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日常生活における死亡・重篤事故(令和3年速報値)

東京消防庁管内1)では、令和3年中2)に日常生活における事故で救急搬送された123,433人のうち、1,536人が死亡・重篤に至った事故でした。

日常生活での思わぬケガでも生命を脅かす重大事故に繋がります。本人だけでなく家族や地域で事故防止を考えていくことが大切です。

1) 東京都のうち、稲城市、島しょ地区を除く地域
2) 速報値であり、今後、数値が変わる可能性があります。

1 日常生活における生命の危険がある事故

(1) 日常生活における生命の危険がある事故はどのくらい発生しているの?

令和3年中の日常生活事故を事故種別ごとに見ると“ころぶ”事故が最も多いですが、死亡・重篤の割合に着目すると“おぼれる”事故の割合が最も高くなっています(図1)。

また、死亡・重篤における事故種別ごとの割合は、約半数が“おぼれる”“ものがつまる等”の事故です(図2)。“不明”が3番目に多いですが、これは、救急現場において、原因を断定できない状況が多くあることから、原因が明らかでないものは“不明”としています。

【医療機関搬送時の初診時程度】
死 亡: 死亡が確認されたもの
重 篤: 生命の危険が切迫しているもの
重 症: 生命の危険が強いと認められたもの
中等症: 生命の危険はないが入院を要するもの
軽 症: 軽易で入院を要しないもの
図1:日常生活事故の救急搬送人員における初診時程度の割合
おぼれる 浴槽、プール、河川等で溺れたもの
ものがつまる等 食物または、食物以外のものを飲み込んで受傷したもの(目・耳・鼻へ異物が入ったものを含む)
ころぶ 倒れた際に高低差の移動を伴わず受傷したもの
落ちる 倒れた際に高低差の移動を伴って受傷したもの
切る・刺さる 刃物や鋭利物等により受傷したもの
はさむ・はさまれる 物体間または物体内に挟まれたもの
ぶつかる 人と人、人と物との衝突により受傷したもの
やけど 高温の液体、気体等により受傷したもの
かまれる・刺される 動物や虫などにかまれた、刺された等により受傷したもの
図2:死亡・重篤事故における事故種別の割合

(2) どの年代で多く起こっているの?

高齢者で多いですが、乳幼児でも死亡・重篤事故は発生しています。

また、事故種別毎で見ると、高齢者では、“おぼれる”“ものがつまる等”の事故が多く、年齢が下がるにつれ少なくなっています(図3)。

図3:死亡・重篤事故における年代別の事故種別の割合
図3:死亡・重篤事故における年代別の事故種別の割合

(3) どのような場所で起こっているの?

全ての年代において、“住宅等居住場所”で多く発生しています。本人や家族等が家庭内で起こりやすい日常生活事故を知っておくことや、年代毎に合わせた事故防止対策をしておくことで未然に防げる事故も多くあります(図4)。

図4:死亡・重篤事故における年代別の発生場所の割合
図4:死亡・重篤事故における年代別の発生場所の割合

2 事故種別ごとの概要と対策

(1) おぼれる

おぼれる事故375件中、9割以上にあたる353人が“浴槽”でおぼれています。
また、年齢別では、高齢者で多く発生しています(図5、6)。

図5:おぼれる事故の発生場所(死亡・重篤)
図5:おぼれる事故の発生場所(死亡・重篤)
図6:おぼれる事故の年代(死亡・重篤)
図6:おぼれる事故の年代(死亡・重篤)

おぼれる事故を防ぐために

入浴時
  • 長湯、高温浴は避けましょう。
  • 飲酒後の入浴はやめましょう。
  • 入浴時には家族に知らせ、家族はこまめに声をかけましょう。
川やプール等の水遊び時
  • 小さい子供と一緒に水遊びをする際は、子供から目を離さず、保護者や大人が必ず付き添って遊びましょう。 
  • 飲酒後や体調不良時には遊泳は行わず、遊泳しようとしている人がいたら、周りにいる人は遊泳をやめさせましょう。
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(2)  ものがつまる等

ものがつまる原因で最も多いのは“食物”ですが、これは食事中に起こったものであり、つまった物が特定できない場合に“食物”と記載しています。次いで“おかゆ類”“餅”が多く発生しています。その他は、5人以下の原因物をまとめたものであり、“煎餅”“薬剤等”がありました。

また、年齢別では、高齢者で多く発生していますが、乳幼児でも4人発生していることから注意が必要です。(図7、8)。

図7:ものがつまる等事故のつまった物(死亡・重篤)
図7:ものがつまる等事故のつまった物(死亡・重篤)
図8:ものがつまる等事故の年代(死亡・重篤)
図8:ものがつまる等事故の年代(死亡・重篤)

