東京都では、前回の被害想定(平成24年4月公表。)から約10年の間に住宅の耐震化や不燃化対策などの取り組みが進展した一方、高齢化の進行や単身世帯の増加など、社会構造も変化したことから、変化や最新の知見等を取り入れ、令和4年5月に新しい被害想定を公表しました。また、それに伴い東京都地域防災計画(震災編)も改定される予定です。
地震による災害から生命及び財産を守るためには、@自らの生命は自らが守るという「自助の考え方」A自分たちのまちは自分たちで守るという「共助の考え方」の二つを理解し、常日頃からの地震への備えが必要です。事業所には、地震時の影響を最小限に抑えるために、それぞれの立場で出火防止等に最大限の努力を払い、また、従業員の安否確認、保護を図りながら、早期に事業を再開し、生活に必要な物資を社会に供給するなどの重要な役割があります。
平成23年3月に発生した東日本大震災は、日本国内観測史上最大規模のマグニチュード(M)9.0を記録した巨大地震となり、宮城県栗原市で震度7を観測したほか、宮城県、福島県、茨城県、栃木県の計20市15町2村で震度6強を観測するなど、太平洋沿岸地域を中心に壊滅的な被害をもたらしました。
東京都内においても、震度5強が観測され、死者7人、負傷者117人が発生し、建物被害は全壊17棟、半壊195棟となったほか、津波の発生があまり想定されていなかった東京湾内においても、晴海において1.5mの最大波が観測されました。
また、地震の影響で交通機関が停止したため、約515万人の帰宅困難者が発生し、歩いて帰宅する人が道路上にあふれるなど首都圏を中心に大混乱が起きました。
今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の切迫性が危惧されており、事業所は、その社会的責任を自覚し、地震の被害の軽減、震災後の都民生活の安定及び都市の復興を図るために最大限の努力を払うことが求められています。
事業所防災計画とは、東京都震災対策条例に基づき、地震の被害を軽減するために事業所単位で作成する防災計画です。
都内の事業者は、
について定めることとされています。
事業所防災計画のうち震災に備えての事前計画の一つとして、オフィス家具類の転倒・落下・移動防止対策を行うことが大切です。次のチェック項目について、事業所内を随時点検し、事業所の実態に応じて家具・じゅう器等の転倒・落下・移動防止の措置を実施しましょう。
東京都内の全ての事業所は、その用途や規模にかかわらず事業所ごとに事業所防災計画を作成しなければなりません。
なお、一般事業所の消防計画または危険物施設の予防規程に事業所防災計画の内容を定める場合は、消防署への届出等が必要となります。
事業所の形態 | 事業所防災計画の作成要領 | 消防署への届出等 | |
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一般事業所 | 消防法第36条に定める、防災管理者の選任が必要な事業所 | 防災管理に係る消防計画の中に必要な事項を定めます。 | 必要 |
消防法第8条及び火災予防条例第55条の3に定める、防火管理者の選任が必要な事業所 | 防火管理に係る消防計画の中に事業所防災計画に規定すべき事項を定めます。 | 必要 | |
上記以外の事業所(小規模事業所) | 単独に事業所防災計画を作成します。★ | 不要 | |
危険物施設を有する事業所 | 消防法第14条の2に定める、予防規程の作成が必要な危険物施設 | 予防規程の中に事業所防災計画に規定すべき事項を定めます。 | 必要 |
上記以外の危険物施設 | 単独に事業所防災計画を作成します。★ | 不要 |
冊子等のご案内東京消防庁の各消防署で、 ![]() |
◆防火管理者の選任が必要な事業所において作成する事業所防災計画は、「消防計画作成例」を活用して作成することができます。 ◆上記「★」印の事業所は「事業所防災計画表」により事業所防災計画を作成することができます。 ◆職場の地震対策に関する資料をHPに掲載しています。 |