処置等の一連の流れを確認しています。
(2) 独自ハザードマップの作成本施設では独自のハザードマップも作成しております。AEDや消火器の場所、避難経路を写真と合わせて図式化することで従業員が迅速な避難経路を指し示せるようにしています。また、館内には非常口を指し示す掲示も多数表示しています。
大型災害が発生した場合に備え、災害救援ベンダー機の設置をしております。災害時には停電でも活用でき、無料で飲料を提供することができる自動販売機を設置しております。
平成28年に優良防火対象物(優マーク)の認定をいただきました。
平成31年3月の認定期間満了を前に、荻窪消防署長の審査・検査を改めて受け、「優マーク更新」をいただいています。
今後も、優マーク施設として安心・安全な施設対応ができるよう取組んで参ります。
ますます甚大化する地震・豪雨などの災害に備えた対応マニュアル、事前・事後のチェックシートの作成を進めています。
マニュアル・チェックシートの作成に終わらず、そのマニュアル・チェックシートを活用し、シミュレーション研修を重ね、より迅速的確な対応が実施できるように努めて参ります。わかりやすいマニュアルの構築、迅速な対応、両面の研鑽を進めることでより安全な施設を目指して参ります。
推奨事項
アドバイス
中央大学杉並高校は、大規模災害時に生徒の生命を守るための工夫・努力を惜しみません。防災士の資格を持つ3名の教員を中心に「だれも失わない学校づくり」を目標に、様々な取組み・教育を展開しております。
生命を守るためには、正確な知識を一人ひとりが持つことが重要です。防災教育を学校教育の中で行うことが、社会全体の防災力を高める近道だと考えます。
本校の防災の取組みの一部を紹介いたします。
荻窪消防署のご協力のもと、1999年から、毎年1年生全員に普通救命講習の受講を義務付けています。
生命の大切さについて向き合う「保健」の授業の一環です。もちろん教職員も全員3年に一度講習を受けています。いつ誰が倒れても、すぐに隣にいる誰かが救急救命処置をすることができる状態にしています。
災害拠点病院の荻窪病院と杉並区との協定を結び、災害発生時には校地の一部を荻窪病院の負傷者の待機場所にお貸しする約束になっています。
また、負傷者の搬送などの協力体制も整えています。荻窪病院が行う災害訓練にも毎年生徒が参加させてもらっています。
全ての教室の教卓には、たためるヘルメットと災害時の行動マニュアル、災害救急用品袋が準備されています。袋の中には、ファーストエイドに必要な医療品とシーツ型担架などが入っています。
このほかに生徒個人の非常持ち出し袋があり、災害時は近場の生徒がこれらを持ってグラウンドに集合することになっています。
また、教室備蓄品では不足する場合は、保健室にある救急持ち出しケースを取りに行くことになっています。これは保健室に負傷者が殺到することを避ける工夫です。
保健室のベッドの下には洗浄用の水が備蓄されています。移動ができるように手作りの台車に載せてあります。
近隣の方が学校に避難してきた場合に備え、避難者用のカードが準備されています。英文のカードも準備しました。
避難者カード(日本語版)
避難者カード(英語版)
非常時にはトイレを使うことができなくなるため、対策として非常時用の汚物凝固剤(携帯トイレ)を購入していました。
最初は、納品された段ボール箱のまま倉庫に備蓄していましたが、トイレの個室に分散して備蓄するようにしました。凝固剤だけでなく、ビニール袋やゴム手袋を手提げ袋に入れて置くようにしたのです。
これで発災時の「トイレ対応班」の労力が激減したはずです。お金をかけずに少しだけ工夫してみました。
また、携帯トイレの使い方を説明したプリントをトイレの全個室に貼付しました。こうして普段目にすることで、災害時のトイレの使い方を周知できる効果が期待できます。
非常用トイレの使用法
非常用トイレの中身
防災訓練では凝固剤を使って水を固めてみたり、どのような形状になるのかを実感してもらっています。