ものがつまる・誤って飲み込む事故を防ぐために(窒息・誤飲防止)

  • 小さく切って、良く噛みましょう。
  • お茶など水分を取りながら食事しましょう。
乳幼児の場合
  • 6か月になったら、何でも口に入れるようになりますので注意してください。
    (トイレットペーパーの芯(39o)を通る大きさのものなら、口の中に入れてしまい飲み込む危険性があります。)
  • 乳幼児は、大きな食べ物を丸飲みしたり、びっくりして飲み込んでしまい窒息することがあります。
    成長段階に応じ、食べ物は適切な大きさに切る、つぶすなどして食べさせ、食事中に大きな声で呼ぶなど乳幼児をびっくりさせるようなことはやめましょう。
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(3) ころぶ

ころぶ事故の6割以上が“住宅等居住場所”で発生しており、高齢者で多く発生しています(図9、10)。

図9:ころぶ事故の発生場所(死亡・重篤)
図9:ころぶ事故の発生場所(死亡・重篤)
図10:ころぶ事故の年代(死亡・重篤)
図10:ころぶ事故の年代(死亡・重篤)

ころぶ事故を防ぐために(転倒防止)

  • 立ち上がるときは近くのものにしっかりとつかまりましょう。
  • 着替えるときには、無理して片足立ちせずに腰かけましょう。
  • 敷居につまずかないように、体力を増強して、つま先を上げてすり足を改善しましょう。
  • 乗り物に乗り降りする際は、足元の段差に気を付けましょう。
  • 自転車で段差を乗り越えるときは、急がずあわてず慎重に乗り越えましょう。
  • エスカレーターに乗るときは、しっかりと手すりをつかみましょう。
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(4) 落ちる

落ちる事故の発生場所では“階段・梯子・踊り場”が最も多く、次いで“歩道・歩道橋・遊歩道・散策路”“屋外工事現場・作業場所”となっています。

また、年代別では、70代で最も多く発生しています(図11、12)。

図11:落ちる事故の発生場所(死亡・重篤)
図11:落ちる事故の発生場所(死亡・重篤)
図12:落ちる事故の年代(死亡・重篤)
図12:落ちる事故の年代(死亡・重篤)

落ちる事故を防ぐために

  • 階段がある家庭では、階段には握りやすく滑りにくい手すりを設置しましょう。
  • 滑り止めマットを敷くなど、事故防止対策をとりましょう。
子どもがいるご家庭の場合

子どもは日々成長し、行動範囲が広がっていきます。昨日上れなかった場所に今日は上っているかもしれません。

  • 窓際やベランダには、子どもが上れるようなものを置かないようにしましょう。
  • エアコンの室外機、植木鉢などを置く場所にも注意しましょう。
  • ベランダへの出入口や窓などには、鍵を二重に設ける等の措置を講じましょう。
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(5) 切る・刺さる

切る・刺さる事故では、“包丁”での事故が最も多く、転んだ際に刺さってしまった場合などがあります。その他、ディスクサンダーで誤って切ってしまう事故等があります(図13、14)。

図13:切る・刺さる事故の原因物(死亡・重篤)
図13:切る・刺さる事故の原因物(死亡・重篤)
図14:切る・刺さる事故の年代(死亡・重篤)
図14:切る・刺さる事故の年代(死亡・重篤)

(6) ぶつかる

ぶつかる事故の原因は様々ですが、11人中5人が労働災害事故であり、そのうち5人が40代です(表1.図15)。

表1:ぶつかる事故の原因器物(死亡・重篤)
表1:ぶつかる事故の原因器物(死亡・重篤)
図15:ぶつかる事故の年代(死亡・重篤)
図15:ぶつかる事故の年代(死亡・重篤)

(7) はさむ・はさまれる

はさむ・はさまれる事故の原因は、機械扱い中に多く発生しており、9人中6人が労働災害事故です(表2、図16)。

表2:はさむ・挟まれる事故の原因器物(死亡・重篤)
表2:はさむ・挟まれる事故の原因器物(死亡・重篤)
図16:はさむ・はさまれる事故の年代(死亡・重篤)
図16:はさむ・はさまれる事故の年代(死亡・重篤)

(8) やけど

やけど事故は2人発生しており、それぞれ“電気こたつ”“湯たんぽ”が原因であり、共に高齢者です。

(9) その他

その他の事故は、2(1)〜(8)に分類できなかったものであり、83人発生しています。主な事例では、“アナフィラキシー16人”、“低体温症13人”、“薬物多量服用6人”等です。

日常生活で起こりやすい事故を知っておき、事前に対策や注意をしましょう。