救助に関する高度な知識と専門技術を有したスペシャリスト。
火災や交通事故、自然災害などあらゆる災害に対応する。
(1)沿 革
特別救助隊は、高度経済成長により都市構造の高層化や地下建物、危険物施設の増加等、潜在する災害危険要因が急増し、都市型災害により人命を損なう事故が続発するようになったことから、昭和44年8月1日、麹町消防署永田町出張所において暫定運用を開始した。
その後、昭和46年6月に永田町特別救助隊を、同年10月に西新井特別救助隊の正規運用を開始し、現在は23消防署に配置している。
特別救助隊員は、救助に関する高度な知識と専門技術を有しており、特殊な装備を駆使し、火災や交通事故、自然災害などあらゆる災害に対応する。
(2)車 両
特別救助隊が使用する救助車は、ウインチ装置、昇降式照明装置、発電装置等を装備しているほか、各種災害に対応するための保安器具、救助器具、破壊器具等を積載している。白いボディラインは、ツバメが飛んでいる姿をデザインしたもので、「速さ」「人間愛」を表してる。また、ツバメには帰巣本能があり、一度出場したなら、必ず無事に帰署するという思いが込められている。
(3)災害対応
はしごクレーン救出第一法により低所から要救助者を救出する隊員
火災により逃げ遅れた要救助者を応急はしご救出により救出する隊員
槽内に転落した要救助者を三脚支点パイプを活用して救助する隊員
(4)主な資機材
保安器具
11型酸素呼吸器11型酸素呼吸器酸素ボンベを内蔵しており、最大で150分呼吸を維持することができる。そのため長時間活動することができ、トンネルや地下街で有害ガスが発生した現場等で使用する。
簡易呼吸器火災等の災害現場において、煙の中から安全に脱出、避難するための緊急用空気呼吸器で、使用時間は5分~15分に限定される。主に要救助者の呼吸確保に使用する。
救助器具
大型油圧式救助器具油圧によって、スプレッダー、カッターを開閉させ、交通事故で押し潰された車やドアなどの硬い物を切断したり、拡げたり、潰したりすることができる。
空気式救助器具空気圧を利用して、専用のエアーバックを膨らませることで重量物を持ち上げることができる。主に車や電車の持ち上げ等に使用する。
軽量担架
(バーティカルストレッチャー)要救助者を搬送するためのもので、バンドで固定することで水平吊り、縦吊り両方で使用することができる。ヘリコプターでの吊り上げでも使用できる。
破壊器具
削岩機油エンジンを動力源として先端工具の回転・打撃によりコンクリート、岩石又はレンガ等に穴を開け破壊作業を行う。
アークエアー溶断器酸素ボンベに繋がったトーチの切断棒を着火させ切断物を焼き切る。
空気のこぎり空気を動力とし、鉄材の切断時に火花、熱の発生を極めて少なく切断する事ができる。
ダイヤモンドカッター取り付けたディスクを高速回転させることで鉄や木材、ガラスなどを切断することができる。軽量のため細かい作業に適している。
切断機軽量かつコンパクトでバッテリー式のため、高所、狭所及び閉鎖空間での破壊活動に使用できる。
電気ドリル先端に取り付けた工具を回転させ、石材、木材、鋼材への穿孔(穴あけ)等を行う。
電気ハンマードリル大型のドリルで、先端工具の回転及び打撃によってコンクリート、岩石又はレンガ等に穴をあけ、破壊作業等を行う。