防災について学べるのは、学校教育では高校までになります。これからも防災訓練などを通して生徒には最新の知見を伝え、情報の収集方法、身の安全を図る方法などを確認していこうと思います。
凝固剤で水を固めている様子
推奨事項
アドバイス
ライフ&シニアハウス井草は、ライフハウス(自立型)に入居し、将来、介護が必要になった場合は同意のうえ、シニアハウス(介護型)に住み替えることができる有料老人ホームです。
現在、60名の方が、24時間365日スタッフと一緒にアットホームな雰囲気の中、生活されています。
当施設は、ご入居者様の安全・安心を第一に考え、定期的に自衛消防訓練を実施しています。特に新入社員は、消火器の設置場所や使用方法等、自衛消防活動の基本から学ぶ必要があるため、訓練時はベテランスタッフとバディを組み活動し、全スタッフが防火防災意識を持てるようにしています。
また、ご入居者様にも参加いただき、消防署員の指導のもと、自衛消防訓練を積み重ねています。
煙体験の様子
初期消火訓練の様子
日中と夜間では施設スタッフ数が異なるため、夜間に災害が発生した際の対応が課題です。
自衛消防訓練は日中行うため、参加スタッフも多く互いにフォローできますが、夜間に火災や地震が発生したら、ご入居者様を無事に避難させることができるか、最低限何を行わなければならないのか等、考えなければならないことはたくさんあります。
今年度はその課題を踏まえ、スタッフ数が少ない夜間帯の災害を想定し、訓練を行うことにしました。
訓練の流れとしては、
夜間スタッフ2名が勤務中を想定して訓練を開始します。
火災発生に伴い、自動火災報知設備が鳴動したら受信盤で場所を確認、1名は館内放送を、もう1名は現場への駆けつけと消火活動、ご入居者様への呼びかけ、火元に近い部屋から順にご入居者様の避難誘導を実施しました。
消防隊の到着後は、入居者数や避難状況等の報告を行い、消防隊の指示を受け、あわせてハウス長への報告を行いました。
「避難訓練」「初期消火訓練」というように部分的に行うのと違い、限られた人数で一連の訓練を実施すると、より一層スタッフが行うべき活動が見えてきました。
自動火災報知設備の受信盤でベルが鳴っている場所を確認すること、放送設備の使用方法に慣れること、ご入居者様の呼びかけや避難誘導方法等、消防隊が到着するまでの間にやるべきことをスタッフは身をもって感じたようです。
なお、「火災発生時(夜間)の対応マニュアル」を作成し、事務室内の見えやすい場所に掲示し、スタッフがいつでも確認できる状態にしています。
当施設から火災を発生させないことはもちろん、災害時に被害を最小限で抑え、ご入居者様の無事を確保することが私達スタッフの務めでもあります。
今後も、自衛消防訓練を通じて浮き上がった課題をひとつひとつクリアし、「安全安心なライフ&シニアハウス井草」であるよう、スタッフ一同、防火防災意識の向上を目指します。
通報訓練の様子
推奨事項
アドバイス
アズハイム杉並井草は、2019年5月にオープンした介護付き有料老人ホームで、西武新宿線井荻駅から徒歩10分ほどの閑静な住宅街、緑豊かで穏やかな環境の中に位置しています。当ホームは現在、55名の方がご入居されています。
ホーム内で火災が発生した場合、「ご入居者様が無事に安全な場所に避難する。」ということが最も重要です。
ご入居者様がスタッフとともに定期的に訓練に参加していただくことはもちろん、日々の生活の中で「どこに避難通路があるか」「いざという時はどこへ逃げればよいか」等を具体的に想定していただくことの大切さを説明し、実際の避難経路として火元の前は通らない(通れない)、避難するときは落ち着いた行動が必要である等をお伝えしています。
これにより、ご入居者様が生活空間の中で、より具体的に火災予防への意識を持っていただくとともに、スタッフにもあてはまることで、まず自分たちが建物をよく知り、ご入居者様の状態を知り、いざという時に最善の方法で自衛消防活動ができるよう、普段から訓練を重ねていく必要があります。
通報訓練の様子
当ホームでは、災害時に自力で避難が困難な方を外の安全な場所へ避難させる器具「S−CAPEPOD」を設置し、自衛消防訓練の際に使用方法の実習も行い、スタッフ誰でもが使いこなせるよう訓練に取り入れています。
火災を想定した訓練では、火元の部屋でご入居者様が怪我され、一人では動くことができないとの想定で、まずは火元から離れた場所へ誘導し、S−CAPEPODを活用しての避難誘導に移りました。
女性スタッフでも4階から1階玄関まで避難させることができる、ということをご入居者様にご覧いただきました。
訓練では怪我防止のため、念のため女性2名で対応しましたが、実際に使用してみると、頭側に立ったスタッフは何もすることなく、地上まで避難させることが可能であると再確認いたしました。
災害時はエレベーターが使えませんので、ご入居者様にS−CAPEPODの袋部分に入っていただき安全に下階まで避難できる器具ですが、安全面を十分配慮したうえで、いざという時に誰でも使いこなせるよう、これからも訓練を継続していきたいと思います。
災害に備え、ご入居者様とスタッフ用の飲料水や食料(普通のご飯、お粥タイプのもの)、その他生活に必要な物品等の備蓄管理を行い、いつ災害が発生しても冷静に対応できるよう心がけています。
災害はいつ発生するか分かりません。スタッフができることは、普段からの備えと自衛消防訓練だと感じます。
自分たちが積み重ねてきた知識と、ホームの設備を活用し、最大限の自衛消防活動ができるよう、日々の生活の中での「気づき」を大切にしながら訓練にいかし、今後もホームの安全をめざしていきます。
推奨事項
アドバイス
特別養護老人ホーム沓掛ホームは、近くに妙正寺川が静かに流れ、春には枝垂桜が咲き誇る杉並区本天沼三丁目に位置しており、現在は72名のご利用者様が過ごされています。
当施設では、大地震等の災害に備え、利用者様とスタッフ分の非常食や飲料水、生活必需品を備蓄しているほか、災害時に誰でも自衛消防活動動のリーダーとして動けるようなマニュアルを作成しています。
また、全スタッフに1台インカムを持たせ、施設内での連絡体制を確保し、すぐに応援に行けるような体制を整えています。
(2) 自衛消防訓練近年増えている地震や、火災などの災害緊急事態からご利用者様の人命を守る為、施設全体で定期的な訓練を実施しています。訓練時は、必ず参加スタッフがインカムを使用し、当日の指示役の指示のもと活動を行います。
訓練は火災、地震、日中発生、夜間発生・・等、さまざまな想定のもとに行い、訓練後に反省事項や推奨事項を話す場を設けるようにしています。
放水訓練(模擬)
毎年、多くの事業所が参加する自衛消防審査会へ出場していますが、昨年は自施設にて荻窪消防署協力のもと、自衛消防訓練を実施いたしました。主に若い職員が隊員として出場することは、「自分たちの施設とご利用者様は自分たちで守る!」という災害に対する基本的な意識づけを図るうえで、とても大切だと感じています。
いつも使っている施設だけに、避難経路や消防用設備等、見慣れているとはいえ、消防職員に目の前で審査される中で行う訓練は、いつも以上に緊張したようです。スタッフにとっても良い経験だったと思いますし、普段行っている訓練成果が発揮できたのではないでしょうか。
通報訓練
様々な想定のもと訓練を行っていますが、やはり、より実戦に近い訓練を積み重ねる必要があると思っています。ベッドに寝ている利用者様を安全、かつ、迅速に避難させるにはどうしたらいいのか、若い職員が活動のリーダーとして的確な指示を出せるようにするには、普段からどのようなコミュニケーション作りをしておく必要があるのか等、課題は多くあります。
「自分たちの施設とご利用者様は自分たちで守る」という意識を全スタッフが持ち、普段から利用者様とのコミュニケーション、スタッフ同士のコミュニケーションを育みながら信頼関係を築き、災害時の安全安心な活動に繋げて行きたいと思います。
自衛消防活動の審査を終えて
通報訓練
推奨事項
アドバイス
サンフレンズは23年前に設立された特別養護老人ホーム上井草園を中心とした社会福祉法人です。他にもデイサービスや小規模多機能ホームなども運営しており、地域に根付いた福祉サービスの実現に努めております。上井草園に関しましては開所以来、ハード面の大規模な改装は少なく、職員一人ひとりの防災意識あるいは知識が非常に重要になっております。また、サービスの性質上、ご利用者は高齢な方々です。自立した生活が困難な方が多く、当然自力避難困難者が大半を占めております。そのため、職員は高い防災意識と防災知識を身に付けている必要があります。
過去、初期消火訓練や夜間想定訓練等の様々な防災訓練を行ってまいりました。しかし、リアリティに欠け防災意識改革には程遠いものでした。そのため、当園では荻窪消防署主催の自衛消防審査会に注力することとしました。毎年参加をさせて頂くことはもちろんのこと、新卒職員を派遣し入社直後から防災意識を高める取組みを行うことにしました。
最初に問題になるのは指導者の確保です。新卒者の参加は既定路線としても、自衛消防を指導する者がおりません。そこで、まずは中堅職員を派遣し入賞するレベルの技術と、高い防災意識を有する者の育成に努めました。その努力が実り、今から8年前の自衛消防審査会で優勝を果たすこととなりました。その職員を中心に、次年度以降の新卒育成を計画しましたが現実は甘くなく、新卒職員が参加した年度の自衛消防審査会では入賞すらできない結果に終わりました。もちろん、審査会での入賞が全てではありませんが、防災意識の土壌作りには成果を求める必要があります。そして、その成果は適切な防災技術や知識を得たということにもなります。この取組みの本質は、自力避難困難者が大半の特別養護老人ホームにおいて、事業所全体の防災意識を向上させ技術と知識を備えるということです。そのためには、我々の取組みにおいて目に見える形での成果というものも重要になります。
(2) 新卒職員の成果「防災意識は一日にしてならず。」そのことを念頭に置き、中堅職員と新卒職員のペアでの参加に変更しました。これが功を奏し、数年振りに入賞を果たすことができました。普段からOJTを行っている関係性が練習でも活かすことができ、メリハリも生まれました。業務ではトレーナーと新卒者の関係で成り立っておりますが、無知である自衛消防に関してはほとんど対等な関係です。ともにアドバイスをし合うなど、これまでの関係性とは一味異なるもので刺激にもなりました。これは非常に価値のある変化で、震災等の緊急時は状況により年齢や職歴を越え、チームを指揮しなければなりません。そのため、このような関係性の変化は防災意識の改革において、必要不可欠と考えられます。
更に次年度は指揮者を新卒者、1番員に中堅職員を配置しました。本来の職場内の関係性とは真逆の立ち位置ですが、今までの業務とは異なる目線に立つことができ、新たな視野が開かれました。そして、その年は優勝を果たすことができました。新卒者にとって入職して初めてともいえる成果を挙げることができ、本人の自信にも繋がりました。
また、事業所内の防災委員会に所属させることによって、防災意識をさらに一段高めることができました。若い世代に防災意識を高めるよう指導したところで、大きな変化は期待できませんが、当園では自衛消防審査会を通して若い世代に防災意識を根付かせることに成功し、風土として定着させることができました。
福祉施設は、法令に定められている委員会活動を行う必要があります。その中には、看取りや褥瘡など福祉・介護に関係する委員会があり、多くの職員はそのような関係する委員会を希望します。そのため、例年、防災委員会は中堅職員以上が所属をするのが常でしたが、新卒者を自衛消防審査会に参加させることで20代前半から中盤の職員が所属するようになりました。確かに経験値が不足していることは否めませんが、新たな取組みや発想に期待が持てます。特に、訓練内容などにそれは顕著に反映されます。
福祉施設で困るのは、人手のない時間帯に起こりうる震災です。そのため、夜間想定訓練などを頻繁に行い、若手職員が加わったことにより震災訓練にも新たな視点が加わりました。
当園では電子記録を導入していますが、落雷による電波障害はどう対処すべきかと意見が挙がりました。そこに設備点検や安否確認を合わせることで防災訓練としても成立させ、職員が本当に体験したい訓練を行うことができるようになりました。
また、消火訓練などは例年、新卒者が経験しておくべき訓練の一つでありますが、当園では新卒者は自衛消防で操作する機会があるため、中堅職員以上が初期消火訓練に参加し操作などを再認識する機会として、これまでとは異なる意義を生み出すことができました。
上述したように、当園では多くの自力避難困難者がご生活をされています。ご利用者は以前に比べ重度化しており、課題が多く残されているのが現実です。また、杉並区の福祉救援所として機能するためには、日々業務で活躍している若手職員の理解と協力が必要不可欠です。
これまでの経験値と若い力を融合させ、これまで以上に防災意識を高め、より実践的な訓練の開催を求めていきたいと考えています。
そして、長きに渡り高度な防災意識を企業風土として持ち続ける法人でいたいと願っています。
自衛消防審査会 優勝カップ
推奨事項
アドバイス
2022年に西荻窪駅は100歳を迎えます。
大正から平成・令和まで多くの人々に愛され利用されたことと思います。
長い間、地域をはじめ多くの方々に支えられ、人々の弛まない熱意と様々な尽力があったことでしょう。
この平安な土地や今ある建物で、無事に誕生日を迎えられることを喜びに感じます。本当に感謝・感謝です。
大正11年当時の西荻窪駅
西荻窪駅の平均乗車人員は一日約45,700人で、中央線快速と中央線総武線各駅停車、さらに東京メトロ東西線への乗り入れ車両も運行しています。常に多くの方が利用するため、安全やその先の「安心」には特に全員が気を遣っています。
様々な方が行き来するためか、ケガ人や急病人の救護も多く携わります。当事者のためにも、警察や救急隊との連携もとても重要です。
2019年の台風被害からの教訓を生かし、少しずつ対策を講じています。災害用備蓄品は、万一のことを想定し水没しない倉庫に移管し、機器類の点検や小型非常用発電機の動作確認も毎月行っています。
ほかに噴火被害を想定した準備も行っています。また、震災の際に社員の安否が数日間も不明だった苦い経験から、社員とその家族を含めた安否確認訓練も適時行っています。
2019年の自衛消防審査会は、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を考慮するなか、職場内での訓練実演となりました。
大きな声・キビキビとした動作・駆け足の披露が一転、本物の1号消火栓から火点までホースをかかえて走ることもできない、狭いクランク状廊下での審査となりました。
まさに実際にあり得る想定となり、ホースを投げる動作や天井の低さ、狭くジグザグの廊下でできる行動など多くの教訓が発掘され、有意義で、今後はより現実を意識した訓練が必要だと痛感しました。
2019年自衛消防審査会
今までは大がかりな届け出を伴う訓練ばかりを訓練と考えがちでしたが、短時間の訓練や個別訓練・日々のトレーニングも柔軟に取り入れ、確実に一日一日を迎えられるように努めていきます。
また、応急手当普及員としての自覚をより一層深め、駅に従事する多くの方々への普通救命技能の向上や普及を目指します。
今後も、地道にできることからコツコツと実践していきます。
駅店舗合同の訓練
駅前防火防災キャンペーンの様子
推奨事項
アドバイス
よくあるご質問 | 消防相談窓口・消防テレホンサービス | サイトポリシー | ご意見・ご要望 | 各消防署・方面本部ホームページ
《お問合せ》 東京消防庁本部庁舎 〒100-8119 東京都千代田区大手町一丁目3番5号 《地図》
電話番号 03-3212-2111(代) 《本部・消防署所在地・電話番号一覧》
(c) 1997-2015 Tokyo Fire Department. All Rights Reserved.